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第32話
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5月12日
ここ数ヶ月の間、インターネット経由で薬を発注するのは、以前のようにサトミではなく、ーー自身がやるようになっていた。
サトミは、人当たりのいい女だが、その反面、どこか抜けているところがあり、自分がやりとりした方が、ぼったくられたり等のトラブルを回避できるのでは、と考えた為だ。
2か月ほど前からだろうか。薬の売人が、薬の売り買いとは別に、薬の使用感だの、持続時間だのを、ーーに、細かく聞いてくるようになった。
そうして、売人側の質問に答えているうちに、向こうから、薬を無料でやる代わりに、少し頼まれ事を聞いてほしい、と持ちかけられるようになった。
例えば、ある人物の素行を洗ったりだとか、尾行したりだとか。得たいの知れない、ごみ袋の投棄を頼まれたこともある。
最初は、抵抗感を覚えていたーーも、最近では、どうせ、自分達は違法な薬物に嵌まってしまっているのだし、多少、法に触れるようなことをしてもあまり変わらないだろう、とすっかり開き直ってしまっていた。
そんな、ある日。
またぞろ、薬の売人から、メールが届いた。
はいはい。今度はどんなご用件てすか。薬のためなら、わたしゃあ、なんでもやりますよ。
と、思いながらーーが、メールを開くと、そこには、"君は殺人には興味があるかい?"、とあった。
……一体、何の冗談だ!少し不機嫌になりながら、"特にはないです"、と返信する。
するとすぐに、"……本当にそうかい?"、と返事が来た。
実の所、ここ二月ほどの間、ーーは、街にいるときに、妙に気分が高まって、殺人衝動に駆られては、グッと歯を噛み締めて我慢する、という体験を何度か経験していた。
……まさか、そのことをこいつは、感づいてやがるのか?なんでまた…………。
そう思って、デスクに座ったまま、しばらくの間考え込んでいると、また、メールが届いた。
"この薬をある程度の期間使っていると、個人差はあるものの、みぃ~んな、人を殺したくてたまらなくなるのさ。……まだ、君は、本当に大丈夫なのかなぁ??辛くなったら、言ってよ!いつでも、準備は、出来てる((ノ∀`)・゚・。 アヒャヒャヒャヒャ"
届いたメールの文面を眺めたまま、ーーは、思わずギョッとしてその身を固くした。
ーーということは、サトミも!?
……前々から薄々勘づいてはいたが、たった今、ーーは、ハッキリと確信した。
自分達は、とんでもないものに、手を出してしまったのだ、と。
ここ数ヶ月の間、インターネット経由で薬を発注するのは、以前のようにサトミではなく、ーー自身がやるようになっていた。
サトミは、人当たりのいい女だが、その反面、どこか抜けているところがあり、自分がやりとりした方が、ぼったくられたり等のトラブルを回避できるのでは、と考えた為だ。
2か月ほど前からだろうか。薬の売人が、薬の売り買いとは別に、薬の使用感だの、持続時間だのを、ーーに、細かく聞いてくるようになった。
そうして、売人側の質問に答えているうちに、向こうから、薬を無料でやる代わりに、少し頼まれ事を聞いてほしい、と持ちかけられるようになった。
例えば、ある人物の素行を洗ったりだとか、尾行したりだとか。得たいの知れない、ごみ袋の投棄を頼まれたこともある。
最初は、抵抗感を覚えていたーーも、最近では、どうせ、自分達は違法な薬物に嵌まってしまっているのだし、多少、法に触れるようなことをしてもあまり変わらないだろう、とすっかり開き直ってしまっていた。
そんな、ある日。
またぞろ、薬の売人から、メールが届いた。
はいはい。今度はどんなご用件てすか。薬のためなら、わたしゃあ、なんでもやりますよ。
と、思いながらーーが、メールを開くと、そこには、"君は殺人には興味があるかい?"、とあった。
……一体、何の冗談だ!少し不機嫌になりながら、"特にはないです"、と返信する。
するとすぐに、"……本当にそうかい?"、と返事が来た。
実の所、ここ二月ほどの間、ーーは、街にいるときに、妙に気分が高まって、殺人衝動に駆られては、グッと歯を噛み締めて我慢する、という体験を何度か経験していた。
……まさか、そのことをこいつは、感づいてやがるのか?なんでまた…………。
そう思って、デスクに座ったまま、しばらくの間考え込んでいると、また、メールが届いた。
"この薬をある程度の期間使っていると、個人差はあるものの、みぃ~んな、人を殺したくてたまらなくなるのさ。……まだ、君は、本当に大丈夫なのかなぁ??辛くなったら、言ってよ!いつでも、準備は、出来てる((ノ∀`)・゚・。 アヒャヒャヒャヒャ"
届いたメールの文面を眺めたまま、ーーは、思わずギョッとしてその身を固くした。
ーーということは、サトミも!?
……前々から薄々勘づいてはいたが、たった今、ーーは、ハッキリと確信した。
自分達は、とんでもないものに、手を出してしまったのだ、と。
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