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三章
二十九話 エクレールの出店ブースへ
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するとそこには行列ができていて、大勢の人が列を作っている。辺りにはいい匂いが漂っている。並んでいる人は皆嬉しそうだ。
「エクレール様!」
「あ……アリーシャ。来てくれたんだ……嬉しい」
「すごい人気ですね。今日は何を売っているんですか?」
「今日はピザとサンドイッチと串焼きを売っているんだ……ありがたいことに大盛況だよ」
「わあ、どれも美味しそうですね! 私も何か買っていきますね!」
「うん、ありがとう……」
アリーシャは出店のメニューを見る。どれもこれも魅力的な品ばかりで迷ってしまう。
「うーん……どれにしようか……」
「アリーシャ様、私が選んでもよろしいでしょうか?」
「リリアナが? うん、お願いします」
リリアナが選んだのは、トマトとチーズたっぷりのピザだった。アリーシャもそれを注文する。待っている間も、次々と客が入ってくる。しばらくして、ようやくアリーシャたちの番がやってきた。
「どうぞ……焼き立ての窯出しピザだよ。お代はいらないから、冷めないうちに食べてね……」
「ありがとうございます! ……うーん、美味しいですっ!」
「そう……良かった……」
「とってもジューシーで、生地もモチモチで最高です!」
「ありがとう……アリーシャは美味しそうに食べてくれるから、作り甲斐がある……」
「だって本当に美味しいですから」
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいよ……」
それからアリーシャは、リリアナと一緒に料理を平らげた。
「ご馳走様でした!とっても美味しかったです! こんな素敵なお店を出せるなんて、さすがですね!」
「ふふ、ありがとう……ボクが作った料理を褒めてもらえるのは……とても嬉しいよ……」
「お客さんの沢山来ていますね。凄い人気です」
客層は一般人から騎士、兵士まで様々だ。身なりのいい貴族も珍しそうに足を止めて覗きに来ている。すると、胸に金の勲章をつけた軍人と思しき男と、数人の付き人がエクレールに歩み寄ってきた。
「エクレール殿下。これが噂の『フィールドキッチン』ですか。ハイラル殿下からお話は伺っております」
「ああ……こんにちは……あなたは確か、帝国陸軍のレンフィールド将軍……でしたね」
「はい。帝国軍の糧食問題について、かねてからご相談させて頂いております。以前発明して頂いた『缶詰』も素晴らしい技術でした。そして今回の『フィールドキッチン』、お話には聞いていましたが素晴らしい……! ぜひ詳しいお話を聞かせて頂けないでしょうか?」
「いいけど……今すぐ? ええと、まだお店のお客さんがいるんだけど……」
「すみません。我々は近々別の土地での任務がありまして、今日でないと次にお話を聞けるのは一ヶ月以上先になってしまいます。突然の訪問で誠に恐縮ですが、一時間程度で良いのでお時間を捻出して頂けないでしょうか?」
「むぅ……今日じゃないと、『フィールドキッチン』の実用化や配備が先延ばしになるってことか……」
エクレールは長蛇の列を作っている客を見て悩む。そこでアリーシャが提案した。
「料理は出来上がっていますし、私とリリアナがお客さんの対応をしておきますよ」
「え……? でもそんなこと、アリーシャにさせるわけには……」
「いいんですよ。エクレール様が認められたら私だって嬉しいです。それに軍にとって有益な事なんですよね?」
「……そうだけど……分かった。それじゃあ、少しだけお願いするよ……」
「任せてください!!」
アリーシャは元気よく返事をする。リリアナも微笑んでエクレールを見送った。
それからアリーシャとリリアナは、エクレールに変わって出店の切り盛りを始めた。
「いらっしゃいませ!『フィールドキッチン』のご利用は初めてですか?」
「はい、そうです。この店で評判のピザを持ち帰りで六枚ください」
「ありがとうございます! そちらのベンチでお待ちください!」
「ありがとう! 美味しくて安いとは聞いていたけど、ここまでのクオリティだとは思っていませんでした!」
「ふふっ、ありがとうございます!」
アリーシャとリリアナは手際良く接客を行う。リリアナは慣れた様子で、アリーシャもそれなりに上手く対応していた。
「ふぅ……これで今ある料理は全部完売したかな?」
「……お疲れ様、アリーシャ」
「エクレール様! もうお戻りになられたんですか!?」
「もうって……あれから二時間も経ってるよ。一時間のつもりだったのに、二時間もお店を任せることになって申し訳ないと思ったんだけど……ふふ、その様子だと気付いていなかったんだね……」
「えっ!? もうそんなに経っていたんですか!?」
アリーシャは懐中時計を取り出して時間を確認する。エクレールの言う通り、もう二時間以上が経過していた。接客に夢中で気付かなかった。空を見上げれば、茜色に染まり始めている。
「アリーシャのおかげで助かったよ……ありがとう。リリアナも……これ、お土産……」
そう言ってエクレールが差し出したのは、広場で売られている人気のフルーツティーだった。アリーシャは目を輝かせる。
「わあっ、いいんですか!?」
「もちろん。二人とも頑張ってくれて、おかげで大盛況だったからね……それに、アリーシャはボクの大切な人だから……」
「エクレール様……。はい、ありがとうございます!」
アリーシャはフルーツティーをぐいっと飲み干す。しばらく接客に熱中していた体に、冷たくて甘いフルーツティーが染み渡った。エクレールは満足そうに笑う。リリアナも笑みを浮かべた。
「さっきのレンフィールド将軍との話も、うまく行ったよ……大佐は来週から別の土地での任務に入るんだけど、その前に『フィールドキッチン』を陸軍に導入する準備をまとめると約束してくれた……」
「良かったですね! きっとみんな喜びます!」
「うん……アリーシャのおかげだよ……本当にありがとう」
「いえ、私は大したことは何もしていません。それより、軍の方々に喜んでもらえて何よりです」
「アリーシャはいつもそうやって、自分の功績を誇らないよね……どうして?」
「そう言われても……うーん、別に特別な理由はないですよ。だって認められたのは『エクレール様が発明した技術』ですから。私がしたのはほんのお手伝いです。私が凄いんじゃなくて、エクレール様の技術が凄いんですよ!」
「そっか……アリーシャらしいね……そういうところ、好きだよ」
エクレールとアリーシャは笑い合う。リリアナは二人から少し離れて、二人のやり取りを見守っていた。
「ところでもう夕方ですけど、エクレール様はどうするんですか?」
「ボクは明日も出店があるから……後片付けと準備、かな……アリーシャは?」
「今日は早めに帰って休もうと思います。お祭りは一週間も続くので、初日で疲れすぎたら良くないので」
「うん……それがいいと思うよ。それじゃあアリーシャ、今日は本当にありがとう……今夜はゆっくり休んでね」
「はい!」
アリーシャはリリアナと共に、宮殿へと戻っていった。
「エクレール様!」
「あ……アリーシャ。来てくれたんだ……嬉しい」
「すごい人気ですね。今日は何を売っているんですか?」
「今日はピザとサンドイッチと串焼きを売っているんだ……ありがたいことに大盛況だよ」
「わあ、どれも美味しそうですね! 私も何か買っていきますね!」
「うん、ありがとう……」
アリーシャは出店のメニューを見る。どれもこれも魅力的な品ばかりで迷ってしまう。
「うーん……どれにしようか……」
「アリーシャ様、私が選んでもよろしいでしょうか?」
「リリアナが? うん、お願いします」
リリアナが選んだのは、トマトとチーズたっぷりのピザだった。アリーシャもそれを注文する。待っている間も、次々と客が入ってくる。しばらくして、ようやくアリーシャたちの番がやってきた。
「どうぞ……焼き立ての窯出しピザだよ。お代はいらないから、冷めないうちに食べてね……」
「ありがとうございます! ……うーん、美味しいですっ!」
「そう……良かった……」
「とってもジューシーで、生地もモチモチで最高です!」
「ありがとう……アリーシャは美味しそうに食べてくれるから、作り甲斐がある……」
「だって本当に美味しいですから」
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいよ……」
それからアリーシャは、リリアナと一緒に料理を平らげた。
「ご馳走様でした!とっても美味しかったです! こんな素敵なお店を出せるなんて、さすがですね!」
「ふふ、ありがとう……ボクが作った料理を褒めてもらえるのは……とても嬉しいよ……」
「お客さんの沢山来ていますね。凄い人気です」
客層は一般人から騎士、兵士まで様々だ。身なりのいい貴族も珍しそうに足を止めて覗きに来ている。すると、胸に金の勲章をつけた軍人と思しき男と、数人の付き人がエクレールに歩み寄ってきた。
「エクレール殿下。これが噂の『フィールドキッチン』ですか。ハイラル殿下からお話は伺っております」
「ああ……こんにちは……あなたは確か、帝国陸軍のレンフィールド将軍……でしたね」
「はい。帝国軍の糧食問題について、かねてからご相談させて頂いております。以前発明して頂いた『缶詰』も素晴らしい技術でした。そして今回の『フィールドキッチン』、お話には聞いていましたが素晴らしい……! ぜひ詳しいお話を聞かせて頂けないでしょうか?」
「いいけど……今すぐ? ええと、まだお店のお客さんがいるんだけど……」
「すみません。我々は近々別の土地での任務がありまして、今日でないと次にお話を聞けるのは一ヶ月以上先になってしまいます。突然の訪問で誠に恐縮ですが、一時間程度で良いのでお時間を捻出して頂けないでしょうか?」
「むぅ……今日じゃないと、『フィールドキッチン』の実用化や配備が先延ばしになるってことか……」
エクレールは長蛇の列を作っている客を見て悩む。そこでアリーシャが提案した。
「料理は出来上がっていますし、私とリリアナがお客さんの対応をしておきますよ」
「え……? でもそんなこと、アリーシャにさせるわけには……」
「いいんですよ。エクレール様が認められたら私だって嬉しいです。それに軍にとって有益な事なんですよね?」
「……そうだけど……分かった。それじゃあ、少しだけお願いするよ……」
「任せてください!!」
アリーシャは元気よく返事をする。リリアナも微笑んでエクレールを見送った。
それからアリーシャとリリアナは、エクレールに変わって出店の切り盛りを始めた。
「いらっしゃいませ!『フィールドキッチン』のご利用は初めてですか?」
「はい、そうです。この店で評判のピザを持ち帰りで六枚ください」
「ありがとうございます! そちらのベンチでお待ちください!」
「ありがとう! 美味しくて安いとは聞いていたけど、ここまでのクオリティだとは思っていませんでした!」
「ふふっ、ありがとうございます!」
アリーシャとリリアナは手際良く接客を行う。リリアナは慣れた様子で、アリーシャもそれなりに上手く対応していた。
「ふぅ……これで今ある料理は全部完売したかな?」
「……お疲れ様、アリーシャ」
「エクレール様! もうお戻りになられたんですか!?」
「もうって……あれから二時間も経ってるよ。一時間のつもりだったのに、二時間もお店を任せることになって申し訳ないと思ったんだけど……ふふ、その様子だと気付いていなかったんだね……」
「えっ!? もうそんなに経っていたんですか!?」
アリーシャは懐中時計を取り出して時間を確認する。エクレールの言う通り、もう二時間以上が経過していた。接客に夢中で気付かなかった。空を見上げれば、茜色に染まり始めている。
「アリーシャのおかげで助かったよ……ありがとう。リリアナも……これ、お土産……」
そう言ってエクレールが差し出したのは、広場で売られている人気のフルーツティーだった。アリーシャは目を輝かせる。
「わあっ、いいんですか!?」
「もちろん。二人とも頑張ってくれて、おかげで大盛況だったからね……それに、アリーシャはボクの大切な人だから……」
「エクレール様……。はい、ありがとうございます!」
アリーシャはフルーツティーをぐいっと飲み干す。しばらく接客に熱中していた体に、冷たくて甘いフルーツティーが染み渡った。エクレールは満足そうに笑う。リリアナも笑みを浮かべた。
「さっきのレンフィールド将軍との話も、うまく行ったよ……大佐は来週から別の土地での任務に入るんだけど、その前に『フィールドキッチン』を陸軍に導入する準備をまとめると約束してくれた……」
「良かったですね! きっとみんな喜びます!」
「うん……アリーシャのおかげだよ……本当にありがとう」
「いえ、私は大したことは何もしていません。それより、軍の方々に喜んでもらえて何よりです」
「アリーシャはいつもそうやって、自分の功績を誇らないよね……どうして?」
「そう言われても……うーん、別に特別な理由はないですよ。だって認められたのは『エクレール様が発明した技術』ですから。私がしたのはほんのお手伝いです。私が凄いんじゃなくて、エクレール様の技術が凄いんですよ!」
「そっか……アリーシャらしいね……そういうところ、好きだよ」
エクレールとアリーシャは笑い合う。リリアナは二人から少し離れて、二人のやり取りを見守っていた。
「ところでもう夕方ですけど、エクレール様はどうするんですか?」
「ボクは明日も出店があるから……後片付けと準備、かな……アリーシャは?」
「今日は早めに帰って休もうと思います。お祭りは一週間も続くので、初日で疲れすぎたら良くないので」
「うん……それがいいと思うよ。それじゃあアリーシャ、今日は本当にありがとう……今夜はゆっくり休んでね」
「はい!」
アリーシャはリリアナと共に、宮殿へと戻っていった。
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