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二章
二十六話 聖ルイン王国の異変【コリン王子Side】
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アリーシャがアストラ帝国に行ってから一ヶ月以上が経過した。
彼女は帝国で三人の皇子に求愛されながら、皇帝や貴族にも認められて幸せな(?)日々を過ごしている。
一方その頃、アリーシャを追放した聖ルイン王国では騒ぎが起きていた。
ルイン王国の王太子コリンは、意中の男爵令嬢レイアと結婚する為に、聖女アリーシャを追放してレイアを次の聖女に据えた。
ルイン王国と癒着している女神教の神殿はコリンの意思に従い、アリーシャの追放を決定した。
長年平和が続いていたせいで、聖女の重要性をすっかり忘れてしまっていたのである。
だがアリーシャが追放された直後から、ルイン王国では異変が起き始めた。
各地で魔物が活性化したり、作物が育ちにくくなったり、今までアリーシャが作っていたポーションに比べると新しい聖女が作ったポーションは全然効果がなかったりと、散々だ。
当然である。レイアは聖女としての適性がなく、教育も受けていない。コリンが無理やり聖女にしただけである。
普通なら、男爵令嬢では王族との婚姻は難しい。だが『聖女』という地位があれば、平民出身だろうと王族の妃になった事例は歴史上いくつか見受けられる。
だからコリンは短絡的に、レイアを一瞬だけ聖女にして、適当なところで引退させて結婚しようと目論んだのである。
その代償が高くつくことなど、まったく予想せずに。そして事態は更に悪化していく。
「コリン様、ダメです! 魔物討伐に向かった騎士団が壊滅しました!」
「な、なんだと!?」
「魔物の数が増えすぎています……このままだと王都にまで被害が及ぶかもしれません……!」
「そんな馬鹿な! どうしてこうなるんだ!?」
「分かりません……とにかく今は避難指示を出しましょう」
そこに別の臣下が飛び込んでくる。
「コリン様! 新しい聖女様が作られたポーションが全然効きません! なんとかしてください!」
「なんだと!? なぜだ!?」
「アリーシャが作られたポーションでは、こんな事はなかったのに……」
「くっ……!」
コリンは悔しそうに歯噛みした。さらに別の臣下が飛び込んでくる。
「コリン様! この一ヶ月間、穀倉地帯で長雨が続いたせいで次の農作物の収穫量が大幅に落ちてしまうと、学者たちから報告がありました!」
「な、な、なんだと!? まさかそれもアリーシャを追放したことに原因があるのか!?」
「さあ、それはなんとも……ただ、アリーシャ様は今まで毎日のように豊穣の祈りを捧げてくれていました。それがなくなった途端にこの異常気象ですから、関連性を疑う声は国内で高まっています」
「ぐっ、ぐうぅっ……!」
コリンはギリギリと歯を噛んだ。あまりに強く噛み締めすぎたせいで、歯茎から血が滲んでいる。
「コリン様、大変です!!」
「こ、今度はなんだっ!?」
「コリン様が連れてこられた聖女レイア様が、激務に耐えきれず倒れました! もうレイア様に聖女の仕事を続けさせることはできません!!」
「な、なんだとおおおっ!?」
「それに伴い、レイア様のご両親は、コリン様には二度と娘に関わってほしくないと言っています!」
「なっ……! そんな、そんなことがあってたまるかっ!? 僕は王子だぞっ!!」
「いくら王子でも、自分の娘を食い潰しかねない男からは、身を挺して守りたくなるのが親心というものですから……」
「そんな事より、今すぐ代わりの聖女を探し出さないと、大変なことになりますよ!?」
「そんな、そんな、そんな……!」
コリンはあまりの衝撃によろめいてしまった。
まさか、これも全部聖女アリーシャを追放したせいだというのか。そんなバカな。
だが、そう考えれば辻褄が合う。
ルイン王国では長らく平和な世が続いていた。そして聖女の力の恩恵は、目に見えにくい。
だから聖女の重要さを忘れ、粗末に扱ってしまった結果である。
「よし、こうなったらすぐにアリーシャの足取りを追え! なんとしてでも連れ戻すんだ!!」
「はい、すでに手配済みです」
「よし、それでいい。で、アリーシャはどこにいるんだ?」
