上 下
91 / 98
第二章 ダルニア王国編

11.

しおりを挟む
突然ドンッと衝撃がきて不意を突かれてよろけてしまいました。
何かと思ってみてみれば…………

なにこの状況??
カルの隣で勝ち誇ったような顔で見られてるけど、隣のカルは無表情が怖いです。

「あら、ファシリック公爵令嬢いらっしゃったの?カルティド殿下とクラリス様しか目に入りませんでしたわ。」

計算尽くしてるわね……しっかりクラリスお兄様までも視野に入れてるじゃない。
カルの婚約者として品行を気にしていたけれど、私だってカルやクラリスお兄様が大好きです。
絶対にケリウナ公爵令嬢なんかに奪われたくないし公爵令嬢としてもあるまじき行為ね。

「ケリウナ公爵令嬢ごきげんよう。」

にっこりと微笑んで挨拶をすると、それが気にくわなかったのか青筋が入っておりますが………これカルやクラリスお兄様にも気づかれてますよ。

「ケリウナ嬢、何かようか?」

不機嫌な声色をしてピリピリモードだ。

「ふふふ。カルティド殿下に早くお会いしたくて来ましたの。もう隠さなくてよろしいのですよ。ファシリック公爵令嬢よりも私のことを好きになったと……。」

私をチラッと見ながら勝ち誇った顔で見てるがそれよりもカルの不機嫌さがましてそっちの方が気になってます。
カルの魔力が久し振りに押さえきれないくらいにダークになってますね。
周りも当てられてるのかこの国の生徒が青ざめてます。

「俺がリティじゃなくケリウナ嬢を好き?凄い妄想だな。」

さっきよりも怒りを露にして睨み付けながらケリウナ公爵令嬢にいうカルに周りは見んな恐れをなして震えている……私のことが絡むと豹変するのは身近な人達母国の学園では周知の事実だったから誰も絡まなかったんですが……。

「ふふふ。妄想だなんて……私この前のカルティド殿下の目線で確信しましたのよ。」

凄い。怒りに満ちているカルにあんなこと言えるなんて。
ケリウナ公爵家は娘がこんな感じで大丈夫なのでしょうか。

「はぁ……話が通じないな。もう話しかけないでもらえるかな。」

「わかりましたわ。みんなの前では恥ずかしいのですね。内密にゆっくり話をしましょう。ふふふ。」

とても頭がお花畑の方のようです。

「おい、それ以上は怒りを沈めろ。魔力が溢れだしてるぞ。」

「………わかってる。」

怒りによって身体から溢れだしていた魔力の量がこれ以上増えれば周りによくない。
クラリスお兄様が止めてくれなかったら周りの人の端正のない人に影響が出ていたのかもしれない。


「カルティド殿下、私の国の者がすまない。」

ものすごい早さで現れたマシューの言葉で緊張していた空気が少しだけ和らいだ。

「まあ、マシューリ殿下まで私に会いに来られましたの。カルティド殿下にマシューリ殿下に………私は罪作りな女なのですね。マシューリ殿下を忘れていたわけではございませんのよ、大丈夫ですわ。」

「何を言ってるんだ?ケリウナ公爵令嬢、他国の皇太子に対して不敬だ。リティアナという婚約者の前でよくそんなことを………今まで俺に対しての振る舞いにはいつかわかるかと目を瞑っていたがさすがにやりすぎだ。リティアナに対しても何て態度だ。さすがに見過ごせない。ケリウナ公爵に報告させてもらう。生徒会長の権限により処分が決まるまで学園に来ることを禁じる。」

「なっ何を言ってますの?私はマシューリ殿下にもカルティド殿下にも好意を寄せられてますのよ。お近づきになりたいだろうと私から会いに来ただけですのに……酷いですわ。」

何処で好意を寄せられてると思ったんだろう?
周りの皆さんもとても冷たい目でケリウナ公爵令嬢を見ていますわ。
元々こういう思い込みが激しい方なのかしら?

「誤解してほしくないのでハッキリ言わせてもらうが、俺は一度もケリウナ公爵令嬢に好意を寄せたことはない。」

「私に……夜会や学園で微笑まれたではありませんか?」

「いや?ケリウナ公爵令嬢に微笑んだことはない。」

あぁ……正直とは言えトドメをさしましたね、マシュー残酷です。
瞳からボロボロと涙を溢しながらそんな………と叫んでいるケリウナ公爵令嬢を見ていられないわ。

「ついでに、俺も言わせてもらえばリティ以外に好意を寄せるなどあり得ない。俺はリティだけを愛してるんだ。ケリウナ嬢を想っていると勘違いされるだけで甚だしい。」

カルは皆さんの前で堂々と私への愛を語ってとても恥ずかしいけど嬉しい。
カルからもトドメをさされたケリウナ公爵令嬢はプルプルと震えだし凄い形相で私を睨み付けてきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

愛し子は自由のために、愛され妹の嘘を放置する

紅子
恋愛
あなたは私の連理の枝。今世こそは比翼の鳥となりましょう。 私は、女神様のお願いで、愛し子として転生した。でも、そのことを誰にも告げる気はない。可愛らしくも美しい双子の妹の影で、いない子と扱われても特別な何かにはならない。私を愛してくれる人とこの世界でささやかな幸せを築ければそれで満足だ。 その希望を打ち砕くことが起こるとき、私は全力でそれに抗うだろう。 完結済み。毎日00:00に更新予定です。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……! 前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。 正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。 そして、気づけば違う世界に転生! けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ! 私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……? 前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー! ※第15回恋愛大賞にエントリーしてます! 開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです! よろしくお願いします!!

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

処理中です...