お兄様が攻略対象者で妹のモブ令嬢のはずですが、攻略対象者が近づいてきて溺愛がとまりません。

MAYY

文字の大きさ
上 下
73 / 98
第一章 ヒロイン編

73.

しおりを挟む
「なんだ、その安堵の顔は……皆処刑っていうとでも思ってたか??」

「自分の事をよくわかってるじゃないか。」

「クラリス……俺をなんだと思ってるんだ。確かにリティの怪我を見るとそれも考えたがリティが嫌だろうからな。それと……………………。」

二人に小声ではっきりと伝えると、

「………カルティドの怒りがおさまっていないのがよくわかった。」

「………バカ兄はまだマシでしたね。あの程度で許していただいてありがとうございます。」

「このことはリティには伝えるなよ。他の皆の処分についても俺から話す。」

二人ともコクりと深く頷いた。

「なぁ、今からリティに会えるか?父上や母上も皆心配していてな……様子を見に行きたい。」

「俺もあの時のリティアナしか見てないので心配です。今どんなかリティアナに会いたいです。」

「………今は駄目だ。誰にも会わせられない。」

「おい………………軟禁するなよ。」

クラリスの言葉でイグルスがガン見してくる。
軟禁か…………しないとは言えない。今も誰にも会わさず閉じ込めたい衝動に刈られるんだ。

「とにかく今は駄目だ。家族には落ち着いたら………な。イグルスのこともリティに伝えておくから連絡を待て。」

自信がないため返事をせず、会わすとだけ伝えておく。
そんな俺をクラリスはジトーと睨んできて

「はぁ………その様子ではお前カルティドの部屋にいるだろ。まだ肉体的にも精神的にも回復してないだろうから。」

クラリスはリティのことを気に掛けてるが俺のことを信用してくれてるのだろう。
裏切るようなことはしないさ。
イグルスはクラリスとのやり取りでわかったのか複雑な顔をしていた。
リティのことが好きだから複雑なんだろうが受け入れてもらうしかない。
俺も遠慮はしないさ。クラリスにもイグルスにも俺の側近として今後働いてもらうのだから。


ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー


「んっ…………...カル?」

目を開けると隣に寝転がって私を見つめているカルが目に入った。
意識がはっきりしてくるとカルに腕枕されてるのに気づいた。

「リティごめん。もっと早く気づいて助けてあげれてたら傷つかずにすんだのに。」

自分が怖い目に遭ったはずなのにカルの方が傷ついた目をしてる。

「私もごめんなさい。油断しちゃいました。カルがいない時に来た侍女がカルと親しげだったから………そっちに気をとられてしまって油断してごめんなさい。」

「侍女!?俺に親しい侍女なんていないが、リティもしかして……ヤキモチ妬いてくれたのか?」

カルの顔がにやけだしたから顔に熱が集中してきて

「ちっちっ違う違う!!!だって………慣れた感じでカルの部屋に入ってきたから疑ってしまったの……ごめんなさい。」

「……………それはリティを拉致した侍女か?」

私の話を聞いたカルの顔が真顔で怒ってるようで言葉にせずコクりと頷いた。

「わかった。今は自分のことだけを考えて心身共にゆっくりするんだ。あれからのことは聞きたいときに聞いてくれ。どうなったか教えるから。それから、侍女だけでなくリティ以外に手を出したことも心奪われたことなんて一度もないの知ってるだろう。幼い頃からリティ一筋だということも。俺にはこれからも変わらずリティだけだ。」

「わかった、カルを信じるからキッキッキスしてほしい。」

変なこと言ってるのはわかってるけど、あんなことあった後だから余計カルを感じて安心したいと思ってしまった。

「いつでも叶えてあげるよ。」

クスクス笑いながらカルが私の唇にキスをした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった! しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢? 私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。

人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜

清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。 クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。 (過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…) そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。 移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。 また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。 「俺は君を愛する資格を得たい」 (皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?) これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。

今日も姉の物を奪ってやりますわ!(完)

江田真芽
恋愛
 姉のドレスや髪飾り。お気に入りの侍女に、ひいては婚約者まで。どんな物でも奪って差し上げますわ。何故って?ーーー姉は昔から要領が悪くて鈍臭くて、何でも信じてしまうお馬鹿さんなんですの。このドレスだってセンスのカケラもないしダサくてガキくさいったらありゃしません!なんですかこのショッキングピンクは!!私が去年買っていたこのドレスの方がまだマシなので差し上げますわ!お下がりですけどね!妹からお下がりをもらうなんてお恥ずかしくないのかしら?!  髪飾りだってそうですのよ。姉の透明感のある甘栗色の髪に、ビカビカのルビーなんて似合いませんわ!センスが悪すぎですのよ!!  そのうえ少し前から姉に仕えている侍女はか弱いふりをして姉から同情されて何かと物を贈られていますの。そういうのに気付けないんですのよ、私の姉は。それから婚約者。あれはだめね。一癖どころか二癖も三癖もありますわ。腹が黒いったらありゃしません。姉はそういうのを見抜く能力が1ミリもございませんから、泣かされるに決まってますわ。女癖も悪いという噂もお聞きしますし、疎くて汚れのない姉には不向きなんですの。別にあの男じゃなくもっと条件の良い殿方は沢山いらっしゃいますし!  え?私??姉が好きなのかって??ーー何を言ってるんですの?私は、馬鹿で騙されやすくて要領の悪い姉が知らず知らずのうちに泣きを見ることがアホくさくて見てられないだけですのよ!!  妹に奪われた系が多かったのでツンデレ妹奮闘記が書きたくなりました(^^) カクヨムでも掲載はじめました☆ 11/30本編完結しました。番外編を書いていくつもりなので、もしよろしければ読んでください(*´꒳`*)

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。

りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。 やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか 勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。 ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。 蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。 そんな生活もううんざりです 今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。 これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。

前世を思い出した我儘王女は心を入れ替える。人は見た目だけではありませんわよ(おまいう)

多賀 はるみ
恋愛
 私、ミリアリア・フォン・シュツットはミターメ王国の第一王女として生を受けた。この国の外見の美しい基準は、存在感があるかないか。外見が主張しなければしないほど美しいとされる世界。  そんな世界で絶世の美少女として、我儘し放題過ごしていたある日、ある事件をきっかけに日本人として生きていた前世を思い出す。あれ?今まで私より容姿が劣っていると思っていたお兄様と、お兄様のお友達の公爵子息のエドワルド・エイガさま、めちゃめちゃ整った顔してない?  今まで我儘ばっかり、最悪な態度をとって、ごめんなさい(泣)エドワルドさま、まじで私の理想のお顔。あなたに好きになってもらえるように頑張ります! -------だいぶふわふわ設定です。

処理中です...