279 / 718
第八章 地獄
第九話 予定外の事態
しおりを挟む
空中浮遊要塞スカイ・ウォーカーがゆったりと進む。町中で騎士達に取り囲まれた経緯から危険を感じ、さっさとホルス島に向けて出発した。ラルフが服屋から戻ってドレスの件を伝えたところ、アルルが盛大に駄々をこね始めた。
「ヤダヤダっ!私もパーティーに参加したい~!!」
今回は既製品のみ手に入った為、オーダーメイドのジュリアとアルルは必然お留守番となる。普段は大人びた印象を見せるアルルも、この時ばかりは十代の女の子に早変わりする。特にブレイドが参加出来るのに自分が参加出来ないとあっては駄々をこねざるを得ない。
「しょうがないだろ?アルルは既製品が体に合わないんだから……」
ブレイドはアルルを宥める。今回手に入ったのは男性用のスーツが二着、女性用ドレスが六着である。となれば参加する男性はラルフとブレイド、女性はミーシャ、ベルフィア、エレノアとあと三名。アンノウンは自分で作成するので別枠での参加となる。
「や~だ~っ!もうこのままで行くぅ!」
ブレイドはお手上げといった風にラルフを見る。ラルフは顔を顰めながらアルルの服装を見た。
「つってもそのワンピースじゃドレスコードに引っ掛かりそうだし……」
「そんなの……!ゴージャスだけがドレスじゃ無いですぅー!これだって立派なドレスですぅー!」
生活感漂う燻んだ色のワンピースをシワを伸ばすように引っ張りながら主張する。誰より大きくツンッと張った豊満な胸に思わず目がいったがハッとして頭を振った。
「気持ちは分かるが、ドレスってのはこういうのを言ってだな……」
手元にあった既製品のドレスをかざす。真っ白で美しいシルク生地のドレスは、私服などとはまるで違う雰囲気を醸し出す。パーティー用の作りは煌びやかで、どこか空想の世界を思い起こさせる。目の当たりにすれば自分がどれほど愚かなことを言っているのか理解出来た。アルルはぐぅの音も出ずに泣きそうな顔でドレスを睨みつける。
「あー……えっと……」
ラルフはその目に同情した。例えば体が大きすぎたり小さすぎたり、太っていたり起伏に富んでいたりすれば、日常生活で使う私服ですらオーダーメイドでないと駄目だったりする。アルルは一般女性に比べればそれこそ起伏に富んだ体をしている。手作り感漂うワンピースくらいしか着る物が無かったと思えば同情もする。
「そうだなぁ……そのワンピースをよく洗濯して、今以上に清潔感を保てばもしかしたら……もしかするかもしれないぞ?」
アルルの恨みの篭ったドス黒い目が、一瞬にして希望溢れる輝かしい色に変わった。
「本当ですか?!」
「まぁ無理言えば入れるだろうからさ。会場ではアルル一人だけ浮いちゃうかもしれないけど、それで良ければ一緒に行こう」
「はい!!」
アルルは一気に顔が明るくなり、その場で厚手のワンピースを脱ごうと服を掴んだ。すぐにでも洗濯をしようと先に体が動いたのだろう。それをブレイドは焦って止める。
「待て待て!脱ぐならせめて自分の部屋で脱げよ!」
当然の指摘だ。ラルフは少し残念に思ったが、雑念を振り払ってアンノウンが買ってきた服の山を指差す。
「新しい服があるから好きなの取って行け。無論、着替えるのは自分の部屋でな」
アルルは元気いっぱいに返事していそいそと服を選び始めた。
「すいませんラルフさん。アルルがご迷惑を……」
「何言ってんだよ。普段は我慢してばっかなんだから、こんな時くらい我儘言っていいだろ。ほら、ブレイドもスーツを試着してこいよ」
ラルフはブレイド用のスーツを手渡す。ブレイドは頭を下げてラルフの元を離れた。ラルフは小さくため息を吐きながら自分のスーツに手を伸ばす。大広間ではアンノウンの買ってきた服に興味津々の人だかりが出来ていた。いや、この場合魔族だかりか?ミーシャもはしゃいでいる。
「……服にはあんま興味なかったのにな。変われば変わるもんだ」
フッと微笑みながらラルフも自室に戻った。
*
