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第五話 感動
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「仕方がないので、これは私が食べますよ」
まるでいらないものを貰ってやったみたいな言い方だが、
「俺が喰えないのはお前のせいだからな」
ポイ子。スライム科に属する名前の通り毒を持った個体。下級、中級、上級の三種の内、下級に位置している最弱魔族だが、人に与える害は文字通り最悪。そんなものが口を付けた食事は正に猛毒。
「それーー」
という可愛らしい掛け声とともにペチョッという音がポイ子の手元から聴こえる。ポイ子は手を元の不定形に変化させ、鉄板に乗ったおかずを体に取り込み、続け様お皿のご飯を取り込んだ。
驚いてその様子を見ていた春田。そんな出来事は一瞬で、洗い流したように綺麗になった皿が出現する。
「ごちそーさまーー」
「普通に喰え」
春田が席に戻ったので、定位置に戻るポイ子。奥側の席に腰かけて、ジュースを呷る。一息ついてふと気になったことを聞いた。
「そういえば、こっちに来たのはお前だけなのか?」
もし来ているのであればここで二人で時間を潰すのは、探している部下に申し訳が立たない。
「私だけですよ。魔王様が無事だと知ったら皆こっちに来るかもしれませんね♪」
それを聞いてほっとする。
「他の奴はいないのか?良かった」
「え?なんでです?」
春田は考えるそぶりを見せた後、手を広げて自分の体をアピールする。
「だってよ、こんなみっともない姿…他の部下なら幻滅するぞ」
「考えすぎですよ~」
ポイ子は下から覗き込むように返答する。それに対し呆れるように諸手を上げる。
「甘いなポイ子」
肘をついて不遜に語る。
「以前の力を持たず、おまけに人間ときたらポイ子みたく受け入れる奴挙げられるか?」
顎に指を置いて、一瞬考える。その後、両手で数を数えるように指を折り始める。
「そんなの私を含めたら…ひーふーみー……」
「リアルで」
「リアルで……」
それを聞いて右手を丸める。その手を目の前に差し出して、指を一本立てるとその指をじっと見つめる。瞬きもせず、停止する。春田はまさかと思って恐る恐る聞く。
「……え?待て……それお前……それお前以外いないよ?流石に魔王様泣いちゃうよ?」
そのリアクションを確認した後、すぐに瞬きをして虚空を眺めていた目に生気が戻る。
「何て冗談ですよ~。2、3人はいますって」
春田は多少イラっとしたものの、留飲は下がる。
「フンッ……少ないな……」
「いないよかマシですって」
目の前で手をヒラヒラさせてヘラヘラしている。複雑な気分になりつつ、それ以上言えない。
「……しかし、よく俺が魔王だと分かったな。見た目も種族も違うのに……」
その質問を聞いた途端、さっきまでのにやけた態度がなりを潜め、居住まいを正す。
「魔王様……私は仮にも幹部です。どんな姿になろうとも支配者を見間違えるなど、あり得ない事……」
その返答はまたも春田の琴線に刺さる。感動して声が震えそうになるが、我慢して声を出す。
「お前……そこまで……」
とは言っても感動はひとしおで、感動のあまり声が詰まる。そこまで言って、ポイ子は二ヘラと笑って見せる。
「まぁ実は魔王様の魂が見えるので、部下なら誰でも分かるんですがね」
春田はガクッと机に突っ伏し、
「みなまで言うな……美談にしとけ……」
しかし、ガッカリしたというよりは、ちょっと嬉しかった。何故なら次元を超えてまで自分を探し当てた部下の中の部下。
「でも、ありがとよ……ポイ子」
その感謝を受けて、調子を崩すポイ子。困った様な顔をするが、笑顔を見せる。
「感謝なんて、もったいないです」
まるでいらないものを貰ってやったみたいな言い方だが、
「俺が喰えないのはお前のせいだからな」
ポイ子。スライム科に属する名前の通り毒を持った個体。下級、中級、上級の三種の内、下級に位置している最弱魔族だが、人に与える害は文字通り最悪。そんなものが口を付けた食事は正に猛毒。
「それーー」
という可愛らしい掛け声とともにペチョッという音がポイ子の手元から聴こえる。ポイ子は手を元の不定形に変化させ、鉄板に乗ったおかずを体に取り込み、続け様お皿のご飯を取り込んだ。
驚いてその様子を見ていた春田。そんな出来事は一瞬で、洗い流したように綺麗になった皿が出現する。
「ごちそーさまーー」
「普通に喰え」
春田が席に戻ったので、定位置に戻るポイ子。奥側の席に腰かけて、ジュースを呷る。一息ついてふと気になったことを聞いた。
「そういえば、こっちに来たのはお前だけなのか?」
もし来ているのであればここで二人で時間を潰すのは、探している部下に申し訳が立たない。
「私だけですよ。魔王様が無事だと知ったら皆こっちに来るかもしれませんね♪」
それを聞いてほっとする。
「他の奴はいないのか?良かった」
「え?なんでです?」
春田は考えるそぶりを見せた後、手を広げて自分の体をアピールする。
「だってよ、こんなみっともない姿…他の部下なら幻滅するぞ」
「考えすぎですよ~」
ポイ子は下から覗き込むように返答する。それに対し呆れるように諸手を上げる。
「甘いなポイ子」
肘をついて不遜に語る。
「以前の力を持たず、おまけに人間ときたらポイ子みたく受け入れる奴挙げられるか?」
顎に指を置いて、一瞬考える。その後、両手で数を数えるように指を折り始める。
「そんなの私を含めたら…ひーふーみー……」
「リアルで」
「リアルで……」
それを聞いて右手を丸める。その手を目の前に差し出して、指を一本立てるとその指をじっと見つめる。瞬きもせず、停止する。春田はまさかと思って恐る恐る聞く。
「……え?待て……それお前……それお前以外いないよ?流石に魔王様泣いちゃうよ?」
そのリアクションを確認した後、すぐに瞬きをして虚空を眺めていた目に生気が戻る。
「何て冗談ですよ~。2、3人はいますって」
春田は多少イラっとしたものの、留飲は下がる。
「フンッ……少ないな……」
「いないよかマシですって」
目の前で手をヒラヒラさせてヘラヘラしている。複雑な気分になりつつ、それ以上言えない。
「……しかし、よく俺が魔王だと分かったな。見た目も種族も違うのに……」
その質問を聞いた途端、さっきまでのにやけた態度がなりを潜め、居住まいを正す。
「魔王様……私は仮にも幹部です。どんな姿になろうとも支配者を見間違えるなど、あり得ない事……」
その返答はまたも春田の琴線に刺さる。感動して声が震えそうになるが、我慢して声を出す。
「お前……そこまで……」
とは言っても感動はひとしおで、感動のあまり声が詰まる。そこまで言って、ポイ子は二ヘラと笑って見せる。
「まぁ実は魔王様の魂が見えるので、部下なら誰でも分かるんですがね」
春田はガクッと机に突っ伏し、
「みなまで言うな……美談にしとけ……」
しかし、ガッカリしたというよりは、ちょっと嬉しかった。何故なら次元を超えてまで自分を探し当てた部下の中の部下。
「でも、ありがとよ……ポイ子」
その感謝を受けて、調子を崩すポイ子。困った様な顔をするが、笑顔を見せる。
「感謝なんて、もったいないです」
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