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第4話
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「……聞いてねーよ!こんな遠いの??」
あれから、白ローブから女性用の緑の金属で出来た胸当て、両腕には同じく緑の金属製の籠手、そして下はこれも同じく緑の金属で出来たスカート状の防具で武装したマリスに引き連れられ、延々と街道を歩かされている。
……もうかれこれ一時間位は歩いてきただろうか。一体、いつになったら目的地に到着するのだろう。
勇者(名前:真下カイト(ましたかいと)普通高校の2年生。当年とって17才。結局ハプニングのため誰にもまだ名前を聞かれていなかった…。)は汗のにじんだ額から長めの黒い前髪を手で振り払う。
「…しょうがないでしょ…。……あなたの為にわざわざ迂回して歩いているの。強いモンスターの出没する地点を避けて…。」
……何か心なしか機嫌悪くない?あと「勇者様」はどこ行った?いつの間にかタメ口になってるし。
あれか、やっぱ俺が儀式の失敗作だからか。そういうことなのか。
カイトが一人うじうじ考えていると、
「…着いたわ。」とマリスが告げた。
雑念に振り回されている間にいつのまにか深い森に来ていた。100mほど先だろうか。綺麗な泉がサラサラと涌き出ている。
「…ふぅーー……。…どっこいしょっと…。」
いきなりマリスがストンと地面に腰を下ろす。さすがに彼女も疲れたのだろうか。それとも、パチもんの勇者(?)に敬意が無いだけか。
「…じゃあ、始めて頂戴……。」
ポカンとしているカイトに、マリスは、
「…な~にボサッと突っ立ってんのよ…!早く戦いなさい…!」
……うん、やっぱりアレだ、これはそういうこと(パチもん勇者(確定)に敬意ゼロ)だな。決して女の子の日なんかじゃなくって…。
やべ、なんか涙出そう……。
プルプル悲しみに肩を震わせているカイト(ゆうしゃ)には目もくれず全然別の方向の森の奥の方を見ながら、
「……べつにあんたが儀式の失敗作だ、なんて思ってないわ…。単にこっちが素なだけよ…。」
相変わらず気だるい喋り方だがどうやら悪意はなかったのか??やっぱり失敗作だって思ってたんじゃねぇか!!
心持ち(泣かない程度には)持ち直したカイトに、
「……モンスターはその辺にいると思うから歩き回って御覧なさい…。私はここで見守っているわ……。」とマリスが言った。
いやいや、お前絶対サボりたいだけだろ!!
……そう思ったが先程までの様に静かに怒られたくはない。
カイトは森の奥へと足を踏み入れた。
……チチチチチ、ピィーピィーピィー………。何処かで鳥の鳴き声が聞こえる。
…マリスと別れてから10分ほど辺りを探索したものの、見かけるのは鳥や虫逹ばかりでいっかなモンスターらしい生物の姿は確認できない。
「………えーーっっ!!なんだよ!全然モンスターなんて出ないじゃんかー!!」
いい加減1時間以上歩かされた疲れが足に来ている。カイトはその場に座って休むことにした。
……ピィーピィーピィー、チチチチチ……。一面には屋久島にでもありそうな苔に覆われたやたらと立派な木々が生えていて、しばし心奪われる。
……ガサガサっ!!どこかの茂みで動物が動き回るような音がしたが、どうせまた鳥かなんかだろう、とたかを括ってカイトはいちいち音のした方を見ようともしない。
「キィーーキィーーキィーー!!!」唐突に脇の茂みから何か小さな動物が体当たりしてきた。ぽよんっ。
「……痛っ、くない!?!?」
体当たりをしてきたのは、なんというか、ハツカネズミを少しばかり大きくしたような尻尾の先に赤い宝石のような物体が引っ付いたなんとも愛らしいモンスター(多分)だった。
「……よ、よーし!ちょっと可哀想な気もするけど、こっちもこれ以上歩かされたくないからな!(帰りもあるし……。)」
「てやぁぁー!!」カイトは事前にマリスから渡されていた小振りな棍棒を振りかぶる。ぽよんっ!
「キィーーキィッーー!!!!」なんとなく怒っているようなネズミもどきはしかし、全くダメージを受けていないように見える。
「……ひょっとして、この棍棒攻撃力とかないんじゃ?」そう思ってカイトは自分の左腕に思い切り棍棒を叩きつけた。
「……痛ぃっってぇぇぇぇぇぇーーーーー!!!!」
思わず左腕を抱え、ピョンピョンとジャンプするカイト。
「折れたかと思ったわっっーーー!!!」
……あれ?でもおかしいぞ?さっきもそこそこ力を入れたつもりだったのに。…なんでこのパッと見、愛らしいネズミもどきは全く傷を負っていないんだ……!?
不思議に思いつつも、今度は全力でネズミもどきに棍棒を振るった。ぽよんっ。
果たしてそこには全く無傷のネズミもどき。
思わず額から冷や汗が流れ落ちる。
「なんでやねーーーーんっ!!!!どうしてだよっっ!!!」よくわからない事態に二度突っ込むカイト。
……そんなカイトを先程カイトに棍棒で殴られたネズミもどきが熱烈な瞳で見つめている。
「…えっ、なにお前連れてって欲しいのか?」
言葉なぞわからないはずなのにコクコクと首を縦に振るネズミもどき。……こうして勇者(仮)に仲間が出来た!!
