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第一章 ヒロイン編
73.
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「なんだ、その安堵の顔は……皆処刑っていうとでも思ってたか??」
「自分の事をよくわかってるじゃないか。」
「クラリス……俺をなんだと思ってるんだ。確かにリティの怪我を見るとそれも考えたがリティが嫌だろうからな。それと……………………。」
二人に小声ではっきりと伝えると、
「………カルティドの怒りがおさまっていないのがよくわかった。」
「………バカ兄はまだマシでしたね。あの程度で許していただいてありがとうございます。」
「このことはリティには伝えるなよ。他の皆の処分についても俺から話す。」
二人ともコクりと深く頷いた。
「なぁ、今からリティに会えるか?父上や母上も皆心配していてな……様子を見に行きたい。」
「俺もあの時のリティアナしか見てないので心配です。今どんなかリティアナに会いたいです。」
「………今は駄目だ。誰にも会わせられない。」
「おい………………軟禁するなよ。」
クラリスの言葉でイグルスがガン見してくる。
軟禁か…………しないとは言えない。今も誰にも会わさず閉じ込めたい衝動に刈られるんだ。
「とにかく今は駄目だ。家族には落ち着いたら………な。イグルスのこともリティに伝えておくから連絡を待て。」
自信がないため返事をせず、会わすとだけ伝えておく。
そんな俺をクラリスはジトーと睨んできて
「はぁ………その様子ではお前の部屋にいるだろ。まだ肉体的にも精神的にも回復してないだろうから無理させるなよ。」
クラリスはリティのことを気に掛けてるが俺のことを信用してくれてるのだろう。
裏切るようなことはしないさ。
イグルスはクラリスとのやり取りでわかったのか複雑な顔をしていた。
リティのことが好きだから複雑なんだろうが受け入れてもらうしかない。
俺も遠慮はしないさ。クラリスにもイグルスにも俺の側近として今後働いてもらうのだから。
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー
「んっ…………...カル?」
目を開けると隣に寝転がって私を見つめているカルが目に入った。
意識がはっきりしてくるとカルに腕枕されてるのに気づいた。
「リティごめん。もっと早く気づいて助けてあげれてたら傷つかずにすんだのに。」
自分が怖い目に遭ったはずなのにカルの方が傷ついた目をしてる。
「私もごめんなさい。油断しちゃいました。カルがいない時に来た侍女がカルと親しげだったから………そっちに気をとられてしまって油断してごめんなさい。」
「侍女!?俺に親しい侍女なんていないが、リティもしかして……ヤキモチ妬いてくれたのか?」
カルの顔がにやけだしたから顔に熱が集中してきて
「ちっちっ違う違う!!!だって………慣れた感じでカルの部屋に入ってきたから疑ってしまったの……ごめんなさい。」
「……………それはリティを拉致した侍女か?」
私の話を聞いたカルの顔が真顔で怒ってるようで言葉にせずコクりと頷いた。
「わかった。今は自分のことだけを考えて心身共にゆっくりするんだ。あれからのことは聞きたいときに聞いてくれ。どうなったか教えるから。それから、侍女だけでなくリティ以外に手を出したことも心奪われたことなんて一度もないの知ってるだろう。幼い頃からリティ一筋だということも。俺にはこれからも変わらずリティだけだ。」
「わかった、カルを信じるからキッキッキスしてほしい。」
変なこと言ってるのはわかってるけど、あんなことあった後だから余計カルを感じて安心したいと思ってしまった。
「いつでも叶えてあげるよ。」
クスクス笑いながらカルが私の唇にキスをした。
「自分の事をよくわかってるじゃないか。」
「クラリス……俺をなんだと思ってるんだ。確かにリティの怪我を見るとそれも考えたがリティが嫌だろうからな。それと……………………。」
二人に小声ではっきりと伝えると、
「………カルティドの怒りがおさまっていないのがよくわかった。」
「………バカ兄はまだマシでしたね。あの程度で許していただいてありがとうございます。」
「このことはリティには伝えるなよ。他の皆の処分についても俺から話す。」
二人ともコクりと深く頷いた。
「なぁ、今からリティに会えるか?父上や母上も皆心配していてな……様子を見に行きたい。」
「俺もあの時のリティアナしか見てないので心配です。今どんなかリティアナに会いたいです。」
「………今は駄目だ。誰にも会わせられない。」
「おい………………軟禁するなよ。」
クラリスの言葉でイグルスがガン見してくる。
軟禁か…………しないとは言えない。今も誰にも会わさず閉じ込めたい衝動に刈られるんだ。
「とにかく今は駄目だ。家族には落ち着いたら………な。イグルスのこともリティに伝えておくから連絡を待て。」
自信がないため返事をせず、会わすとだけ伝えておく。
そんな俺をクラリスはジトーと睨んできて
「はぁ………その様子ではお前の部屋にいるだろ。まだ肉体的にも精神的にも回復してないだろうから無理させるなよ。」
クラリスはリティのことを気に掛けてるが俺のことを信用してくれてるのだろう。
裏切るようなことはしないさ。
イグルスはクラリスとのやり取りでわかったのか複雑な顔をしていた。
リティのことが好きだから複雑なんだろうが受け入れてもらうしかない。
俺も遠慮はしないさ。クラリスにもイグルスにも俺の側近として今後働いてもらうのだから。
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「んっ…………...カル?」
目を開けると隣に寝転がって私を見つめているカルが目に入った。
意識がはっきりしてくるとカルに腕枕されてるのに気づいた。
「リティごめん。もっと早く気づいて助けてあげれてたら傷つかずにすんだのに。」
自分が怖い目に遭ったはずなのにカルの方が傷ついた目をしてる。
「私もごめんなさい。油断しちゃいました。カルがいない時に来た侍女がカルと親しげだったから………そっちに気をとられてしまって油断してごめんなさい。」
「侍女!?俺に親しい侍女なんていないが、リティもしかして……ヤキモチ妬いてくれたのか?」
カルの顔がにやけだしたから顔に熱が集中してきて
「ちっちっ違う違う!!!だって………慣れた感じでカルの部屋に入ってきたから疑ってしまったの……ごめんなさい。」
「……………それはリティを拉致した侍女か?」
私の話を聞いたカルの顔が真顔で怒ってるようで言葉にせずコクりと頷いた。
「わかった。今は自分のことだけを考えて心身共にゆっくりするんだ。あれからのことは聞きたいときに聞いてくれ。どうなったか教えるから。それから、侍女だけでなくリティ以外に手を出したことも心奪われたことなんて一度もないの知ってるだろう。幼い頃からリティ一筋だということも。俺にはこれからも変わらずリティだけだ。」
「わかった、カルを信じるからキッキッキスしてほしい。」
変なこと言ってるのはわかってるけど、あんなことあった後だから余計カルを感じて安心したいと思ってしまった。
「いつでも叶えてあげるよ。」
クスクス笑いながらカルが私の唇にキスをした。
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