19 / 98
第一章 ヒロイン編
19.
しおりを挟む
挨拶回りがこんなに疲れると思いませんでしたわ。
「リティ疲れただろ。座って休憩しよう。」
そう言われて頷き歩き始めた矢先、ガシャンと何かが落ちたような音と女性の悲鳴が聞こえた。
何があったのかと一斉に周りの皆が注目した方を見ると、あの黒髪のご令嬢とあのキツい性格と有名なエモア公爵令嬢が中心にいた。
学園入学したばかりなのに令嬢たちの情報は何故か聞こえてくる……性格やら遊び事や恋愛事情など。女性は噂話が好きなのですわ。
やっぱりあの黒髪の令嬢はヒロインだろう。
しかもこれってイベントじゃない??
婚約発表のパーティーってイベントはなかったから何のイベントなんだろ??
周りの話を聞くとどうやら黒髪の令嬢がエモア公爵令嬢のドレスに飲み物をこぼしてしまったらしい。
悪意があるのかないのかは今は判断しかねるが、また近くにはあいつがいた。
攻略対象達ではなくあいつだ。何故ですの!?
お前はストーカーか!!と叫びたくなるのは我慢するが、せっかくの御披露目で楽しい気分が一気に嫌な気持ちになる。
エモア公爵令嬢が何やら文句をいっているが黒髪の令嬢はあいつに守られて震えている。
私からすれば、どんな状況だったとしてもドレスに飲み物をこぼしたのは事実ですのでその事はしっかりと謝るべきですわ。
現に「まず言うことがあるでしょう!?」と言われてるのが聞こえてきます……余程頭にきたのでしょう。
周りからも謝りもしないで………と小言が聞こえてきましたわ。
守られて震えているだけではエモア公爵令嬢も怒りたくなるということです。
ヒロインはあまり礼儀がないのかしら?
ゲームでは令嬢らしくない令嬢だったところも皆を引き付ける一つではありましが、実際に見てしまうと非常識に見えてしまいますね。
俺はか弱い子を守ってる感がびしびしと伝わってきて気持ち悪いですが、あいつ以外誰も助けないところを見ると相手も相手だからなのか非常識と捉えてるのか………とりあえず、あいつがまた黒髪の令嬢を支えながらその場を離れていきます。
「きゃっ。」
急に腰をさらに引き寄せられそのままお姫様だっこされました。
「なっなっな何をしてますのカル。恥ずかしいですわ、下ろしてくださいませ。」
お姫様抱っこで注目を集めてしまっていることを気にもとめず、スタスタと歩いていくカル。
「リティが俺から余所見するからいけないんだよ。」
なにそれ!!
ただ成り行きを見てただけで………ブレーリ公爵令息を見てたと思われたのだろうか?
「ブレーリ公爵令息を見ていたわけではありませんわ。」
「わかってるよ。でも嫌なものは嫌なんだ。俺だけをリティの瞳に映して。」
ぎゃぁぁ!!と叫びたくなるような甘い言葉を言われて………誰ですの!あなたは誰!?
カルって本当に甘々なのですね……小さい頃からの付き合いですが知りませんでしたわ。
顔が熱くなるのがわかって私絶対に顔が真っ赤だ………と思うと恥ずかしくなり、カルの顔を見ることができず俯せていると、カルが私の頭を自分の身体に引き寄せて間近になったカルの洋服からカルの匂いが漂ってきて身体が硬直した。
「レイロ、リティが気分が優れなく部屋に案内する。落ち着いたら戻ってくるがその間に何かあれば教えてくれ。」
「わかりました。」
私がいつ気分が優れなくなりましたの!?
疲れてはおりますが……そんなに心配しなくてもよろしくてよ?
とは思っていてもカルに顔を埋めている私には反論することはできない。
「リティ、やっと二人きりになったね。」
部屋に入るとソファーにそのまま座りお姫様だっこをされながら今私の頭は解放されましたわ。
「カル……私具合が悪くありませんわ。」
間近にあるカルの顔をジロッと睨みながら伝えると、
「ごめんな。どうしても二人きりになりたくてね。」
謝っているわりにはにこにこと顔がしておりますが、全く悪いと思っておりませんわね。
「はぁ、カル今日は私達主役なのですよ。すぐに戻らないと…………なっなにをジーと見てますの!!」
間近でカルの瞳から見つめられると会話もままならない。
その瞳やめてください。吸い込まれそうになりますわ。
何も言わずこの至近距離での見つめられる行為………なんですの!?なんですの!?
私をどうしたいのですか!!!!
「リティ疲れただろ。座って休憩しよう。」
そう言われて頷き歩き始めた矢先、ガシャンと何かが落ちたような音と女性の悲鳴が聞こえた。
何があったのかと一斉に周りの皆が注目した方を見ると、あの黒髪のご令嬢とあのキツい性格と有名なエモア公爵令嬢が中心にいた。
学園入学したばかりなのに令嬢たちの情報は何故か聞こえてくる……性格やら遊び事や恋愛事情など。女性は噂話が好きなのですわ。
やっぱりあの黒髪の令嬢はヒロインだろう。
しかもこれってイベントじゃない??
婚約発表のパーティーってイベントはなかったから何のイベントなんだろ??
周りの話を聞くとどうやら黒髪の令嬢がエモア公爵令嬢のドレスに飲み物をこぼしてしまったらしい。
悪意があるのかないのかは今は判断しかねるが、また近くにはあいつがいた。
攻略対象達ではなくあいつだ。何故ですの!?
お前はストーカーか!!と叫びたくなるのは我慢するが、せっかくの御披露目で楽しい気分が一気に嫌な気持ちになる。
エモア公爵令嬢が何やら文句をいっているが黒髪の令嬢はあいつに守られて震えている。
私からすれば、どんな状況だったとしてもドレスに飲み物をこぼしたのは事実ですのでその事はしっかりと謝るべきですわ。
現に「まず言うことがあるでしょう!?」と言われてるのが聞こえてきます……余程頭にきたのでしょう。
周りからも謝りもしないで………と小言が聞こえてきましたわ。
守られて震えているだけではエモア公爵令嬢も怒りたくなるということです。
ヒロインはあまり礼儀がないのかしら?
ゲームでは令嬢らしくない令嬢だったところも皆を引き付ける一つではありましが、実際に見てしまうと非常識に見えてしまいますね。
俺はか弱い子を守ってる感がびしびしと伝わってきて気持ち悪いですが、あいつ以外誰も助けないところを見ると相手も相手だからなのか非常識と捉えてるのか………とりあえず、あいつがまた黒髪の令嬢を支えながらその場を離れていきます。
「きゃっ。」
急に腰をさらに引き寄せられそのままお姫様だっこされました。
「なっなっな何をしてますのカル。恥ずかしいですわ、下ろしてくださいませ。」
お姫様抱っこで注目を集めてしまっていることを気にもとめず、スタスタと歩いていくカル。
「リティが俺から余所見するからいけないんだよ。」
なにそれ!!
ただ成り行きを見てただけで………ブレーリ公爵令息を見てたと思われたのだろうか?
「ブレーリ公爵令息を見ていたわけではありませんわ。」
「わかってるよ。でも嫌なものは嫌なんだ。俺だけをリティの瞳に映して。」
ぎゃぁぁ!!と叫びたくなるような甘い言葉を言われて………誰ですの!あなたは誰!?
カルって本当に甘々なのですね……小さい頃からの付き合いですが知りませんでしたわ。
顔が熱くなるのがわかって私絶対に顔が真っ赤だ………と思うと恥ずかしくなり、カルの顔を見ることができず俯せていると、カルが私の頭を自分の身体に引き寄せて間近になったカルの洋服からカルの匂いが漂ってきて身体が硬直した。
「レイロ、リティが気分が優れなく部屋に案内する。落ち着いたら戻ってくるがその間に何かあれば教えてくれ。」
「わかりました。」
私がいつ気分が優れなくなりましたの!?
疲れてはおりますが……そんなに心配しなくてもよろしくてよ?
とは思っていてもカルに顔を埋めている私には反論することはできない。
「リティ、やっと二人きりになったね。」
部屋に入るとソファーにそのまま座りお姫様だっこをされながら今私の頭は解放されましたわ。
「カル……私具合が悪くありませんわ。」
間近にあるカルの顔をジロッと睨みながら伝えると、
「ごめんな。どうしても二人きりになりたくてね。」
謝っているわりにはにこにこと顔がしておりますが、全く悪いと思っておりませんわね。
「はぁ、カル今日は私達主役なのですよ。すぐに戻らないと…………なっなにをジーと見てますの!!」
間近でカルの瞳から見つめられると会話もままならない。
その瞳やめてください。吸い込まれそうになりますわ。
何も言わずこの至近距離での見つめられる行為………なんですの!?なんですの!?
私をどうしたいのですか!!!!
1
お気に入りに追加
642
あなたにおすすめの小説

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!


【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
悪役令嬢は男装して、魔法騎士として生きる。
金田のん
恋愛
VRMMOで<剣聖>の異名を持ち、一部で有名だった理奈は、ある日、乙女ゲームで死亡フラグ満載の悪役公爵令嬢・レティシアに転生していることに気づく。
剣と魔法のある世界で、VRMMOのキャラクターと同じ動きができることに気付いた理奈は、
ゲーム開始前に同じく死亡予定の兄を助けることに成功する。
・・・・が、なぜか男装して兄の代わりに魔法騎士団に入団することになってしまい・・・・・?
※何でも許せる人向けです!
<小説家になろう>で先行連載しています!(たぶんそのうち、追いつきます)
https://ncode.syosetu.com/n4897fe/

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、142話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(11/21更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる