17 / 45
第17話
しおりを挟む
10月21日
荒垣と仮戸川は放課後友人数名と遊びに街へ出た入江京子のあとを尾行していた。
あれから結局入江真美は張り込みの続行を依頼してきた。
荒垣としては違法な薬、そしてそれを売っている犯人と関わりのある人間からの依頼は断りたかったようだが、宇都宮にその旨を伝えると確実な証拠を押さえてもらいたい、とのことでこうして荒垣達は相変わらず京子の身辺を監視していた。
須藤と三宅にはストーカーの方ではなく入江真美の動向を見張ってもらっている。
先日ストーカー本人と出くわしてしまった為、一応二人には変装をさせてはいるが、果たしてストーカーがその辺りに気づくかどうかはまだわからない。
支障があるようならばつてを頼って他の探偵事務所から人員を引っ張ってくるしかないだろう。
◆ ◆ ◆ ◆
これまでストーカー対策で京子を張ってきた所どうも京子はカラオケが大のお気に入りらしかった。
今日もボウリングの後で京子達は駅前のカラオケボックスへと入っていった。
向かいの喫茶店に入って中からカラオケ店の出入り口を見張る。
「……あっ!出てきましたよ!」
仮戸川の声に出入り口を確認すると京子達が出てくるのが見える。
「よし!行くぞ!」
そう言って荒垣は支払いを済ませて仮戸川と二人京子達のあとについていった。
駅前で友人達と別れ京子が電車に乗る。
二人も京子の隣の車両に乗り込む。
プシュー、と音を立てて電車のドアが閉まった。
◆ ◆ ◆ ◆
カッカッカッ。京子の履くヒールの音が静かな住宅街に木霊する。
……こりゃ、今日も何も起こらなさそうだな。
そう荒垣が思っていると、後ろからゆっくりと不審な軽バンが荒垣達の後ろから距離を取って後をつけてきた。
「…………。おい、あれ怪しいな。注意しとこう。」
後ろを目だけでチラリと見て荒垣が仮戸川に言う。
仮戸川は一瞬頭を後ろに向けようとしてすぐに正面に向き直る。
「……お前今後ろ見ようとしただろ?」
頭を右手で掻きながらてへへっ、と仮戸川が苦笑いを浮かべる。
そのまま荒垣達に付かず離れずの距離を取って不審な軽バンはずっとこちらについて来る。
一体どこまで追いかけてくるつもりだよ!、と荒垣が胸中で苛立っていると突然スッと軽バンが横の道へと曲がっていった。
「……ほう。どうやらこちらに警戒して今日のところは諦めたらしいな。」
「……ふう。何事もなく良かったです。」
そう二人が話していると荒垣達の数十m先を歩いていた京子の姿がいつの間にか消えている。
「………………っっ!!やられた!!どこ行きやがった!?」
ほんの数秒前までは京子はめのまえの坂を上っていたはず。とすると脇の道に迂回したか!?
そう考えて荒垣はさっきまで京子のいた道の横道を確かめる。するとそこには京子が後ろから男に布のようなものを当てられて気絶し引きずられて車内に連れ込まれようとしていた。
「おいっ!お前っ何してるっっ!?」
大声で言いながら荒垣達が男に近づいて行くと男が何かの液体を振りかけた。
「ぐっっ!?」
……何だこれは?……おかしい。体がグラグラしてとても立っていられない……。
そして荒垣二人は路上に昏倒しその間にストーカーの男は悠々と車内に京子を乗せて走り去った。
荒垣と仮戸川は放課後友人数名と遊びに街へ出た入江京子のあとを尾行していた。
あれから結局入江真美は張り込みの続行を依頼してきた。
荒垣としては違法な薬、そしてそれを売っている犯人と関わりのある人間からの依頼は断りたかったようだが、宇都宮にその旨を伝えると確実な証拠を押さえてもらいたい、とのことでこうして荒垣達は相変わらず京子の身辺を監視していた。
須藤と三宅にはストーカーの方ではなく入江真美の動向を見張ってもらっている。
先日ストーカー本人と出くわしてしまった為、一応二人には変装をさせてはいるが、果たしてストーカーがその辺りに気づくかどうかはまだわからない。
支障があるようならばつてを頼って他の探偵事務所から人員を引っ張ってくるしかないだろう。
◆ ◆ ◆ ◆
これまでストーカー対策で京子を張ってきた所どうも京子はカラオケが大のお気に入りらしかった。
今日もボウリングの後で京子達は駅前のカラオケボックスへと入っていった。
向かいの喫茶店に入って中からカラオケ店の出入り口を見張る。
「……あっ!出てきましたよ!」
仮戸川の声に出入り口を確認すると京子達が出てくるのが見える。
「よし!行くぞ!」
そう言って荒垣は支払いを済ませて仮戸川と二人京子達のあとについていった。
駅前で友人達と別れ京子が電車に乗る。
二人も京子の隣の車両に乗り込む。
プシュー、と音を立てて電車のドアが閉まった。
◆ ◆ ◆ ◆
カッカッカッ。京子の履くヒールの音が静かな住宅街に木霊する。
……こりゃ、今日も何も起こらなさそうだな。
そう荒垣が思っていると、後ろからゆっくりと不審な軽バンが荒垣達の後ろから距離を取って後をつけてきた。
「…………。おい、あれ怪しいな。注意しとこう。」
後ろを目だけでチラリと見て荒垣が仮戸川に言う。
仮戸川は一瞬頭を後ろに向けようとしてすぐに正面に向き直る。
「……お前今後ろ見ようとしただろ?」
頭を右手で掻きながらてへへっ、と仮戸川が苦笑いを浮かべる。
そのまま荒垣達に付かず離れずの距離を取って不審な軽バンはずっとこちらについて来る。
一体どこまで追いかけてくるつもりだよ!、と荒垣が胸中で苛立っていると突然スッと軽バンが横の道へと曲がっていった。
「……ほう。どうやらこちらに警戒して今日のところは諦めたらしいな。」
「……ふう。何事もなく良かったです。」
そう二人が話していると荒垣達の数十m先を歩いていた京子の姿がいつの間にか消えている。
「………………っっ!!やられた!!どこ行きやがった!?」
ほんの数秒前までは京子はめのまえの坂を上っていたはず。とすると脇の道に迂回したか!?
そう考えて荒垣はさっきまで京子のいた道の横道を確かめる。するとそこには京子が後ろから男に布のようなものを当てられて気絶し引きずられて車内に連れ込まれようとしていた。
「おいっ!お前っ何してるっっ!?」
大声で言いながら荒垣達が男に近づいて行くと男が何かの液体を振りかけた。
「ぐっっ!?」
……何だこれは?……おかしい。体がグラグラしてとても立っていられない……。
そして荒垣二人は路上に昏倒しその間にストーカーの男は悠々と車内に京子を乗せて走り去った。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
S県児童連続欠損事件と歪人形についての記録
幾霜六月母
ホラー
198×年、女子児童の全身がばらばらの肉塊になって亡くなるという傷ましい事故が発生。
その後、連続して児童の身体の一部が欠損するという事件が相次ぐ。
刑事五十嵐は、事件を追ううちに森の奥の祠で、組み立てられた歪な肉人形を目撃する。
「ーーあの子は、人形をばらばらにして遊ぶのが好きでした……」
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる