お兄様が攻略対象者で妹のモブ令嬢のはずですが、攻略対象者が近づいてきて溺愛がとまりません。

MAYY

文字の大きさ
上 下
45 / 98
第一章 ヒロイン編

45.

しおりを挟む
コツコツコツ………

ヤバイですわ。足音が近づいてきます。
私の方が先に来ておりましたが、エスト・グレニチェにとってはただの覗き見していたヤバイ人ですよね。

バンッ

目の前にエスト・グレニチェが現れたと思ったら逃げないように両手で本棚ドンならぬ壁ドンされております。

「ごっごめんなさい。見るつもりなかったのですがこの部屋から出れなくて………。」

疑われる前に本当のことを言って許してもらおう。

「虐められてるの?」

「……………わかりませんが、私の油断から招いたことです。」

「ふーん……大変だね、皇太子の婚約者なんて。」

「私の事知ってるのですか?」

「知らない人はいないんじゃないかな。あのカルティド殿下が溺愛していると噂される令嬢は良くも悪くも目立つよ。」

かなり近いから前髪の間なら見える瞳はとても綺麗な印象を受けた。
思わず手で前髪を触って瞳が現れました。

「ブルーの瞳がとっても綺麗ですわ。」

やっぱり綺麗な瞳をしてる人でした。
前髪に隠れてるなんてもったいないですわ。
固まり目を見開いて私を見るエスト・グレニチェに気付いてハッとした。

「ごめんなさい。瞳が綺麗だったから思わず手が出てしまいましたわ。」

「……………………………………。」

何も言わなくなってしまったわ。
私が許可もなく前髪を触ってしまったからですよね。

「突然すみませんでした。そろそろ………………離れてください。」

先程から壁ドンされていてあまりにも近いのです。
突然首の方に手を伸ばされ、ネックレスを触られた。

「これか。どおりで気配を感じなかったわけだ。カルティド殿下に溺愛されているというのは本当らしいな。」

エスト・グレニチェは何を納得してるのでしょうか?

「知らないのか?不思議そうな顔をしてるな。………今まで不思議なことはなかったか?」

「不思議なことですか?う~ん……………そういえば私に触れようとしたイグルスが触れられずに少しの衝撃と共に弾かれたようなことがありましたわ。でも、エスト・グレニチェ様は弾かれることなく私のネックレスまで触れてますからきっと気のせいだったのかもしれませんね。」

「いや俺は魔力が強いから起きないだけで、俺以外だと皆弾かれるだろうな。これはカルティド殿下に貰ったものだろ?」

「そうですわ。」

「このネックレスにはリティアナ嬢を守るために加護の魔法が備え付けられてる。下心ある男はリティアナ嬢に近づけないだろうな。」

何て事でしょう。
今までカルが身に付けていてと言っていた意味がようやくわかりましたわ。
離れていても守ってくれてたのですね。

「あからさまだな。そんな嬉しそうにデレた顔するなよ。さてと、カルティド殿下を呼んでみようか。」

どうやってカルを呼ぶのでしょうか?
ここは人気のない資料室な上に今カルは授業中だと思いますが……。
にやっと笑いながらエスト・グレニチェが持っているネックレスが優しい光を放ちだした。
なにこれ………魔法ですか?
カルには劣るだろうけど、エスト・グレニチェは魔導師の息子で相当の魔力があったはず。



「リティ!!!」



えっ?
部屋に突然響いた声に驚いて声のする方を向くと、今までに見たことのないくらい血相を変えたカルが立っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~

saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。 前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。 国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。 自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。 幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。 自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。 前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。 ※小説家になろう様でも公開しています

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

異世界細腕奮闘記〜貧乏伯爵家を立て直してみせます!〜

くろねこ
恋愛
気付いたら赤ん坊だった。 いや、ちょっと待て。ここはどこ? 私の顔をニコニコと覗き込んでいるのは、薄い翠の瞳に美しい金髪のご婦人。 マジか、、、てかついに異世界デビューきた!とワクワクしていたのもつかの間。 私の生まれた伯爵家は超貧乏とか、、、こうなったら前世の無駄知識をフル活用して、我が家を成り上げてみせますわ! だって、このままじゃロクなところに嫁にいけないじゃないの! 前世で独身アラフォーだったミコトが、なんとか頑張って幸せを掴む、、、まで。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?

青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。 そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。 そんなユヅキの逆ハーレムのお話。

義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます

富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。 5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。 15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。 初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。 よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!

処理中です...