75 / 98
第一章 ヒロイン編
75.
しおりを挟む
「リティ、無事でよかったわ。」
「リティ、心配したぞ。」
「リティ、会いたかった。」
私が部屋にはいるなり駆け寄ってきてお母様とお父様それにクラリスお兄様から抱き締められた。
「心配掛けちゃってごめんなさい。私も油断してしまって………。」
心配掛けてしまっていたことはわかっていたが改めて私の不甲斐なさで申し訳なかったなと痛感しました。
「よく顔を見せて。何処か怪我してるって聞いたけど大丈夫なの?」
私の頬を両手で包んで心配そうな顔で覗き込まれた。
「最初は痛みましたが今はほとんどアザも消えて痛みもほぼありませんわ。心配掛けて本当にごめんなさい。」
「ファシリック公爵夫妻、リティのことは毎日俺が見ているから問題ない。アザも薄れてきて残らないだろう。残ったとしても俺しか見ないから問題ないが。」
カルの言葉に皆が固まってしまったわ。
何てことを言うんですか!
その言い方だと私の身体をいつも見ていると言ってるようなものです。
さすがに両親やクラリスお兄様にこんなにはっきりと言われて自分の顔が熱を持っていくのがわかる。
「とりあえず座ろうか。」
なんともいえない雰囲気をクラリスお兄様が助けてくれた。
もう、家族の前だからこそ羞恥心が半端ないですわ。でも………
「ふふふ。カルティド殿下にとても可愛がられていて幸せね。」
そうですよね。
お母様はそういうと思ってましたわ。
お父様は隣で気むずかしい顔をしてます。
そうでしょうね、普通娘のそんな話を聞きたくはないでしょう。
でも、カルだから言えないんだろうけれど。
クラリスお兄様はたぶんわかってたでしょう……私の両親の前でも平然と言うカルだからクラリスお兄様には遠慮なしに伝えてるだろう。
言わないで!!とは言えないけれどクラリスお兄様にそういうことを知られるのは複雑ですわ。
「元気そうでよかったよ。カルティドから話は聞いていたんだが会うと安心するな。リティに何かあるとカルティドが荒れるからあまり無理はしないようにな。」
遠い目をしたクラリスお兄様を見てるとわかってしまいます。
そうですか。やはりカルは私がいなくなってめちゃくちゃ荒れたのですね。クラリスお兄様の言葉から助け出されてから私の傷やアザがよくなるまで私には見せないカルのイラつきがあったのですね。
周りの皆様にまで影響を与えてしまってすみません。
カルのためにもしっかり自分の身を守らねばなりませんわ。
「それで、いつ帰ってくるんだ??」
「えっーーーーと……………。」
それは私も考えなかったわけではありませんが、なんとなくカルを見ていると今言うべきではないと思っておりました。
それに私もカルと離れたくなかったと言うのも本音です。
「まだリティは帰せない。と言うのもあいつがまた来てるだろう?」
「……………マシューリ・ダルニア殿下ですか。なるほど、そういうことでしたか。ではあの事もご存知ですか?」
「もちろん。公爵がしっかり対応してくれているから俺からは何もしてないが、仮にも隣国の皇太子だからな。手に終えなくなった時は言ってくれ俺が動く。」
「わかりました。もう少し様子を見ます。」
真剣に話をしているカルとお父様。
マシュ……いえマシューリ殿下と何かあるのですかね??
「なんでもないよ。リティは元気になることだけ考えような。それまでは俺の側にいること。」
私が不思議そうにしていたんだろう。カルが私を引き寄せてギュッと抱き締めながら言われた。
ズルいですわ。
「はい。」
それしか言えなくなります。
「ごほん。リティもう少しカルティド殿下の側を離れないように。カルティド殿下よろしくお願い致します。また、例の件についてはファシリック公爵家で無事に終わらせておりますので詳しくはまた後程。」
「リティ、心配したぞ。」
「リティ、会いたかった。」
私が部屋にはいるなり駆け寄ってきてお母様とお父様それにクラリスお兄様から抱き締められた。
「心配掛けちゃってごめんなさい。私も油断してしまって………。」
心配掛けてしまっていたことはわかっていたが改めて私の不甲斐なさで申し訳なかったなと痛感しました。
「よく顔を見せて。何処か怪我してるって聞いたけど大丈夫なの?」
私の頬を両手で包んで心配そうな顔で覗き込まれた。
「最初は痛みましたが今はほとんどアザも消えて痛みもほぼありませんわ。心配掛けて本当にごめんなさい。」
「ファシリック公爵夫妻、リティのことは毎日俺が見ているから問題ない。アザも薄れてきて残らないだろう。残ったとしても俺しか見ないから問題ないが。」
カルの言葉に皆が固まってしまったわ。
何てことを言うんですか!