あれから、白ローブから女性用の緑の金属で出来た胸当て、両腕には同じく緑の金属製の籠手、そして下はこれも同じく緑の金属で出来たスカート状の防具で武装したマリスに引き連れられ、延々と街道を歩かされている。
……もうかれこれ一時間位は歩いてきただろうか。一体、いつになったら目的地に到着するのだろう。
勇者(名前:真下カイト(ましたかいと)普通高校の2年生。当年とって17才。結局ハプニングのため誰にもまだ名前を聞かれていなかった…。)は汗のにじんだ額から長めの黒い前髪を手で振り払う。
「…しょうがないでしょ…。……あなたの為にわざわざ迂回して歩いているの。強いモンスターの出没する地点を避けて…。」
……何か心なしか機嫌悪くない?あと「勇者様」はどこ行った?いつの間にかタメ口になってるし。
あれか、やっぱ俺が儀式の失敗作だからか。そういうことなのか。
カイトが一人うじうじ考えていると、
「…着いたわ。」とマリスが告げた。
雑念に振り回されている間にいつのまにか深い森に来ていた。100mほど先だろうか。綺麗な泉がサラサラと涌き出ている。
「…ふぅーー……。…どっこいしょっと…。」
いきなりマリスがストンと地面に腰を下ろす。さすがに彼女も疲れたのだろうか。それとも、パチもんの勇者(?)に敬意が無いだけか。
「…じゃあ、始めて頂戴……。」
ポカンとしているカイトに、マリスは、
「…な~にボサッと突っ立ってんのよ…!早く戦いなさい…!」
……うん、やっぱりアレだ、これはそういうこと(パチもん勇者(確定)に敬意ゼロ)だな。決して女の子の日なんかじゃなくって…。
やべ、なんか涙出そう……。
プルプル悲しみに肩を震わせているカイト(ゆうしゃ)には目もくれず全然別の方向の森の奥の方を見ながら、
「……べつにあんたが儀式の失敗作だ、なんて思ってないわ…。単にこっちが素なだけよ…。」
相変わらず気だるい喋り方だがどうやら悪意はなかったのか??やっぱり失敗作だって思ってたんじゃねぇか!!
心持ち(泣かない程度には)持ち直したカイトに、
「……モンスターはその辺にいると思うから歩き回って御覧なさい…。私はここで見守っているわ……。」とマリスが言った。
いやいや、お前絶対サボりたいだけだろ!!
……そう思ったが先程までの様に静かに怒られたくはない。
カイトは森の奥へと足を踏み入れた。
……チチチチチ、ピィーピィーピィー………。何処かで鳥の鳴き声が聞こえる。
…マリスと別れてから10分ほど辺りを探索したものの、見かけるのは鳥や虫逹ばかりでいっかなモンスターらしい生物の姿は確認できない。
「………えーーっっ!!なんだよ!全然モンスターなんて出ないじゃんかー!!」
いい加減1時間以上歩かされた疲れが足に来ている。カイトはその場に座って休むことにした。
……ピィーピィーピィー、チチチチチ……。一面には屋久島にでもありそうな苔に覆われたやたらと立派な木々が生えていて、しばし心奪われる。
……ガサガサっ!!どこかの茂みで動物が動き回るような音がしたが、どうせまた鳥かなんかだろう、とたかを括ってカイトはいちいち音のした方を見ようともしない。
「キィーーキィーーキィーー!!!」唐突に脇の茂みから何か小さな動物が体当たりしてきた。ぽよんっ。
「……痛っ、くない!?!?」
体当たりをしてきたのは、なんというか、ハツカネズミを少しばかり大きくしたような尻尾の先に赤い宝石のような物体が引っ付いたなんとも愛らしいモンスター(多分)だった。
「……よ、よーし!ちょっと可哀想な気もするけど、こっちもこれ以上歩かされたくないからな!(帰りもあるし……。)」
「てやぁぁー!!」カイトは事前にマリスから渡されていた小振りな棍棒を振りかぶる。ぽよんっ!
「キィーーキィッーー!!!!」なんとなく怒っているようなネズミもどきはしかし、全くダメージを受けていないように見える。
「……ひょっとして、この棍棒攻撃力とかないんじゃ?」そう思ってカイトは自分の左腕に思い切り棍棒を叩きつけた。
「……痛ぃっってぇぇぇぇぇぇーーーーー!!!!」
思わず左腕を抱え、ピョンピョンとジャンプするカイト。
「折れたかと思ったわっっーーー!!!」
……あれ?でもおかしいぞ?さっきもそこそこ力を入れたつもりだったのに。…なんでこのパッと見、愛らしいネズミもどきは全く傷を負っていないんだ……!?
不思議に思いつつも、今度は全力でネズミもどきに棍棒を振るった。ぽよんっ。
果たしてそこには全く無傷のネズミもどき。
思わず額から冷や汗が流れ落ちる。
「なんでやねーーーーんっ!!!!どうしてだよっっ!!!」よくわからない事態に二度突っ込むカイト。
……そんなカイトを先程カイトに棍棒で殴られたネズミもどきが熱烈な瞳で見つめている。
「…えっ、なにお前連れてって欲しいのか?」
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