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第29話
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11月11日
マキは、その日もボーッとした表情でパソコンの置かれたデスクの前の椅子に腰かけていた。
何者かに拉致され、この部屋に連れてこられてからと言うもの、日に日に思考がまとまらなくなってきていた。
一日目こそ、パソコンに表示されている質問の答えをあれこれ考えていたが、今ではもう、それもままならない。
どうやら、マキ達を拉致してきた犯人が、何らかの薬物を使ったらしいとは感づいたものの、それに対抗する手段も思い付かず、そうしているうちに、頭のなかはドンドン靄に覆われていく。
「………………ハァーーーー」
気の抜けた吐息がマキの口から漏れる。
それでも、頭の片隅ではこの状況を打開しなければ、という思いはあった。
しかし、思考が鈍るにつれ、体の方も段々と力が入らなくなっていき、重い体を動かす気力すら今はもうなくなってしまった。
「………………ハァ」
マキは再び、憂鬱な吐息を漏らした。
◆ ◆ ◆ ◆
同日荒垣探偵事務所
「……くそっ!」
所長用の椅子に座り、タバコを吹かしながら荒垣が舌打ちした。
「一体、須藤達はどこに行った?」
窓の外からは、夕暮れのオレンジ色の光が室内に射し込んでいる。
3日前から、須藤とその恋人の三宅とは連絡が取れなくなっていた。
…………こいつは、いよいよ警察に捜索願いを出した方が…………。
確か、3日前、須藤と三宅はA山にある、小洒落たレストランで食事をとるといっていたはずだ。
それから、須藤達とは、連絡がつかない。
「…………フーッ!!」
タバコの煙を天井へと吹き付け、傍らの灰皿で火を消すと、荒垣はやおら立ち上がって、ポケットから携帯を取り出して宇都宮へと電話をかけた。
……トゥルルルル。トゥルルルル。
「……あ、宇都宮さんですか?……少しご相談したいことがありまして…………」
苦い表情で荒垣は、宇都宮に所員の失踪を告げた。
◆ ◆ ◆ ◆
同日????
「…………ハァ…………。……あの女、ここに連れて来てからというものの、全然、動かないな。つっまんねーの!!…………殺しちゃう?さっさと殺しちゃう?」
暗い室内の一面に広がるモニターの前で、フードを目深に被った男が、チラリと舌を出して唇をなめながら一人呟く。
マキは、その日もボーッとした表情でパソコンの置かれたデスクの前の椅子に腰かけていた。
何者かに拉致され、この部屋に連れてこられてからと言うもの、日に日に思考がまとまらなくなってきていた。
一日目こそ、パソコンに表示されている質問の答えをあれこれ考えていたが、今ではもう、それもままならない。
どうやら、マキ達を拉致してきた犯人が、何らかの薬物を使ったらしいとは感づいたものの、それに対抗する手段も思い付かず、そうしているうちに、頭のなかはドンドン靄に覆われていく。
「………………ハァーーーー」
気の抜けた吐息がマキの口から漏れる。
それでも、頭の片隅ではこの状況を打開しなければ、という思いはあった。
しかし、思考が鈍るにつれ、体の方も段々と力が入らなくなっていき、重い体を動かす気力すら今はもうなくなってしまった。
「………………ハァ」
マキは再び、憂鬱な吐息を漏らした。
◆ ◆ ◆ ◆
同日荒垣探偵事務所
「……くそっ!」
所長用の椅子に座り、タバコを吹かしながら荒垣が舌打ちした。
「一体、須藤達はどこに行った?」
窓の外からは、夕暮れのオレンジ色の光が室内に射し込んでいる。
3日前から、須藤とその恋人の三宅とは連絡が取れなくなっていた。
…………こいつは、いよいよ警察に捜索願いを出した方が…………。
確か、3日前、須藤と三宅はA山にある、小洒落たレストランで食事をとるといっていたはずだ。
それから、須藤達とは、連絡がつかない。
「…………フーッ!!」
タバコの煙を天井へと吹き付け、傍らの灰皿で火を消すと、荒垣はやおら立ち上がって、ポケットから携帯を取り出して宇都宮へと電話をかけた。
……トゥルルルル。トゥルルルル。
「……あ、宇都宮さんですか?……少しご相談したいことがありまして…………」
苦い表情で荒垣は、宇都宮に所員の失踪を告げた。
◆ ◆ ◆ ◆
同日????
「…………ハァ…………。……あの女、ここに連れて来てからというものの、全然、動かないな。つっまんねーの!!…………殺しちゃう?さっさと殺しちゃう?」
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