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第六十二話 帰宅
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春田は疲れから帰ってすぐ、ベッドに横たわった。
気楽な一人暮らしが一転して4人暮らしに替わったのは大きなストレスだ。
一応気を許している連中ではあるものの、やっぱり一人の方が落ち着く。この体になってから、さらに顕著になっている。ただ「ガー!!」っと騒ぐほど、のっぴきならないわけでもないので我慢している。
「おい聖也。風呂くらい入ったらどうだ?」
親父臭い言い回しで部屋を覗き込んでくる。「後で入るよ…今はこのまま放置してくれー」とうつぶせで手をひらひらさせる。「じゃあ先に入るぞ?」といってノシノシ浴室方面に歩いて行った。
「ん~……」もぞもぞベッドで動いた後、宿題を思い出した。
今日すぐにやらなければならない事でも無かったが、やらないと気持ちが悪い。
眠たい気持ちを振り切り、やる気を奮い立たせ、ベッドから起き上がろうと身を起こした時。
「ど~ん!」
後ろから押され、起き上がりかけをマレフィアが阻害する。「うぷっ」とちょっと甲高い声が出て、またベッドに顔が埋もれる。すぐ後ろでケラケラ笑いながら腹を抱える。
ムカッとして「マレフィア!」と振り返るが、上手いこと両手を押さえつけられ、春田の上にマレフィアは馬乗りになる。銀髪の長い髪が鼻をくすぐる。
「……お、おい……何の真似だ?」
真っ白い肌に薄紅を指した人形の様な綺麗で可愛らしい鼻筋の通った顔が、10cmくらいの距離にある。胸が高鳴り、冷静でいられない。手を外そうと力を入れるが、体重をかけられて思うように動けない。恥ずかしさにも慣れて、段々手が痛くなり始めた頃、マレフィアが口を開いた。
「うちの力でも勝てちゃうんだ~……聖ちゃん可愛いわ~。ヴァルちゃんの時は、うちの腕力をしきりに馬鹿にしてたよねぇ……?」
(気にしてたのか……)そう思えばマレフィアも可愛いもんだ。マレフィアは春田の耳元にその口を持って行く。ほっぺた同士が触れて普段感じることの無い感触に胸が一層ドキンッと高鳴る。
「ねぇねぇ……どんな気持ち?」
おちょくってきた。春田は「ふーっ」と一息。(どれどれ、ちょっと本気出すかな)全身に力を入れて、その体制のままグルンと回転した。
「きゃっ」と可愛らしい悲鳴を出して、今度は春田が上に、マレフィアが下になる。
さっきとは真逆の状況。マレフィアが目を真ん丸にして驚いている。春田はふふんと鼻を鳴らす。
「お前は魔人だが、特別腕力が強いわけじゃないだろ。そこらの女の子程度の力しかないなら、俺が勝てない通りはないんだぜ?どんな気持ちだマレフィア?」
ニヤニヤ笑いながら見下ろす。ぷくっとふくれっ面を見せるマレフィア。
「な、なにをしているんですか?お二人とも……」
それを見て愕然としているポイ子が部屋の入り口前に立っていた。「い、いや、ポイ子。これは……」と真実を離そうとするが、
「や~ん!助けてポイ子ン!犯されちゃう~!」
わざとらしく助けを求めるふりをする。「あ、テメ……!」と春田が焦るが、ポイ子は二人が考えなかった行動に出る。
「もー。そういう事なら言ってくださいよ聖也様。ご奉仕いたしますのにー」
と肯定的に部屋に入ってくる。同時に服が消えて行き、裸になった。もともと服は自分の擬態として生成していたので、体の一部。脱ぐ必要も洗う必要もなく便利なものだと、こんな時にも思うが「待て待てー!」「ストップストーップ!!」流石に二人は焦って止めた。
魔王ガチ勢はどんな姿になろうとも崇拝することは止めないし、奉仕は当たり前の事なのだ。
マレフィアがふざけて押し倒したことを話して、事なきを得る。ポイ子の顔はそれはもうガッカリしていた。
「風呂空いたぞー」
ヤシャは大きな声で洗面所から報せる。「は~い」と率先してマレフィアが声を出した。
「先に入れマレフィア。俺は後から行く」
「なんで~?一緒に入んないの~?」
マレフィアのからかいは留まる事を知らない。(こいつは……)ジト目でマレフィアを見る。全く呆れかえる。
「入らないよ。というかその気もない癖にからかってばかりだと後が怖いぞ?俺みたいにお前の性格を知っているから引っかからないが、他の奴には絶対やるんじゃないぞ」
「……それって~、束縛?聖ちゃんそんなにうちの事好きだったなんて~」
ガクッとなる。(こいつは延々ふざけて…)何かを言うのも馬鹿らしくなり、春田はプイッとそっぽを向いた。
「も~冗談冗談~。他ならぬ聖ちゃんの頼みを聞かないわけないじゃ~ん」
マレフィアは春田に近寄る。「というか~」と言いながら耳元に顔を近づけ
「うちも聖ちゃんを知ってるから出来るんだよ~」息が当たる距離でこしょばゆくなっていると、頬にキスをされた。
「な……!!馬鹿おま……」焦ってマレフィアを見ると、「うちに勝てたからご褒美~」といいつつ部屋を出て行った。
「あー!マレフィア様ズルいです!私も聖也様に口づけしたいのに……」
ポイ子は恨めしそうにマレフィアの後ろ姿を目で追った。
頬に残る感触を実感し、変な幸福感を味わいつつ、これだけは言っとかなければならない。
