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第33話
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11月12日
荒垣は、前日、宇都宮と約束した時間に、S警察署の一階待合室までやって来ていた。
……ほどなくして、宇都宮が、階段を降りてこちらにやって来る。
「よし!それじゃあ、詳しく聞かせてもらおうか」
2人は、連れ立って取調室へと入っていく。
「それで、電話では、須藤君と三宅さんが、行方不明ってことだが、何か心当たりは?」
憔悴しきった様子で、荒垣が答える。
「……いいえ。全く。……でも、もしかすると……」
その先を引き継いで宇都宮が言った。
「……あのストーカー野郎、もとい、連続殺人の犯人に拐われたと?」
「……かもしれません……」
そう言って力なく、荒垣はうなだれた。
「……ふぅむ。……一応、お前達は、連続殺人の犯人と関わりがあるようだからな。こちらの方でも、何とか足取りを追ってはみるが……。
……なにせ、やつは、今の今まで、全くといっていいほど、こちらに尻尾を掴ませてくれないからな。……まあ、あまり期待しないで、待っていてくれ」
「あっ!そうだっ!そういえば、2人は、三岳山のレストランに、デートに行くとかって言っていたような……」
「なるほど。わかった。ちゃんと、うちの部下にも伝えておくよ。……すまないな。こっちも、あの事件のせいで、てんてこまいで、もう行かなければ……」
そう言って、荒垣に片手をあげると、宇都宮は、取調室から出ていった。
一人取調室に残された荒垣は、奥歯を噛み締めながら、「……クソッッ……!」と、呟いた。
◆ ◆ ◆ ◆
11月14日
私は、呆けたように頭上の通風口を見上げていた。
外では、どうやら小雨が降っているようだった。
シトシト、という雨音を聞きながら、私は、これからどうすればよいのか、についてずっと、考えを巡らせていた。
机の上のパソコンに目を向けると、私は、
「結局、これの設問に答えるくらいしか今はやることがない、か……」
と、呟くと、椅子に座って、思い付くままにパソコンの解答欄に、答えを打ち込んでゆく。
……しかし、何度やってみても、エラー音が鳴り響くばかりで、そのうち、私は諦めてうなだれた。
……前回は、通風口にヒントの書かれた紙が挟まっていたが、今回はそういうことも無さそうだった。一通り、部屋の中は調べてはいたが、何の収穫もなかった。
……相変わらず、シトシトと、雨音が天井の通風口から鳴り響いていた。
荒垣は、前日、宇都宮と約束した時間に、S警察署の一階待合室までやって来ていた。
……ほどなくして、宇都宮が、階段を降りてこちらにやって来る。
「よし!それじゃあ、詳しく聞かせてもらおうか」
2人は、連れ立って取調室へと入っていく。
「それで、電話では、須藤君と三宅さんが、行方不明ってことだが、何か心当たりは?」
憔悴しきった様子で、荒垣が答える。
「……いいえ。全く。……でも、もしかすると……」
その先を引き継いで宇都宮が言った。
「……あのストーカー野郎、もとい、連続殺人の犯人に拐われたと?」
「……かもしれません……」
そう言って力なく、荒垣はうなだれた。
「……ふぅむ。……一応、お前達は、連続殺人の犯人と関わりがあるようだからな。こちらの方でも、何とか足取りを追ってはみるが……。
……なにせ、やつは、今の今まで、全くといっていいほど、こちらに尻尾を掴ませてくれないからな。……まあ、あまり期待しないで、待っていてくれ」
「あっ!そうだっ!そういえば、2人は、三岳山のレストランに、デートに行くとかって言っていたような……」
「なるほど。わかった。ちゃんと、うちの部下にも伝えておくよ。……すまないな。こっちも、あの事件のせいで、てんてこまいで、もう行かなければ……」
そう言って、荒垣に片手をあげると、宇都宮は、取調室から出ていった。
一人取調室に残された荒垣は、奥歯を噛み締めながら、「……クソッッ……!」と、呟いた。
◆ ◆ ◆ ◆
11月14日
私は、呆けたように頭上の通風口を見上げていた。
外では、どうやら小雨が降っているようだった。
シトシト、という雨音を聞きながら、私は、これからどうすればよいのか、についてずっと、考えを巡らせていた。
机の上のパソコンに目を向けると、私は、
「結局、これの設問に答えるくらいしか今はやることがない、か……」
と、呟くと、椅子に座って、思い付くままにパソコンの解答欄に、答えを打ち込んでゆく。
……しかし、何度やってみても、エラー音が鳴り響くばかりで、そのうち、私は諦めてうなだれた。
……前回は、通風口にヒントの書かれた紙が挟まっていたが、今回はそういうことも無さそうだった。一通り、部屋の中は調べてはいたが、何の収穫もなかった。
……相変わらず、シトシトと、雨音が天井の通風口から鳴り響いていた。
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