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………………………………………………。
……………………。
…………。
「…………そうか。夢か……」
玉座に凭れたままいつの間にか寝入っていた、魔王ガロンは、その身をゆっくりと起こした。
そして、百年ほど前のやり取りをしばしの間懐かしんだ。
「……あれからもう、百年も経つのですね」
ガロンの傍らにうすぼんやりとした、白い影が現れてそう語りかける。
全能の神ルーネ。はるか昔にガロンとこの世界から邪神を葬り去ることを約束した彼女。
「……楠春人。俺の片割れよ……。……俺たちには、この道しか残されてはいないのだ……。許せ……」
そう呟いたガロンは、玉座の間に旋風のパルスを呼び寄せて言った。魔王自らハルトを襲撃しないのは、彼の攻撃が強力すぎてハルトが力に目覚める前に殺しかねない、との懸念からだった。かといって、弱いモンスターに襲われても、ハルトの力が覚醒することにはならないだろう。それ故の
パルスだった。
「……そろそろやつを、勇者を追撃せよ!!」
その言葉にパルスは恭しく頭を下げながら、
「仰せのままに」
と、答えて玉座の間を辞去すると、手勢を引き連れて魔王城から再び勇者を屠るべく出撃していった。
◆ ◆ ◆ ◆
あれから、ベルの森にて仲間を一人13号に食われてしまった騎士たちは、魔法を使い、聖都ラーヌにいるサーシャにことの顛末を報告していた。
「……ふぅむ。なるほど。それは大変だったな」
口髭を扱きながら、サーシャはしばらく何事かを思案していたかと思うと口を開いた。
「……まあ、父上の話では、13号は時々そのようにして暴走する、とのことだから、お前たちはこれからはより注意を払ってことに当たることだな」
「しかし、サーシャ様!!」
「……この私の命が聞けぬ、と?」
「……くっ!!わ、分かりました。引き続き勇者の探索に当たります」
「……そうだ。それでよい。では、頼んだぞ」
話を終えて、3人の騎士たちは、思わず顔を見合わせた。
「……くそっっ!!人の命をまったく何だと思われているんだ、サーシャ様は!!」
「……そうは言っても、我々の悲願を叶えるためだ。仕方がなかろう」
「…………まあ、また、あんなことになったら、3人で力を合わせて奴を叩きのめせばいいさ。……なに、勢い余って殺してしまったとしても、所詮は実験体だ。人の命が優先されるべきだろう」
口々に意見を言い合った男たちは、木に凭れたまま、うたた寝をしていた13号を叩き起こすと、ベルの森を抜けて北へと進んでいった。
……………………。
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「…………そうか。夢か……」
玉座に凭れたままいつの間にか寝入っていた、魔王ガロンは、その身をゆっくりと起こした。
そして、百年ほど前のやり取りをしばしの間懐かしんだ。
「……あれからもう、百年も経つのですね」
ガロンの傍らにうすぼんやりとした、白い影が現れてそう語りかける。
全能の神ルーネ。はるか昔にガロンとこの世界から邪神を葬り去ることを約束した彼女。
「……楠春人。俺の片割れよ……。……俺たちには、この道しか残されてはいないのだ……。許せ……」
そう呟いたガロンは、玉座の間に旋風のパルスを呼び寄せて言った。魔王自らハルトを襲撃しないのは、彼の攻撃が強力すぎてハルトが力に目覚める前に殺しかねない、との懸念からだった。かといって、弱いモンスターに襲われても、ハルトの力が覚醒することにはならないだろう。それ故の
パルスだった。
「……そろそろやつを、勇者を追撃せよ!!」
その言葉にパルスは恭しく頭を下げながら、
「仰せのままに」
と、答えて玉座の間を辞去すると、手勢を引き連れて魔王城から再び勇者を屠るべく出撃していった。
◆ ◆ ◆ ◆
あれから、ベルの森にて仲間を一人13号に食われてしまった騎士たちは、魔法を使い、聖都ラーヌにいるサーシャにことの顛末を報告していた。
「……ふぅむ。なるほど。それは大変だったな」
口髭を扱きながら、サーシャはしばらく何事かを思案していたかと思うと口を開いた。
「……まあ、父上の話では、13号は時々そのようにして暴走する、とのことだから、お前たちはこれからはより注意を払ってことに当たることだな」
「しかし、サーシャ様!!」
「……この私の命が聞けぬ、と?」
「……くっ!!わ、分かりました。引き続き勇者の探索に当たります」
「……そうだ。それでよい。では、頼んだぞ」
話を終えて、3人の騎士たちは、思わず顔を見合わせた。
「……くそっっ!!人の命をまったく何だと思われているんだ、サーシャ様は!!」
「……そうは言っても、我々の悲願を叶えるためだ。仕方がなかろう」
「…………まあ、また、あんなことになったら、3人で力を合わせて奴を叩きのめせばいいさ。……なに、勢い余って殺してしまったとしても、所詮は実験体だ。人の命が優先されるべきだろう」
口々に意見を言い合った男たちは、木に凭れたまま、うたた寝をしていた13号を叩き起こすと、ベルの森を抜けて北へと進んでいった。
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