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「…………なるほど。こうなっているわけか……」
百合江の体を元に戻すために、百合江の体を一度入念に調べたい、ということで、今、百合江は詳しくラボスにその体を見てもらっている最中だった。
一通り、確認を済ませたラボスが言う。
「うん。やっぱり、僕の思っていたとおり、何とか元に戻すことが出来そうだ。……でも、百合江さんの体を元に戻すためには、北のヘルム山脈まで行って、地母神イリア様の加護を受けたマジックアイテムを取ってこなければいけない。あの辺りは、常に雷が落ち続けているから、僕でもひとっ飛びって訳には行かないんだよ。
……だから、一度、ヘルム山脈の手前まで僕が2人を抱えて飛んで行ってから、頂上まで歩くことになると思うけど、どうだろう?
なんなら、百合江さんとハルトは、ここで待っていてもらうって言うのも手かな?とは、思うんだけど……。うう~~ん……。……でも、もし、ラーヌからの追っ手に発見された場合は、どうしようもなくなりそうだな……。……やっぱり、3人で行った方がいいか……」
「……確かに、俺と百合江だけじゃあ、ここに攻め込まれてきた時に、逃げ場がないですね……。……かといって、近くの町に行くって言うのも……」
ハルトが、チラリと横に座っている百合江を見る。
「……ごめんなさい。私がこんな姿でなければ、どこかの町に隠れてやり過ごすことも出来るのに……」
「そんなっ!!百合江は何も悪くないっ!悪いのは、魔術研究所の奴らだ!!」
肩を落として俯いた百合江をハルトがそう言って慰めた。
「…………今のところは大丈夫みたいだけど、一応、百合江さんと僕にも、魔力遮断の魔法をかけておこうか。万が一にも、奴らに嗅ぎ付けれないようにね。今の僕の魔力なら、マジックアイテムなしでも、かけられるだろうしね」
そう言って、ラボスは魔法を使って、自身と百合江の魔力を追跡出来ないよう遮断した。
「……よし!それじゃあ、僕は、その辺で、何か食べられるものを調達してくるよ。
……ああ、ハルトは、ここにいて」
腰を浮かせて、同行しようとしたハルトにそう声をかけてラボスは一人、祭壇の間から出てゆく。
ハルトと百合江の二人は、だだっ広い空間に取り残された。
「……きっと、なんとかなるさ。大丈夫……」
ハルトは、どこか不安そうな百合江の肩を抱いて元気付ける。
「……そう……。そうよね……。何の心配もいらないよね……」
ハルトにそう答えつつも、百合江は、これから何か悪いことが起きるのではないか、という予感に一人、その胸を震わせていた。
百合江の体を元に戻すために、百合江の体を一度入念に調べたい、ということで、今、百合江は詳しくラボスにその体を見てもらっている最中だった。
一通り、確認を済ませたラボスが言う。
「うん。やっぱり、僕の思っていたとおり、何とか元に戻すことが出来そうだ。……でも、百合江さんの体を元に戻すためには、北のヘルム山脈まで行って、地母神イリア様の加護を受けたマジックアイテムを取ってこなければいけない。あの辺りは、常に雷が落ち続けているから、僕でもひとっ飛びって訳には行かないんだよ。
……だから、一度、ヘルム山脈の手前まで僕が2人を抱えて飛んで行ってから、頂上まで歩くことになると思うけど、どうだろう?
なんなら、百合江さんとハルトは、ここで待っていてもらうって言うのも手かな?とは、思うんだけど……。うう~~ん……。……でも、もし、ラーヌからの追っ手に発見された場合は、どうしようもなくなりそうだな……。……やっぱり、3人で行った方がいいか……」
「……確かに、俺と百合江だけじゃあ、ここに攻め込まれてきた時に、逃げ場がないですね……。……かといって、近くの町に行くって言うのも……」
ハルトが、チラリと横に座っている百合江を見る。
「……ごめんなさい。私がこんな姿でなければ、どこかの町に隠れてやり過ごすことも出来るのに……」
「そんなっ!!百合江は何も悪くないっ!悪いのは、魔術研究所の奴らだ!!」
肩を落として俯いた百合江をハルトがそう言って慰めた。
「…………今のところは大丈夫みたいだけど、一応、百合江さんと僕にも、魔力遮断の魔法をかけておこうか。万が一にも、奴らに嗅ぎ付けれないようにね。今の僕の魔力なら、マジックアイテムなしでも、かけられるだろうしね」
そう言って、ラボスは魔法を使って、自身と百合江の魔力を追跡出来ないよう遮断した。
「……よし!それじゃあ、僕は、その辺で、何か食べられるものを調達してくるよ。
……ああ、ハルトは、ここにいて」
腰を浮かせて、同行しようとしたハルトにそう声をかけてラボスは一人、祭壇の間から出てゆく。
ハルトと百合江の二人は、だだっ広い空間に取り残された。
「……きっと、なんとかなるさ。大丈夫……」
ハルトは、どこか不安そうな百合江の肩を抱いて元気付ける。
「……そう……。そうよね……。何の心配もいらないよね……」
ハルトにそう答えつつも、百合江は、これから何か悪いことが起きるのではないか、という予感に一人、その胸を震わせていた。
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