その言い方だと私の身体をいつも見ていると言ってるようなものです。
さすがに両親やクラリスお兄様にこんなにはっきりと言われて自分の顔が熱を持っていくのがわかる。
「とりあえず座ろうか。」
なんともいえない雰囲気をクラリスお兄様が助けてくれた。
もう、家族の前だからこそ羞恥心が半端ないですわ。でも………
「ふふふ。カルティド殿下にとても可愛がられていて幸せね。」
そうですよね。
お母様はそういうと思ってましたわ。
お父様は隣で気むずかしい顔をしてます。
そうでしょうね、普通娘のそんな話を聞きたくはないでしょう。
でも、カルだから言えないんだろうけれど。
クラリスお兄様はたぶんわかってたでしょう……私の両親の前でも平然と言うカルだからクラリスお兄様には遠慮なしに伝えてるだろう。
言わないで!!とは言えないけれどクラリスお兄様にそういうことを知られるのは複雑ですわ。
「元気そうでよかったよ。カルティドから話は聞いていたんだが会うと安心するな。リティに何かあるとカルティドが荒れるからあまり無理はしないようにな。」
遠い目をしたクラリスお兄様を見てるとわかってしまいます。
そうですか。やはりカルは私がいなくなってめちゃくちゃ荒れたのですね。クラリスお兄様の言葉から助け出されてから私の傷やアザがよくなるまで私には見せないカルのイラつきがあったのですね。
周りの皆様にまで影響を与えてしまってすみません。
カルのためにもしっかり自分の身を守らねばなりませんわ。
「それで、いつ帰ってくるんだ??」
「えっーーーーと……………。」
それは私も考えなかったわけではありませんが、なんとなくカルを見ていると今言うべきではないと思っておりました。
それに私もカルと離れたくなかったと言うのも本音です。
「まだリティは帰せない。と言うのもあいつがまた来てるだろう?」
「……………マシューリ・ダルニア殿下ですか。なるほど、そういうことでしたか。ではあの事もご存知ですか?」
「もちろん。公爵がしっかり対応してくれているから俺からは何もしてないが、仮にも隣国の皇太子だからな。手に終えなくなった時は言ってくれ俺が動く。」
「わかりました。もう少し様子を見ます。」
真剣に話をしているカルとお父様。
マシュ……いえマシューリ殿下と何かあるのですかね??
「なんでもないよ。リティは元気になることだけ考えような。それまでは俺の側にいること。」
私が不思議そうにしていたんだろう。カルが私を引き寄せてギュッと抱き締めながら言われた。
ズルいですわ。
「はい。」
それしか言えなくなります。
「ごほん。リティもう少しカルティド殿下の側を離れないように。カルティド殿下よろしくお願い致します。また、例の件についてはファシリック公爵家で無事に終わらせておりますので詳しくはまた後程。」
3
お気に入りに追加
644
あなたにおすすめの小説
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
最強陛下の育児論〜5歳児の娘に振り回されているが、でもやっぱり可愛くて許してしまうのはどうしたらいいものか〜
楠ノ木雫
ファンタジー
孤児院で暮らしていた女の子リンティの元へ、とある男達が訪ねてきた。その者達が所持していたものには、この国の紋章が刻まれていた。そう、この国の皇城から来た者達だった。その者達は、この国の皇女を捜しに来ていたようで、リンティを見た瞬間間違いなく彼女が皇女だと言い出した。
言い合いになってしまったが、リンティは皇城に行く事に。だが、この国の皇帝の二つ名が〝冷血の最強皇帝〟。そして、タイミング悪く首を撥ねている瞬間を目の当たりに。
こんな無慈悲の皇帝が自分の父。そんな事実が信じられないリンティ。だけど、あれ? 皇帝が、ぬいぐるみをプレゼントしてくれた?
リンティがこの城に来てから、どんどん皇帝がおかしくなっていく姿を目の当たりにする周りの者達も困惑。一体どうなっているのだろうか?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。
BBやっこ
恋愛
タブロッセ伯爵家でユイスティーナは、奥様とお嬢様の言いなり。その通り。姉でありながら母は使用人の仕事をしていたために、「言うことを聞くように」と幼い私に約束させました。
しかしそれは、伯爵家が傾く前のこと。格式も高く矜持もあった家が、機能しなくなっていく様をみていた古参組の使用人は嘆いています。そんな使用人達に教育された私は、別の屋敷で過ごし働いていましたが15歳になりました。そろそろ伯爵家を出ますね。
その矢先に、残念な妹が伯爵様の指示で訪れました。どうしたのでしょうねえ。
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、140話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(11/21更新)
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
悪役令嬢?いま忙しいので後でやります
みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった!
しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢?
私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる