上 下
2 / 10

2.

しおりを挟む
「可愛いな~。本当にリンネは俺好みに育ったいや、俺が育てた……だな。」

目の前で行われてる光景を見て顔が緩むのが止まらない。

今日はあの話のためハブレン侯爵家が来ることになっていたが、リンネには知らせないように伝えてたらこんなことになるとは………本当に可愛いな。

ローレン公爵家は父上も母上も快く了承してくれたことをオーレン含めハブレン侯爵夫妻も知っている。
リンネにはサプライズのつもりで俺が別室で待機してたんだが……あんなに俺を求めてる姿がたまらない。

『私にも婚約者として認めてもらうための猶予を頂きたいのです。』

リンネが真剣に俺の親に言っている姿はとても高揚する。
そんなことしなくても俺はリンネ以外とは婚約しないのに。

邪な気持ちは俺に対してだけなんて言われたら正気じゃいられないじゃないか。
俺もリンネだけだ。

これはサプライズを考えてたが変更してのサプライズにしよう。

「邪な気持ちはありますが決して権力にではありません。断言できます、フレリー様に対してだけです。」

可愛いこと言うじゃないか。
リンネは隠してたみたいだが熱い視線駄々漏れだったからリンネ以外の人はとっくに気づいてるよ。
権力じゃなく俺自身か……たまらない。
あぁ……今すぐリンネに抱きついて俺の腕の中に閉じ込めたい。
ふぅーっと一息ついて危ない危ない、興奮しすぎて理性が飛びそうになる。

リンネ、心配しなくても俺からもう逃げられないんだよ。
可愛い可愛いリンネ。
既に逃げることが出来ない状況だと知ったらどう思うだろうね。

それにしても母上もリンネが可愛いんだろう。
条件を付け加えるとは………そんなの難なくクリア条件だ。
これからもっと親密に接したときのリンネの反応を想像するだけでゾクゾクする。




「遅れてすみません、父上、母上、ハブレン侯爵夫妻。オーレンもありがとう。」

リンネを誘導してくれて。と気持ちを込めるとオーレンが呆れた顔をしているから伝わったみたいだ。

「リンネどうしたんだ?床に座って汚れるからほら立とうな。」

「あっ、、これには訳があって………。フレリー様ありがとうございます。」

俺が不思議そうな顔をしながらリンネの腕を支えて立たせるといいわけを必死に考えながらゴニョゴニョと言葉を言おうとするリンネが可愛すぎる。
俺の婚約者になりたいと願い出たなんて本人に言えないよな。
リンネ以外は俺が別室で一部始終を見ていたことを知っているからかリンネを不憫な目で見つめていた。

みんなで談笑してるとさっきから、チラチラと隣の俺を見てくるリンネ。
話を切り出したいんだろうな~本当に可愛い。

「フッフッフレリー様。きっきききき今日のてんてててて天気は晴れてますね。」

めちゃくちゃ緊張してるリンネが可愛い。
ようは、『天気がいいので散歩がてら話がしたい』と思っていってるんだろうな。

「いいよ。リンネ一緒に散歩がてら公爵家の庭は母上が手掛けたスペースもあるんだ。見に行ってみるか?」

俺を見上げて嬉しそうに縦に首を振る仕草が小動物のように可愛くてたまらない。

「では、少し散歩してきます。リンネ行こうか。」

「リンネットちゃん、私の自慢の庭を堪能してきてね。」

返事がないところを見ると、余裕がなくてリンネは聞こえてないんだろうな。
俺がリンネの手を取って歩いているのをみんなが温かい目で見つめていることを本人は気づいていない。





「うわぁぁ、めちゃくちゃ素敵ですね。さすがフレリー様のお母様、とてもセンスがいいです。」

お花で飾ってあるアーチの道を抜けると薔薇園のようにいろんな種類の薔薇が咲き誇っており薔薇のいい匂いが漂っている。
素敵だ。さすが公爵夫人、センス抜群だ。
フレリー様の婚約者その先は公爵夫人になるもんね。
教養だけでなくこういうセンスも必要になるってわけか。
お花の種類もしっかり学んで認めてもらおう。
そしてフレリー様とのあまーい甘い生活を送るんだ。
フレリー様の視界を私だけにしたい。
あぁ、フレリー様の瞳に写ると考えただけで悶える。

「たまらない。いつも可愛いんだよな~。」

ヤバイヤバイ。そんな顔で見つめてこないで。
勘違いしそうになる。
目を細目め微笑みながら私に言ってくるフレリー様が尊い。
ん?私のフレリー辞書にはなかったけどお花好きだったとはフレリー辞書に登録しなければ。

「フレリー様の好きなお花を教えてください。私も育ててみたいです。」

「そうだな~花は見て綺麗だと思うが、俺には一輪の花だけでいいよ。」

えっ!?
私の頬を擦りながらフレリー様が笑顔で答えてくるから、勘違いしてしまうじゃないか。
いやいやいや、そんな都合のいいことなんて考えちゃだめだ。
それよりも先手を打たないと………もし想い人でもいたらドン底に突き落とされるな。

「フフフフフレリー様にお願いがあるんです。」

「ん?リンネから珍しいね~。どんな願いかな?」

やややや止めないでほしいけど止めてほしい。
私の頬を触りながらその笑顔は反則で私の心臓が持たないから。

「わわわわ私、立派な淑女になります。フレリー様の周りには沢山の素敵な令嬢がいますが………どうか婚約はしないで。……私がフレリー様の婚約者候補になりたいから。」

言っててだんだんと自信なくなって最後は小さい声になってしまった。
私が婚約者になりたいから誰とも婚約しないで!なんてこんなの我儘な子供みたい。

「そんな泣きそうな顔をしないで。リンネが婚約者になってくれるんだね?」

「なりたいんです。私、フレリー様の婚約者になりたい。」

これって、、普通に告白だよね?
『私、フレリー様が好きだから婚約者になって結婚したいんです』みたいな。
言わないつもりだったのに……想いがあふれすぎてぶっちゃけてしまった。

「でも、フレリー様を縛り付けたいわけじゃないから本当に私が嫌になったら言ってくださいね。」

やば…泣きそうになる。
思ってもないことを言うときって辛いんだね。
フレリー様が他に向かないように頑張るしかないのに、私には。

「ふっ。リンネは俺をまだわかってないね。俺はね、好き嫌いがはっきりしてるよ。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

幼馴染に奪われそうな王子と公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
「王子様、本当に愛しているのは誰ですか???」 「私が愛しているのは君だけだ……」 「そんなウソ……これ以上は通用しませんよ???」 背後には幼馴染……どうして???

愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?

日々埋没。
恋愛
 公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。 「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」  しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。 「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」  嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。    ※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。  またこの作品とは別に、他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

婚約者が不倫しても平気です~公爵令嬢は案外冷静~

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢アンナの婚約者:スティーブンが不倫をして…でも、アンナは平気だった。そこに真実の愛がないことなんて、最初から分かっていたから。

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。

当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。 しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。 最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。 それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。 婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。 だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。 これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。

気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢ナターシャの婚約者は自由奔放な公爵ボリスだった。頭はいいけど人格は破綻。でも、両親が決めた婚約だから仕方がなかった。 「ナターシャ!!!お前はいつも不細工だな!!!」 ボリスはナターシャに会うと、いつもそう言っていた。そして、男前なボリスには他にも婚約者がいるとの噂が広まっていき……。 本編終了しました。続きは「気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにします」となります。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。

星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。 グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。 それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。 しかし。ある日。 シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。 聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。 ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。 ──……私は、ただの邪魔者だったの? 衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

処理中です...