「それが……アリーシャ様は現在アストラ帝国にて保護されているようですね」
「なっ、なんだって!? アストラ帝国に!?」
「はい。ルイン王国の三倍近い国土と軍事力と経済力を持つアストラ帝国にです。しかもアリーシャ様は皇子の婚約者候補として厚遇されているようです」
「皇子の婚約……候補……」
コリンの顔からサァッと血の気が引いた。
「コリン様、今すぐこちらから頭を下げて、アストラ帝国の皇帝にアリーシャ様を返してほしいと頼みましょう……!」
「ふ、ふざけるな!! いくら大国アストラ帝国とはいえ、私は他人に頭なんて下げたくないんだ!!」
「国の一大事です! 元はと言えばコリン様のせいなのですから、四の五の言わずに謝罪文を書いて送ってください!!」
「いいや、断る!! 謝罪を出したければ勝手にしろ! ただし私の名前だけは絶対に書くんじゃないぞ!!」
コリンは王太子として、子供の頃から蝶よ花よと愛でられて甘やかされてきた。
その結果、すべて自分に思い通りにいかないと満足できないモンスターに育ってしまったのである。
自分以外の他人を尊敬する事のないコリンは、絶対に頭を下げない。
ルイン王国の宰相は、コリンの父である国王に泣きついて、アリーシャに対する謝罪文を書いてもらった。
コリンの父はやる気のない国王で、離宮に大勢の室を侍らせては政務からの息子の教育からも遠ざかっている。
しかしコリンよりは話の分かる人物なので、一応謝罪の手紙に署名してくれた。
宰相はアストラ帝国に向けて、使者に手紙を持たせて出発させるのだった――。
***
「……なるほど、事情は分かった」
ルイン王国の使者から手紙を受け取ったアストラ皇帝は、深いため息を吐く。
皇帝はアリーシャの手厚い看護のおかげで、大分健康を取り戻していた。今では公務にも復帰している。
そして今日、玉座の間にハイラル、ロラン、エクレールの三人を呼び出し、事の経緯を話した。三人の皇子は、ルイン王国と神殿がアリーシャに行った仕打ちにそれぞれの怒りを見せる。
「アリーシャを粗末に扱って追放した挙句、困った途端に泣きついてきただと!? アリーシャを返すなど言語道断! ルイン王国と女神教はアリーシャを何だと思っているのだ!」
「そうだね、ハイラル兄さん……ボクたちの大切なアリーシャを虐めるなんて、絶対に許されないよ……」
「僕も同感だ。聖女を蔑ろにする国にアリーシャを返すわけにはいかないな!」
普段は個性も得意分野もバラバラな三人だが、アリーシャの事となると意見は完全に一致した。皇帝も息子たちの結束を満足げに眺め、改めて宣言する。
「うむ。ルイン王国は聖女の重要性を理解していなかったとはいえ、アリーシャを不当に扱った。これは由々しき問題だ。よって余は、アリーシャをルイン王国へ返還するつもりはない」
「当然だ!」
「僕も賛成だよ」
「ボクも、当然だと思う……」
「ならば話は早い。この手紙は握りつぶす。それでもルイン王国が神殿と結託して文句を言ってきたならば、こちらとしても王国と神殿が聖女に対して何をしたかを民に公表しよう。その為の準備を進めておく必要がある。ロラン、根回しはお前に頼むぞ」
「任せてください、父さん!」
「追い詰められたルイン王国は何をするか分からない。ハイラル、お前はルイン王国との国境周辺に警戒するよう軍に伝達するのだ」
「了解しました、父上。獅子は兎を狩るにも全力を尽くすもの。小国相手とはいえ決して油断はしません」
「エクレールはハイラルの動向に合わせて発明を続けるのだ。お前の作る魔道具は軍の役に立つ。同時に帝国内の経済も活性化させる。期待しているぞ」
「はい、父さん……!」
こうしてルイン王国への対応が決まった。ちなみに今回の話は、アリーシャには一切伝えないという事で合意が取られた。
アリーシャは優しいから、今回の話を知ればルイン王国に帰ると言い出すかもしれない。それは皇帝も三皇子も望まないところだったので、彼女には一切合切伏せておこうと決定した。
今のルイン王国の王族の統治能力は、お世辞にも上手いとは言えない。アリーシャを返したところで一時の凌ぎになるかもしれないが、長期的に見れば何の解決にもならない。
