一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

文字の大きさ
647 / 718
第十五章 終焉

第42.5話 幕間─二柱の雑談─

しおりを挟む
『どいつもこいつも役立たずにゃ……』

 アルテミスは憤慨し、歯止めの効かないところまで来ていた。
 イリヤをも下したラルフたちはこの世界最凶の病原体。取り除かなければ今後の世界の在り方が変わるのが推測出来る。
 加えてネレイドとミネルバ、そしてバルカンは戦うことを放棄した。どうせなら一回戦ってくれるなら、結果がどうであれ溜飲は下がっただろう。が、その期待は無駄に終わった。

くにゃる上は、魔族に力を与えてみなごろしの討伐を……』

『まぁその方が無難ではあるよねぇ。人族ではどうしても限界があるし、ゼアルでもダメだったからね』

 神が思う最も英雄に近い存在、ゼアル。そんな彼はあろうことかラルフを要所要所で助けてしまう。自分との戦いの中で勝負を決めたいと言うわがまま。完璧主義でこだわりの強い男なのだ。
 全てを合理的に考える虫のように希薄な精神を持った男ならとっくにラルフは死んでいたかもしれないが、そんな奴は英傑になることなど出来ない。せいぜい裏社会でただ生きているだけの生活を送っていることだろう。

『というか自分でやらないの?あのアトムでさえ体を張ってミーシャとやり合ったのに……』

『もちろん自分でやるにゃよ?魔族は単なる囮にゃ』

『へぇ~。無い知恵を絞って戦おうって言うの?凄いじゃんアルテミス。僕見直しちゃったよ』

 アシュタロトは手を叩いて喜んだ。アルテミスは得意満面に踏ん反り返ったが、何かに気付いたように眉をへの字に曲げた。

『ん?無い知恵って言ったかにゃ?』

『そんなことよりもマクマインだよ。もう何日帰ってきてないの?僕もう飽きちゃったなぁ……』

 マクマインに能力を与え、歳を感じさせない若々しい肉体を手に入れた彼は、ラルフを殺してくると言ったきり。喜びのあまり何処かに羽を伸ばしているのかもしれない。こんなことなら一緒について行くんだったと頬を膨らます。

『ジュードだったよにゃ?確か。ちょっと遠いし徒歩だったしで無理じゃ無いかにゃ?』

『えぇ?だってあの魔道具を使ってるんだよ?ひとっ飛びじゃないか……』

「うむ、その通りだ。お陰ですぐに戻ってこられた」

 二人の会話に割って入ったのは噂のマクマインだった。

『マクマイン!もう……寂しかったよ』

 アシュタロトは嬉しそうに体を揺すっている。

『で?どうだったにゃ?』

 マクマインはアルテミスの問いに首を振る。アルテミスはため息をついた。

『いや、何でにゃ?ラルフは訳無く殺せるはずにゃ。難しいことは考えず、ただ剣を振るだけで……』

「試したさ、言われるまでも無くな。しかし奴には何故か私の特異能力が効かん。みなごろしが邪魔出来ない状態になっていたから攻めたが、見事にからめ取られてしまったよ」

 兜を脱いで脇に抱える。顔に多少の疲れが出ていたが、何かを発散したようなスッキリとした面持ちだった。

『あーっ!ラルフの異空間に閉じ込められてたなぁ?それで遅かったんだ』

「ふっ……分かるか?あの能力は厄介だ。何とか封じる手は無いか?」

『あるにはあるけど、力を与えた神との交渉次第かな。特異能力が効かない理由もサトリの加護だろうね。彼女がラルフを殺しても良いって思ったら力を取り上げてくれるんじゃないかな?』

 アシュタロトは足をプラプラ遊ばせながら唇を尖らせた。まず無理だと確信している顔だ。

『異空間を経由して出入り口を自由に決められる。まさに次元渡りの能力そのものにゃ。にゃからあれほどイイルクオンの住人に特異能力を与えてはいけないと……』

『はいはーい今更今更。私たちもゼアルとマクマインに能力与えたし、もうサトリを悪く言えないんだよねぇ』

『それは……そうにゃけども……』

 モゴモゴと言葉を濁したアルテミスは何かに気付いたようにハッとした顔を見せた。

『待つにゃ。今さっきマクマインはみなごろしは邪魔が出来にゃいって……』

「うむ。この私に対応すら出来ていなかった」

『ってことはミーシャには加護が無いってこと?サトリにしては珍しいことをしてるね。……いや、今彼女の側に居ないのか……』

『チャンスにゃ!!今ここで叩けばみなごろしは殺せるにゃ!!』

『さぁ、どうかな?君が単体で行っても返り討ちだろうね。それより魔族を懐柔してミーシャと戦わせる最初の策で行きなよ。いくらか勝率は上がるでしょ』

『にゃぁ……やっぱりウチをバカにしてるにゃろ?』

『僕はそんなにひどいやつじゃ無いさ。助言は的確にしないと失礼だろ?』

 アシュタロトはニヤニヤ笑って冗談めかして笑う。気分を害しながらも、結局アルテミスは魔族のところへと出発した。誰に協力を仰ぐのか一切告げずに……。

 マクマインは待つ。ラルフと戦えるその時まで──。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...