ホルス島には四つの監視塔がある。その監視塔は敵の発見を知らせるだけにとどまらず、島周辺の天気や風の向き、波の高さなどを観測可能だ。敵の襲撃以外は年に一度くる大時化くらいしか変化のないこの島で、監視塔の仕事は暇以外の何物でもなかった。
監視塔に詰めている当直はトロピカルジュースを口にしながら椅子の背もたれに寄りかかっていた。暇すぎて欠伸まで出る始末。このまま仮眠に移れそうな程うつらうつらしていると「ピー、ピー」と甲高い音で異常を観測した。ドキッとして机に組んだ足を下ろす。滅多にないことが起こったので誤作動かもしれないとすぐに異常を確認した。
「!?……これはなんだ?」
当直の男は慌てて通信機を手に取る。
「監視塔から本部へ!監視塔から本部へ!応答願えます!」
『……ジジッ……こちら本部。おい、どうした?気流が変化して雨でも降るのか?』
本部で通信を取った男は半笑いで返信する。
「異常事態だ!敵の襲撃の可能性がある!今すぐ誰かを寄越してくれ!!」
緊急事態発生。先ほどまで半笑いだった男の声が引き締まったものになる。
『了解。すぐに人を送る』
程なく武器を携えた戦闘員が到着する。当直の男は異常箇所を指差しで伝え、屈強な男がそれを確認した。その異常とは、そこにあるはずもない何か大きな建造物が気流を遮り、そこにぽっかりと空白を作っているというもの。
しかし目の前にあるはずの異常はまるで計器の誤作動であるかのように何もない。当直の男は敵の襲撃であれ、計器の誤作動であれ、自分に非は無いと確認する為にも人を寄越させたのだが、事態はもっと大変なものだった。屈強な男が何かに気付いたようにハッとして呟く。
「馬鹿な……早過ぎる……」
「早いって?何が……?」
屈強な男は即座に通信機を手に取った。
「本部。今すぐアロンツォを呼んでくれ。例の奴らがもう既にここに来ている」
その名を聞いて驚く。
「アロンツォ様を!?一体どういうことですか?!」
「お前が知る必要はない。本来なら次の当直が聞く予定だったのだからな……」
通信機を乱暴に置くと、目の前に浮かんでいるであろう建造物を見るように虚空を見据える。その顔は不満に満ちていた。
「……魔族を迎え入れろと?チッ、ふざけやがる……」
「ヤダヤダっ!私もパーティーに参加したい~!!」
今回は既製品のみ手に入った為、オーダーメイドのジュリアとアルルは必然お留守番となる。普段は大人びた印象を見せるアルルも、この時ばかりは十代の女の子に早変わりする。特にブレイドが参加出来るのに自分が参加出来ないとあっては駄々をこねざるを得ない。
「しょうがないだろ?アルルは既製品が体に合わないんだから……」
ブレイドはアルルを宥める。今回手に入ったのは男性用のスーツが二着、女性用ドレスが六着である。となれば参加する男性はラルフとブレイド、女性はミーシャ、ベルフィア、エレノアとあと三名。アンノウンは自分で作成するので別枠での参加となる。
「や~だ~っ!もうこのままで行くぅ!」
ブレイドはお手上げといった風にラルフを見る。ラルフは顔を顰めながらアルルの服装を見た。
「つってもそのワンピースじゃドレスコードに引っ掛かりそうだし……」
「そんなの……!ゴージャスだけがドレスじゃ無いですぅー!これだって立派なドレスですぅー!」
生活感漂う燻んだ色のワンピースをシワを伸ばすように引っ張りながら主張する。誰より大きくツンッと張った豊満な胸に思わず目がいったがハッとして頭を振った。
「気持ちは分かるが、ドレスってのはこういうのを言ってだな……」
手元にあった既製品のドレスをかざす。真っ白で美しいシルク生地のドレスは、私服などとはまるで違う雰囲気を醸し出す。パーティー用の作りは煌びやかで、どこか空想の世界を思い起こさせる。目の当たりにすれば自分がどれほど愚かなことを言っているのか理解出来た。アルルはぐぅの音も出ずに泣きそうな顔でドレスを睨みつける。
「あー……えっと……」
ラルフはその目に同情した。例えば体が大きすぎたり小さすぎたり、太っていたり起伏に富んでいたりすれば、日常生活で使う私服ですらオーダーメイドでないと駄目だったりする。アルルは一般女性に比べればそれこそ起伏に富んだ体をしている。手作り感漂うワンピースくらいしか着る物が無かったと思えば同情もする。
「そうだなぁ……そのワンピースをよく洗濯して、今以上に清潔感を保てばもしかしたら……もしかするかもしれないぞ?」
アルルの恨みの篭ったドス黒い目が、一瞬にして希望溢れる輝かしい色に変わった。
「本当ですか?!」
「まぁ無理言えば入れるだろうからさ。会場ではアルル一人だけ浮いちゃうかもしれないけど、それで良ければ一緒に行こう」
「はい!!」
アルルは一気に顔が明るくなり、その場で厚手のワンピースを脱ごうと服を掴んだ。すぐにでも洗濯をしようと先に体が動いたのだろう。それをブレイドは焦って止める。
「待て待て!脱ぐならせめて自分の部屋で脱げよ!」
当然の指摘だ。ラルフは少し残念に思ったが、雑念を振り払ってアンノウンが買ってきた服の山を指差す。
「新しい服があるから好きなの取って行け。無論、着替えるのは自分の部屋でな」
アルルは元気いっぱいに返事していそいそと服を選び始めた。
「すいませんラルフさん。アルルがご迷惑を……」
「何言ってんだよ。普段は我慢してばっかなんだから、こんな時くらい我儘言っていいだろ。ほら、ブレイドもスーツを試着してこいよ」
ラルフはブレイド用のスーツを手渡す。ブレイドは頭を下げてラルフの元を離れた。ラルフは小さくため息を吐きながら自分のスーツに手を伸ばす。大広間ではアンノウンの買ってきた服に興味津々の人だかりが出来ていた。いや、この場合魔族だかりか?ミーシャもはしゃいでいる。
「……服にはあんま興味なかったのにな。変われば変わるもんだ」
フッと微笑みながらラルフも自室に戻った。
*
ホルス島には四つの監視塔がある。その監視塔は敵の発見を知らせるだけにとどまらず、島周辺の天気や風の向き、波の高さなどを観測可能だ。敵の襲撃以外は年に一度くる大時化くらいしか変化のないこの島で、監視塔の仕事は暇以外の何物でもなかった。
監視塔に詰めている当直はトロピカルジュースを口にしながら椅子の背もたれに寄りかかっていた。暇すぎて欠伸まで出る始末。このまま仮眠に移れそうな程うつらうつらしていると「ピー、ピー」と甲高い音で異常を観測した。ドキッとして机に組んだ足を下ろす。滅多にないことが起こったので誤作動かもしれないとすぐに異常を確認した。
「!?……これはなんだ?」
当直の男は慌てて通信機を手に取る。
「監視塔から本部へ!監視塔から本部へ!応答願えます!」
『……ジジッ……こちら本部。おい、どうした?気流が変化して雨でも降るのか?』
本部で通信を取った男は半笑いで返信する。
「異常事態だ!敵の襲撃の可能性がある!今すぐ誰かを寄越してくれ!!」
緊急事態発生。先ほどまで半笑いだった男の声が引き締まったものになる。
『了解。すぐに人を送る』
程なく武器を携えた戦闘員が到着する。当直の男は異常箇所を指差しで伝え、屈強な男がそれを確認した。その異常とは、そこにあるはずもない何か大きな建造物が気流を遮り、そこにぽっかりと空白を作っているというもの。
しかし目の前にあるはずの異常はまるで計器の誤作動であるかのように何もない。当直の男は敵の襲撃であれ、計器の誤作動であれ、自分に非は無いと確認する為にも人を寄越させたのだが、事態はもっと大変なものだった。屈強な男が何かに気付いたようにハッとして呟く。
「馬鹿な……早過ぎる……」
「早いって?何が……?」
屈強な男は即座に通信機を手に取った。
「本部。今すぐアロンツォを呼んでくれ。例の奴らがもう既にここに来ている」
その名を聞いて驚く。
「アロンツォ様を!?一体どういうことですか?!」
「お前が知る必要はない。本来なら次の当直が聞く予定だったのだからな……」
通信機を乱暴に置くと、目の前に浮かんでいるであろう建造物を見るように虚空を見据える。その顔は不満に満ちていた。
「……魔族を迎え入れろと?チッ、ふざけやがる……」
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる