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第一章 ヒロイン編

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「さぁ、リティこの前のように座って話をしよう。」

部屋に入って開口一番に言われた一言。
私に有無を言わさずさも当たり前のように言ってきますわ。
確かに今はプライベートですものね。
私はソファーに座ったカルの隣………ではなくカルの膝の上に座りカルの首に腕を回す……恥ずかしいですわ。
それでも、これがカルとの約束なのです。

「覚えていたんだね。リティ嬉しいよ。」

私の頬を触りながら間近にある顔が笑みに変わるのを見てホッとする。
この部屋カルの部屋に来るのはこれで2回目である。
………婚約発表のパーティーが終わるとすぐに帰るはずが何故かカルの部屋に連れてこられた。
あの時、イークス令嬢とのことを疑ったことがカルには伝わり部屋に来てからは大変でしたわ。


ーーーーーーーーーー
ーーーーー


「俺がそんな軽率なことすると思ったんだ。リティのことをどれだけ一途に想ってるかわかってないみたいだから今からしっかりと俺の想いを伝えよう。」

そう言ってカルは私の手から始まり腕、頬、瞼、額、髪………唇以外に全て口付けをしてきます。

「ちっちょっと待ってください!!」

あまりの羞恥に暴走するカルを止めようとカルを押すがビクともしないのです。

「どうしてやめさせる?俺がどれだけリティを好きかわかってないだろ……言葉だけじゃ伝わっていないから態度で示してるんだよ。」

先程のことをそれほどまでに怒ってらしたのね。

「疑ってごめんなさい。」

「もう一度言うが、俺はリティ以外を側におくつもりはない。俺はね、皇太子の役目は果たすがリティ以外の女性にまで優しくするつもりはないからな。結構冷たいと思うんだけどな俺って。幼いときからずっとリティだけだよ。愛してるよ、リティ。」

あっ愛!?
………わかっておりましたが、カルの想いは重いですわね。
私も素直に伝えないとですね。

「カルの気持ちは伝わってきましたわ。そこまで私のことを想ってくださってありがとうございます。先程のことですが………あのご令嬢と親密なのかと疑って気分が悪く………ではなくて私を前から好きといっておきながらムカムカしましたわ。要するにあのご令嬢に嫉妬しました!それくらいっ…………。」

言い終わる前に抱き締められ言葉が遮られました。
ギュギュギューーーーーーと抱き締められ………て強い強い強い強いですわ。

「カッ…………………………ル…………痛い……………で……………す。」

「ごめん。リティが俺のことで嫉妬してくれたのが嬉しくて。」

やめてください。
本当に反則ですわ………。
力を緩めて私を見つめるカルの顔が幸せですとふにゃりと笑っておりますわ。
なんなんですか!この可愛いカルは!!
ただの嫉妬だけでこんなに幸せそうな顔をされると私の心臓がもちませんわ。
それにカルは言葉でも態度でも好きだと示してくれてるのに私だけ何も言わないのはよくないですわね。
ここは私も気持ちと態度でお伝えしなければ。

「……さっきの続きですが、私あのご令嬢に嫉妬するくらいカルのことが好きです。カルの気持ちにはまだ及ばないと思いますがカルが好きです。」

カルの瞳を間近に見つめながらふんわりと笑顔で伝えた。
私だって幸せなんですよって意味を込めましたわ。
目を見開き私を見てましたが黄金の瞳をキラキラさせ私の頬を撫で始めました。

「リティが俺を好きだと言ってくれた。本当に嬉しいよ。俺も愛してる。もっと俺と同じくらいに好きになってもらえるように頑張らないとな。これからはリティを大事にする。」

素敵な言葉です。言われて私も嬉しいですわ。
正直きゅんっとなります………がなるのですが、何故でしょうとても重くも感じますわ。
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