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「いらっしゃいませ~~~!!」
店内に入ると店員達の元気な声が俺達を出迎えた。
「お二人様ですね。こちらの席にどうぞ!」
茶髪のストレートヘアの、エプロンをつけた若い女性店員が俺とラボスを隅のテーブル席まで誘導する。
「こちらがメニューです!ご注文お決まりになりましたらお呼びください!」
失礼します、と一礼して女性店員は去ってゆく。
「……さて、何を食べようか。色々あるからなぁ……。ハルトは何か好物とかあるかい?」
店員から手渡されたメニューを、こちらにも見えるように広げながらラボスが尋ねる。
「……そうですね。魚とかありますか?」
「……えぇと………。魚、魚っと……。
例えば……魚をフルーツの香りのする油で揚げてピリ辛のソースをかけたもの、とか、
あとは……生の魚の周囲を炙って、それに酸っぱい果実の果汁と香草をかけたものとかあるけど、どれがいい?」
生の魚を炙ったもの……タタキってことか?
「……じゃあ、生の魚を炙ったものをお願いします。」
「僕は果実酒を頂こうと思っているけどハルトも飲むかい?」
「あっ、じゃあ頂きます!」
ラボスが近くにいた店員にオーダーする。
……それからしばらくして、
「お待たせしました!こちらがリメの炙りです。こちらがディーン酒ですね。」
料理と酒をテーブルに運ぶと一礼して店員は去っていった。
おお!魚の方は中々美味そうな匂いと見た目をしている。これは期待できそうだ!
酒の方は緑色でパッと見青汁みたいだが、匂いを嗅ぐとライチのような爽やかな香りがする。
これも期待できそうかな?
「よし!じゃあ、乾杯といこうか?カンパ~~イ!!」
「乾杯!!」
早速青みがかった魚にフォークを突き刺す。
モグモグモグモグ。………………。
おおっ!これは!魚自体はマグロのような味と匂いで、そこにかけられたソースは桃っぽい香りにシークワーサーのような爽やかな酸味がある。
「滅茶苦茶旨いじゃないか!」
思わずテンションの上がった俺に微笑みながらラボスが言う。
「それは良かった。……どれ僕も……。
おお!さすがギルドお墨付きの名店だ!
うまい!」
どれ、酒の方はどうだろう?
……………!!これは色こそ全く違うもののライチリキュールを使ったカクテルにそっくりだ!
ただ、コショウのような香辛料を軽く振ってアクセントをつけてあるのが、俺のいた世界の物とは違う。
……が、これはこれでとても美味しい。
パクパクパク!ゴクゴクゴクッ!
俺とラボスはそれからたっぷり2時間飲み食いに専念した。
◆ ◆ ◆ ◆
「はあ~~~!食った食った!」
「うまかった!酒も魚も!」
俺達はほろ酔い気分で店を出ると、メインストリートから一本入った通りをぶらぶら酔いざましも兼ねて目的もなく歩いていた。
夕陽が辺りをオレンジ色に照らしている。
……すると、どこかから女性の悲鳴が聞こえてきた。
「………っっ!やめてっ!!離して下さいっ!!」
俺達が声のする裏の路地へと走っていくと、
両足に鎖のついた鉄の枷を嵌められた、ボロボロの白い服の三つ編みの少女とキチッと黒い髪を後ろへ撫で付けた、目付きの悪い眼鏡の男がいた。
少女は自分の腕にかけられた男の手から逃れようと必死に身をよじらせている。
少女と男の間に入ろうとする俺の肩にラボスが
右手を乗せて待ったをかける。
「………………!!待つんだ、ハルト!
あの服の紋章は…………。
……ラーヌの金満貴族の手下か!
くそっっ!!」
「どうしたんですか?一体……?」
「……悔しいけど、ここは退こう……。」
力無くラボスがらしくないことを言う。
そんな俺達にチラリと目を向けた眼鏡の男が
ラボスに向かってニヤニヤしながら言った。
「……おやおや。何処の馬の骨かと思えば、
魔導騎士団元副団長のラボス様ではございませんか?これはこれは…………。
……確か風の噂では、ホワイトラグーンの 一件で部下の方々を多数死に追いやられて免職になられた、とか。」
「クッッッ!!……行こう、ハルト!」
「でもあの娘を放っておくわけには……。」
バシッと俺の両肩に両手をかけると、ラボスは苦悩に充ちた顔で、
「……頼む……。」
と、一言だけ言った。
「……わかりました。その代わり後で説明お願いします。」
「もちろんだとも。」
そうして、俺達が少女と眼鏡の男に背を向けて歩き始めると、
「……フン!負け犬が!ああはなりたくないものだな!!」
と、眼鏡の男の侮蔑の言葉が路地に響き渡った。
店内に入ると店員達の元気な声が俺達を出迎えた。
「お二人様ですね。こちらの席にどうぞ!」
茶髪のストレートヘアの、エプロンをつけた若い女性店員が俺とラボスを隅のテーブル席まで誘導する。
「こちらがメニューです!ご注文お決まりになりましたらお呼びください!」
失礼します、と一礼して女性店員は去ってゆく。
「……さて、何を食べようか。色々あるからなぁ……。ハルトは何か好物とかあるかい?」
店員から手渡されたメニューを、こちらにも見えるように広げながらラボスが尋ねる。
「……そうですね。魚とかありますか?」
「……えぇと………。魚、魚っと……。
例えば……魚をフルーツの香りのする油で揚げてピリ辛のソースをかけたもの、とか、
あとは……生の魚の周囲を炙って、それに酸っぱい果実の果汁と香草をかけたものとかあるけど、どれがいい?」
生の魚を炙ったもの……タタキってことか?
「……じゃあ、生の魚を炙ったものをお願いします。」
「僕は果実酒を頂こうと思っているけどハルトも飲むかい?」
「あっ、じゃあ頂きます!」
ラボスが近くにいた店員にオーダーする。
……それからしばらくして、
「お待たせしました!こちらがリメの炙りです。こちらがディーン酒ですね。」
料理と酒をテーブルに運ぶと一礼して店員は去っていった。
おお!魚の方は中々美味そうな匂いと見た目をしている。これは期待できそうだ!
酒の方は緑色でパッと見青汁みたいだが、匂いを嗅ぐとライチのような爽やかな香りがする。
これも期待できそうかな?
「よし!じゃあ、乾杯といこうか?カンパ~~イ!!」
「乾杯!!」
早速青みがかった魚にフォークを突き刺す。
モグモグモグモグ。………………。
おおっ!これは!魚自体はマグロのような味と匂いで、そこにかけられたソースは桃っぽい香りにシークワーサーのような爽やかな酸味がある。
「滅茶苦茶旨いじゃないか!」
思わずテンションの上がった俺に微笑みながらラボスが言う。
「それは良かった。……どれ僕も……。
おお!さすがギルドお墨付きの名店だ!
うまい!」
どれ、酒の方はどうだろう?
……………!!これは色こそ全く違うもののライチリキュールを使ったカクテルにそっくりだ!
ただ、コショウのような香辛料を軽く振ってアクセントをつけてあるのが、俺のいた世界の物とは違う。
……が、これはこれでとても美味しい。
パクパクパク!ゴクゴクゴクッ!
俺とラボスはそれからたっぷり2時間飲み食いに専念した。
◆ ◆ ◆ ◆
「はあ~~~!食った食った!」
「うまかった!酒も魚も!」
俺達はほろ酔い気分で店を出ると、メインストリートから一本入った通りをぶらぶら酔いざましも兼ねて目的もなく歩いていた。
夕陽が辺りをオレンジ色に照らしている。
……すると、どこかから女性の悲鳴が聞こえてきた。
「………っっ!やめてっ!!離して下さいっ!!」
俺達が声のする裏の路地へと走っていくと、
両足に鎖のついた鉄の枷を嵌められた、ボロボロの白い服の三つ編みの少女とキチッと黒い髪を後ろへ撫で付けた、目付きの悪い眼鏡の男がいた。
少女は自分の腕にかけられた男の手から逃れようと必死に身をよじらせている。
少女と男の間に入ろうとする俺の肩にラボスが
右手を乗せて待ったをかける。
「………………!!待つんだ、ハルト!
あの服の紋章は…………。
……ラーヌの金満貴族の手下か!
くそっっ!!」
「どうしたんですか?一体……?」
「……悔しいけど、ここは退こう……。」
力無くラボスがらしくないことを言う。
そんな俺達にチラリと目を向けた眼鏡の男が
ラボスに向かってニヤニヤしながら言った。
「……おやおや。何処の馬の骨かと思えば、
魔導騎士団元副団長のラボス様ではございませんか?これはこれは…………。
……確か風の噂では、ホワイトラグーンの 一件で部下の方々を多数死に追いやられて免職になられた、とか。」
「クッッッ!!……行こう、ハルト!」
「でもあの娘を放っておくわけには……。」
バシッと俺の両肩に両手をかけると、ラボスは苦悩に充ちた顔で、
「……頼む……。」
と、一言だけ言った。
「……わかりました。その代わり後で説明お願いします。」
「もちろんだとも。」
そうして、俺達が少女と眼鏡の男に背を向けて歩き始めると、
「……フン!負け犬が!ああはなりたくないものだな!!」
と、眼鏡の男の侮蔑の言葉が路地に響き渡った。
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