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第一章 ヒロイン編

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「………カルティド何かしたな!?」

放課後に王宮内にあるカルティドの執務室で今朝のリティとのことを思い出しながら問いただす。

「クラリスは誤魔化せないな。そうだね~………たぶんクラリスなら察しがついているだろ。」

ニヤリと笑いカルティドが俺を見る。
はぁ……こいつやりやがったな。俺に対するリティの行動を見ていつかはやるだろうと思っていたが………まさか本当に実行するとは。

「リティが急にあんなことおかしいと思うのは当然だ!!あれではカルティドがリティを気に入ってると見せつけているみたいだろ。今日のことはすでに学園内には広まっていた。貴族の情報は早いんだ……明日には王都内には広まったいるだろうな。」

「だろうな。」

不適な笑みを浮かべながら満足そうな顔をしているカルティドを見てため息が出る。

「狙ってやったな。」

「当たり前だ。リティアナは婚約者もいるわけではないしあんなに可愛いんだ………令息達が狙わないわけないだろ。公爵令嬢だから狙うやつは限られるだろうがな。」

「お前は………入学すれば婚約者候補として名乗りが出ている他の公爵令嬢に侯爵令嬢達が黙ってないんじゃないか。リティが危険に合うかもと考えなかったのか!?」

これからリティがいろんな意味で狙われるだろうことは予想できたはずだ。カルティドの婚約者候補の中でも一番厄介な性格をしているのはエモア公爵令嬢だ。
あんなに学園生活を楽しみにしていたリティが危険な目に合うようなことがあってはならない。
カルティドを睨み付けていると、

「俺がリティを危険な目に合わせるわけないだろ。そんなやつは抹殺しよう。必ず守るよ。安心してクラリスお兄様。」

「物騒なことは言うな。それにお前にお兄様と言われたくないな。」

「ははっ。将来の予行練習だ。」

「カルティド……リティのこと本気なんだな?」

「そうだな………俺よりも先にリティと添い寝したり抱きつかれたり眩しい笑顔を向けられて殺意がわいてくるほどにな。」

…………なるほど、かなり本気ってことか。

「俺は兄だからな。その嫉妬はやめろ。」

「……ならリティと添い寝はやめろ。抱きつくことは家族だから許そう。でないと何するかわからないよ。」

忠告すると笑っていない目で俺に笑顔を向けてきた。

「…………善処する。」

カルティドは本気だ。そこまで嫉妬するほどリティのことが好きか…………カルティドに目をつけられるとは不運なのかここまでカルティドに想われて幸せなのか俺にはわからないな。
ただ言えることは……………

「はぁ……いつからここまでリティに固執してたんだ。全くわからなかった。リティを傷つけることは許さないからな。」

「わかった。ははっ。そうだなぁ~小さい頃からとでも言っておこうか。お前の許可はとったから存分に口説かせてもらうよ。」

今どんな顔をしてるか気づいてないだろ。
小さい頃からの幼馴染みでいろんな面を知っているつもりだったが、いつになく浮かれてるこんなカルティドは初めて見た。
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