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数日しかたってないのに卒業した学園の門を見ながら思わず目を瞑ってしまう。
だって学園ではいろんなこと……そう、いろーーーーんなことがあったからなぁ主にルゥーとのことだが。

て、なんで門を眺めてるんだろう?
夢?にしてはみんながリアルで今から入学式がある新入生達のようにあちらこちらから『入学おめでとう』と聞こえてくる。

どういうこと??

ついさっきまで私ルゥーとその……えっと……結婚して……初夜を迎えていたわけで……私寝ちゃった??

自分の頬をつねっても痛い………制服の新鮮な匂いも周りの声もリアルすぎる。

「ニィーア様、今日からよろしくお願いしますわぁぁーーー。」

と全速力で遠くから大声をあげ突進してくる小さい頃からの腐れ縁のお転婆バーニャ公爵令嬢。
一度経験してるからわかる、この後私に抱きつけるところまで走ってくるが…………

「私のニィーアに抱きつくな。」

そう、ルゥーが邪魔をするのだ。
何もかもデジャブのように同じことが起きている。
ルゥーにこの事態をどう思うか言ったら信じてくれるかな?
と私を抱き締めるルゥーを見上げると、それはそれは怒りを露にしたオーラを放ち怒っていた。

えっ!?ルゥーどうした??
バーニャにいつもと同じく冷たい目を向け私に微笑んでくれた記憶にある入学式を思い出すが、やっぱりルゥーはここまで怒ってなかった。
バーニャもこんなルゥーは見たことないだろう、あんなに怯えてる。

「ルゥー?どうしたの??」

「いや……あまりにもムカつくことがあって…………顔に出してしまったね。うん、大丈夫だ。今日も俺のニィーアは可愛い。」

少し動揺してるような怒りが収まりきれてないが、それでも冷静さを取り戻しいつものルゥーに戻った。

珍しいルゥーに思わず抱きついて大丈夫だよと呟く私をバーニャもルゥーも目を見開いて固まった。
ん??なんでそんな反応??

……………あっ、そっか。
ルゥーが私に抱きつくことはあっても私が抱きつくことは卒業までなかった気がする。
卒業式で、もうすぐ結婚するし俺がニィーアの特別と感じたいと私からも抱きついたり愛情表現をしてほしいと言われてからするようになったことを思い出した。

私もルゥーを拒みたい訳じゃなかったけど、恥ずかしさが勝ってずっとできなかったんだよね。
ルゥーに言われて寂しい思いをさせてしまってたと気づいて私からも………その成り行きで今やってしまった。

「わっ私ったら人前でなんてことを………ルゥーごめんなさい。注目されてしまったわ。」

「何言ってるんだ!!ニィーアから抱き締めてくれるなんて願ったり叶ったりだ!!これからもどんどんしてくれ!!」

ルゥー少し落ち着こうね。
私から抱きついただけでこんなに興奮されるとは嬉しいような恥ずかしいような………ルゥーが喜んでくれるならよしとしよう。



入学式から数日たって知っている毎日を過ごし、ようやくこれは逆行したのかと思い始めた。

でも、なんで逆行なんて??
そんなゲームのストーリーなかった気がするんだけど。
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