「お前はするんじゃないぞ?まだ死ねないんだからな」
気楽な一人暮らしが一転して4人暮らしに替わったのは大きなストレスだ。
一応気を許している連中ではあるものの、やっぱり一人の方が落ち着く。この体になってから、さらに顕著になっている。ただ「ガー!!」っと騒ぐほど、のっぴきならないわけでもないので我慢している。
「おい聖也。風呂くらい入ったらどうだ?」
親父臭い言い回しで部屋を覗き込んでくる。「後で入るよ…今はこのまま放置してくれー」とうつぶせで手をひらひらさせる。「じゃあ先に入るぞ?」といってノシノシ浴室方面に歩いて行った。
「ん~……」もぞもぞベッドで動いた後、宿題を思い出した。
今日すぐにやらなければならない事でも無かったが、やらないと気持ちが悪い。
眠たい気持ちを振り切り、やる気を奮い立たせ、ベッドから起き上がろうと身を起こした時。
「ど~ん!」
後ろから押され、起き上がりかけをマレフィアが阻害する。「うぷっ」とちょっと甲高い声が出て、またベッドに顔が埋もれる。すぐ後ろでケラケラ笑いながら腹を抱える。
ムカッとして「マレフィア!」と振り返るが、上手いこと両手を押さえつけられ、春田の上にマレフィアは馬乗りになる。銀髪の長い髪が鼻をくすぐる。
「……お、おい……何の真似だ?」
真っ白い肌に薄紅を指した人形の様な綺麗で可愛らしい鼻筋の通った顔が、10cmくらいの距離にある。胸が高鳴り、冷静でいられない。手を外そうと力を入れるが、体重をかけられて思うように動けない。恥ずかしさにも慣れて、段々手が痛くなり始めた頃、マレフィアが口を開いた。
「うちの力でも勝てちゃうんだ~……聖ちゃん可愛いわ~。ヴァルちゃんの時は、うちの腕力をしきりに馬鹿にしてたよねぇ……?」
(気にしてたのか……)そう思えばマレフィアも可愛いもんだ。マレフィアは春田の耳元にその口を持って行く。ほっぺた同士が触れて普段感じることの無い感触に胸が一層ドキンッと高鳴る。
「ねぇねぇ……どんな気持ち?」
おちょくってきた。春田は「ふーっ」と一息。(どれどれ、ちょっと本気出すかな)全身に力を入れて、その体制のままグルンと回転した。
「きゃっ」と可愛らしい悲鳴を出して、今度は春田が上に、マレフィアが下になる。
さっきとは真逆の状況。マレフィアが目を真ん丸にして驚いている。春田はふふんと鼻を鳴らす。
「お前は魔人だが、特別腕力が強いわけじゃないだろ。そこらの女の子程度の力しかないなら、俺が勝てない通りはないんだぜ?どんな気持ちだマレフィア?」
ニヤニヤ笑いながら見下ろす。ぷくっとふくれっ面を見せるマレフィア。
「な、なにをしているんですか?お二人とも……」
それを見て愕然としているポイ子が部屋の入り口前に立っていた。「い、いや、ポイ子。これは……」と真実を離そうとするが、
「や~ん!助けてポイ子ン!犯されちゃう~!」
わざとらしく助けを求めるふりをする。「あ、テメ……!」と春田が焦るが、ポイ子は二人が考えなかった行動に出る。
「もー。そういう事なら言ってくださいよ聖也様。ご奉仕いたしますのにー」
と肯定的に部屋に入ってくる。同時に服が消えて行き、裸になった。もともと服は自分の擬態として生成していたので、体の一部。脱ぐ必要も洗う必要もなく便利なものだと、こんな時にも思うが「待て待てー!」「ストップストーップ!!」流石に二人は焦って止めた。
魔王ガチ勢はどんな姿になろうとも崇拝することは止めないし、奉仕は当たり前の事なのだ。
マレフィアがふざけて押し倒したことを話して、事なきを得る。ポイ子の顔はそれはもうガッカリしていた。
「風呂空いたぞー」
ヤシャは大きな声で洗面所から報せる。「は~い」と率先してマレフィアが声を出した。
「先に入れマレフィア。俺は後から行く」
「なんで~?一緒に入んないの~?」
マレフィアのからかいは留まる事を知らない。(こいつは……)ジト目でマレフィアを見る。全く呆れかえる。
「入らないよ。というかその気もない癖にからかってばかりだと後が怖いぞ?俺みたいにお前の性格を知っているから引っかからないが、他の奴には絶対やるんじゃないぞ」
「……それって~、束縛?聖ちゃんそんなにうちの事好きだったなんて~」
ガクッとなる。(こいつは延々ふざけて…)何かを言うのも馬鹿らしくなり、春田はプイッとそっぽを向いた。
「も~冗談冗談~。他ならぬ聖ちゃんの頼みを聞かないわけないじゃ~ん」
マレフィアは春田に近寄る。「というか~」と言いながら耳元に顔を近づけ
「うちも聖ちゃんを知ってるから出来るんだよ~」息が当たる距離でこしょばゆくなっていると、頬にキスをされた。
「な……!!馬鹿おま……」焦ってマレフィアを見ると、「うちに勝てたからご褒美~」といいつつ部屋を出て行った。
「あー!マレフィア様ズルいです!私も聖也様に口づけしたいのに……」
ポイ子は恨めしそうにマレフィアの後ろ姿を目で追った。
頬に残る感触を実感し、変な幸福感を味わいつつ、これだけは言っとかなければならない。
「お前はするんじゃないぞ?まだ死ねないんだからな」
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