女の子なのに能力【怪力】を与えられて異世界に転生しました~開き直って騎士を目指していたらイケメンハーレムができていた件~

沙寺絃

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三十話 正体発覚!?

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 秋学期が始まり、私たちは騎士学校の生活に戻る。

「久しぶり! あれ、どうしたのマギー? ヴィンセントも、なんだか元気ないね」
「はあ……この二週間というもの、自主訓練を怠りがちだったものですから。今日からまたハードな訓練が始まると思うと、ついていけるか不安ですわ」
「僕も似たようなものだよ。実家に戻ると食事会やお茶会、社交界への顔出しが求められるからね。つい普段通りの自己訓練が行えなかったんだ」
「貴族も大変だね」

 つくづく貴族も楽じゃないみたい。

「たるんどるぞ、お前たち! 俺は普段と変わらぬ鍛錬に励んでいたぞ!!」
「ディランの家は騎士の名門なんでしょ? そりゃあね」
「アイリはどうでしたの?」
「私も訓練は怠らなかったよ。目標は主席卒業、希望進路は近衛騎士なんだから!」
「へえ、いいじゃないか。夢は大きい方が目指し甲斐があるな。……ちなみにルゥは進路に何を希望しているんだい?」
「私はまだ決まってないよ。卒業を目指すだけで精一杯だもん」

 二週間ぶりに会う第一分隊の仲間たちは変わっていなかった。休暇で体が鈍ったマギーとヴィンセントは初日こそ辛そうだったけど、徐々に調子を取り戻していく。
 日々の訓練が終わると夕食を済ませ、自由時間には自主トレをして過ごす。今までと変わらない日常が戻ってきた。
 最近はルゥにも余裕が出てきたようで、夕食後の自主トレに付き合うようになっている。
 その日の夜も、消灯前にグラウンドでルゥと走り込みを行っていた。五周ほどした時に、私はふと異様な気配を感じた。

「……何、この感じ……?」

 前にも感じたことがある。そう遠くない昔、あのクリフを待ち伏せしている時にも感じた緊迫感に似ている。
 けれどあの時とは違う感覚も混じっていた。今までに味わったことのない感覚……これは何?
 ルゥは何も気づいていないみたいで、トラックの外周を走り続けている。そのルゥの進行方向にある茂みの中で、キラリと輝く刃の光が見えた。

「! 危ない!!」

 本能的に危機を察知した私は駆け出した。同時に覚えのない違和感の正体に気付く。
 これは――殺気だ! 私は今まで人間から殺気を向けられたことなんてなかったから、気付くのに遅れてしまった!

「うぅっ――!」

 茂みから黒い影が飛び出して、ルゥの体を刃が掠める。咄嗟にルゥの腕を引いたから、致命傷は避けられたと思う。
 だけど微かに血の匂いを覚え、私の頭は熱くなった。

「このぉッ!!」

 素早く体勢を立て直すと、攻撃直後でがら空きになっている敵の鳩尾に渾身の拳を打ち込んだ。

「グエェッ!」
「まだまだぁっ! ルゥを傷付けようとして、一発で終わると思うな!!」
「ゲゴボグギャゲギビィッ!!」

 連続パンチをお見舞いすると、黒い影は悲鳴を残して失神した。

「ルゥ! 大丈夫!? 傷を見せて!」

 ルゥを助け起こして傷を診る。やっぱり、致命傷は避けられているみたい。
 良かった! ほっと胸をなでおろすけど、肉が裂かれて血が溢れ出る傷口は痛々しい。致命傷じゃないとしても、早く治療しないといけない!
 ルゥの回復魔法は自分の傷を癒すことはできない。あいにくこの場には救急キットもない。
 ルゥを背負って医務室に向かおうとした矢先、寮の方から幾人かの人が走ってくるのが見えた。

「おい、どうした!? 今の騒ぎはなんだ!?」
「教官! 助かりました! それが――」

 事情をかいつまんで説明する。駆けつけてきた教官たちは無法者を拘束し、ルゥを医務室に連れていった。
 明るい医務室に運び込まれたルゥは、校医の手で治療を受ける。

「回復魔法を使える職員に連絡を入れたから、すぐにやって来るだろう。それまでは私が治療に当たらせてもらう」

 医務室の入り口には、騒ぎを聞きつけた寮生が何事かと覗きにきている。

「おい、立ち去れ! 今は治療中だぞ!」

 教官が追い払おうとするけど、それより先に校医が素っ頓狂な声をあげた。

「ん? こ、これは!?」
「どうしたんですか!?」
「……このルゥ=ジョンソンという訓練生は女子とのことですが……それは間違いありませんか?」
「はい! 私が保証しますよ!」
「しかし……これは、どう見ても……」
「校医殿! 一体どうなされたのですか!? な、何ィッ!? こ、これは!?」

 覗き込んだ教官もおかしな反応を示す。一体何事かと私も覗き込んで、まずい事態になっていると気が付いた。
 ルゥの傷は胸からヘソの辺りにまで及んでいる。治療の為には服を脱がせないといけない。露わにされたルーの胸は真っ平らだ。筋肉がついた体つきや骨格も、どう見たって女の体つきじゃない。

「まさか……」
「お、男!? ジョンソン、お前、男だったのか!?」
「ちょ、教官!? そんな大声で――」

 咄嗟に驚いて叫んだんだと思うけど、そんな大声で宣言するのはまずい!
 案の定、教官の驚愕は背後の訓練生たちにも伝わってしまった。

「えぇっ!? ルゥちゃんが男だって!? どういうことだ!?」
「冗談でしょ!?」
「でも教官がジョンソンは男だって!」
「お兄さんの方じゃないのか!? ほら、食堂の!」
「食堂のお兄さんなら、今日は午後からお休みをもらって外出中でしょ! 医務室に運ばれたのはルゥよ、間違いないわ! さっき見たもの!」
「ってことは、ルゥは男……つまり女のフリをしていたってことか!?」

 すさまじい速さで情報が伝わっていく。
 さすがにこんな大騒ぎになると、私の手には負えない。どうしようかと右往左往していると、校医に呼ばれた回復魔法使いが駆け付けてきた。

「退いてください! 事情は後で聞きますから!」

 回復魔法使いは何を置いても怪我に治療を優先し、手早く回復魔法を発動させる。無事に回復したルゥが体を起こすと、教官が説明を求めた。
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