ルイン王国の王族が心を入れ替えて統治に励むか、あるいは帝国に降るか……。今はまだ、何とも言えない。しかしどのような結果になるとしても、アリーシャと民は絶対に守り抜くと、皇帝と三皇子は決意するのだった。
彼女は帝国で三人の皇子に求愛されながら、皇帝や貴族にも認められて幸せな(?)日々を過ごしている。
一方その頃、アリーシャを追放した聖ルイン王国では騒ぎが起きていた。
ルイン王国の王太子コリンは、意中の男爵令嬢レイアと結婚する為に、聖女アリーシャを追放してレイアを次の聖女に据えた。
ルイン王国と癒着している女神教の神殿はコリンの意思に従い、アリーシャの追放を決定した。
長年平和が続いていたせいで、聖女の重要性をすっかり忘れてしまっていたのである。
だがアリーシャが追放された直後から、ルイン王国では異変が起き始めた。
各地で魔物が活性化したり、作物が育ちにくくなったり、今までアリーシャが作っていたポーションに比べると新しい聖女が作ったポーションは全然効果がなかったりと、散々だ。
当然である。レイアは聖女としての適性がなく、教育も受けていない。コリンが無理やり聖女にしただけである。
普通なら、男爵令嬢では王族との婚姻は難しい。だが『聖女』という地位があれば、平民出身だろうと王族の妃になった事例は歴史上いくつか見受けられる。
だからコリンは短絡的に、レイアを一瞬だけ聖女にして、適当なところで引退させて結婚しようと目論んだのである。
その代償が高くつくことなど、まったく予想せずに。そして事態は更に悪化していく。
「コリン様、ダメです! 魔物討伐に向かった騎士団が壊滅しました!」
「な、なんだと!?」
「魔物の数が増えすぎています……このままだと王都にまで被害が及ぶかもしれません……!」
「そんな馬鹿な! どうしてこうなるんだ!?」
「分かりません……とにかく今は避難指示を出しましょう」
そこに別の臣下が飛び込んでくる。
「コリン様! 新しい聖女様が作られたポーションが全然効きません! なんとかしてください!」
「なんだと!? なぜだ!?」
「アリーシャが作られたポーションでは、こんな事はなかったのに……」
「くっ……!」
コリンは悔しそうに歯噛みした。さらに別の臣下が飛び込んでくる。
「コリン様! この一ヶ月間、穀倉地帯で長雨が続いたせいで次の農作物の収穫量が大幅に落ちてしまうと、学者たちから報告がありました!」
「な、な、なんだと!? まさかそれもアリーシャを追放したことに原因があるのか!?」
「さあ、それはなんとも……ただ、アリーシャ様は今まで毎日のように豊穣の祈りを捧げてくれていました。それがなくなった途端にこの異常気象ですから、関連性を疑う声は国内で高まっています」
「ぐっ、ぐうぅっ……!」
コリンはギリギリと歯を噛んだ。あまりに強く噛み締めすぎたせいで、歯茎から血が滲んでいる。
「コリン様、大変です!!」
「こ、今度はなんだっ!?」
「コリン様が連れてこられた聖女レイア様が、激務に耐えきれず倒れました! もうレイア様に聖女の仕事を続けさせることはできません!!」
「な、なんだとおおおっ!?」
「それに伴い、レイア様のご両親は、コリン様には二度と娘に関わってほしくないと言っています!」
「なっ……! そんな、そんなことがあってたまるかっ!? 僕は王子だぞっ!!」
「いくら王子でも、自分の娘を食い潰しかねない男からは、身を挺して守りたくなるのが親心というものですから……」
「そんな事より、今すぐ代わりの聖女を探し出さないと、大変なことになりますよ!?」
「そんな、そんな、そんな……!」
コリンはあまりの衝撃によろめいてしまった。
まさか、これも全部聖女アリーシャを追放したせいだというのか。そんなバカな。
だが、そう考えれば辻褄が合う。
ルイン王国では長らく平和な世が続いていた。そして聖女の力の恩恵は、目に見えにくい。
だから聖女の重要さを忘れ、粗末に扱ってしまった結果である。
「よし、こうなったらすぐにアリーシャの足取りを追え! なんとしてでも連れ戻すんだ!!」
「はい、すでに手配済みです」
「よし、それでいい。で、アリーシャはどこにいるんだ?」
「それが……アリーシャ様は現在アストラ帝国にて保護されているようですね」
「なっ、なんだって!? アストラ帝国に!?」
「はい。ルイン王国の三倍近い国土と軍事力と経済力を持つアストラ帝国にです。しかもアリーシャ様は皇子の婚約者候補として厚遇されているようです」
「皇子の婚約……候補……」
コリンの顔からサァッと血の気が引いた。
「コリン様、今すぐこちらから頭を下げて、アストラ帝国の皇帝にアリーシャ様を返してほしいと頼みましょう……!」
「ふ、ふざけるな!! いくら大国アストラ帝国とはいえ、私は他人に頭なんて下げたくないんだ!!」
「国の一大事です! 元はと言えばコリン様のせいなのですから、四の五の言わずに謝罪文を書いて送ってください!!」
「いいや、断る!! 謝罪を出したければ勝手にしろ! ただし私の名前だけは絶対に書くんじゃないぞ!!」
コリンは王太子として、子供の頃から蝶よ花よと愛でられて甘やかされてきた。
その結果、すべて自分に思い通りにいかないと満足できないモンスターに育ってしまったのである。
自分以外の他人を尊敬する事のないコリンは、絶対に頭を下げない。
ルイン王国の宰相は、コリンの父である国王に泣きついて、アリーシャに対する謝罪文を書いてもらった。
コリンの父はやる気のない国王で、離宮に大勢の室を侍らせては政務からの息子の教育からも遠ざかっている。
しかしコリンよりは話の分かる人物なので、一応謝罪の手紙に署名してくれた。
宰相はアストラ帝国に向けて、使者に手紙を持たせて出発させるのだった――。
***
「……なるほど、事情は分かった」
ルイン王国の使者から手紙を受け取ったアストラ皇帝は、深いため息を吐く。
皇帝はアリーシャの手厚い看護のおかげで、大分健康を取り戻していた。今では公務にも復帰している。
そして今日、玉座の間にハイラル、ロラン、エクレールの三人を呼び出し、事の経緯を話した。三人の皇子は、ルイン王国と神殿がアリーシャに行った仕打ちにそれぞれの怒りを見せる。
「アリーシャを粗末に扱って追放した挙句、困った途端に泣きついてきただと!? アリーシャを返すなど言語道断! ルイン王国と女神教はアリーシャを何だと思っているのだ!」
「そうだね、ハイラル兄さん……ボクたちの大切なアリーシャを虐めるなんて、絶対に許されないよ……」
「僕も同感だ。聖女を蔑ろにする国にアリーシャを返すわけにはいかないな!」
普段は個性も得意分野もバラバラな三人だが、アリーシャの事となると意見は完全に一致した。皇帝も息子たちの結束を満足げに眺め、改めて宣言する。
「うむ。ルイン王国は聖女の重要性を理解していなかったとはいえ、アリーシャを不当に扱った。これは由々しき問題だ。よって余は、アリーシャをルイン王国へ返還するつもりはない」
「当然だ!」
「僕も賛成だよ」
「ボクも、当然だと思う……」
「ならば話は早い。この手紙は握りつぶす。それでもルイン王国が神殿と結託して文句を言ってきたならば、こちらとしても王国と神殿が聖女に対して何をしたかを民に公表しよう。その為の準備を進めておく必要がある。ロラン、根回しはお前に頼むぞ」
「任せてください、父さん!」
「追い詰められたルイン王国は何をするか分からない。ハイラル、お前はルイン王国との国境周辺に警戒するよう軍に伝達するのだ」
「了解しました、父上。獅子は兎を狩るにも全力を尽くすもの。小国相手とはいえ決して油断はしません」
「エクレールはハイラルの動向に合わせて発明を続けるのだ。お前の作る魔道具は軍の役に立つ。同時に帝国内の経済も活性化させる。期待しているぞ」
「はい、父さん……!」
こうしてルイン王国への対応が決まった。ちなみに今回の話は、アリーシャには一切伝えないという事で合意が取られた。
アリーシャは優しいから、今回の話を知ればルイン王国に帰ると言い出すかもしれない。それは皇帝も三皇子も望まないところだったので、彼女には一切合切伏せておこうと決定した。
今のルイン王国の王族の統治能力は、お世辞にも上手いとは言えない。アリーシャを返したところで一時の凌ぎになるかもしれないが、長期的に見れば何の解決にもならない。
ルイン王国の王族が心を入れ替えて統治に励むか、あるいは帝国に降るか……。今はまだ、何とも言えない。しかしどのような結果になるとしても、アリーシャと民は絶対に守り抜くと、皇帝と三皇子は決意するのだった。
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