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第3章
第5話 王都の財務官
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ラースはクレインと共に王都へと向かっていた。
道中は特に問題は起こらなかった。
馬車に揺られて数日、無事に王都へと入ることができた。
王都へ到着すると、ラースはそのまま王宮へと向かった。
辺境伯から貰った紹介状を提示して王宮内の応接間で待っていた。
しばらくして、応接間の扉が開かれる。
「ラース様、ご無沙汰しております」
「マスハスさん!!」
「覚えていて下さいましたか」
「もちろんですよ!」
マスハス・ローラント財務官。
かつては、ナイゲール家に仕えてくれていた。
「ご立派になられましたな、ラース様。ベルベット様のように」
「マスハスさん、今回の件よろしくお願いします」
「おまかせ下さい。王宮財務官という立場上、今までお助けできず歯がゆい思いをしておりましたが、バーロン卿から
お話を聞き、ぜひ協力させて頂きたく」
王宮財務官として国に仕えている以上、個人の感情で動く訳にはいかないのだ。
「ありがとうございます」
「ベルベット様にも頼まれていましたからね」
「お祖父様に?」
「ええ、ラース様が民のため、患者の為に戦う時は共に戦って欲しいと」
マスハスがナイゲール家を離れたのは10年以上前のことだと記憶している。
その時、すでにベルベットはラースが民の為に戦う時が来ることを予想していたのだろう。
本当に、何年先を見通す目を持っていたのかと思う。
「バーロン卿から大体の話は聞いています。王都の動物保護団体の件でしたよね」
「ええ、活動実態とお金の流れを調べたいんです」
「これが私が調べた限りの資料になります」
マスハスはすでに調査してくれていた。
その調査結果をまとめてくれていたのだ。
「こんなに早くありがとうございます」
「大体はラースさんの思っている通りだと思います。集められた寄付金は別の団体を通してこの団体の代表者個人に流れていることが分かりました」
「やっぱりですか」
活動実態に関してはほとんど行われていない。
最低限、保護しているといえる程度の実績を記入しているに過ぎない。
「これって証拠になりますよね?」
「ええ、これだけ揃っていれば問題ないかと。すぐにでも潰せますよ」
「ありがとうございます。進めてもらってもいいですか?」
「分かりました。やりましょう」
マスハスはすぐに動いてくれた。
このまま、国王の耳に入れば詐欺組織は解体にまで追い込むことができるだろう。
「引き続きよろしくお願いします」
「任せて下さいよ。私は、誰かの為に頑張るラース様の味方です」
「マスハスさん、ありがとうございます」
ラースは王宮を後にし、実家へと帰る。
そして、数日後には詐欺組織は壊滅へと向かった。
道中は特に問題は起こらなかった。
馬車に揺られて数日、無事に王都へと入ることができた。
王都へ到着すると、ラースはそのまま王宮へと向かった。
辺境伯から貰った紹介状を提示して王宮内の応接間で待っていた。
しばらくして、応接間の扉が開かれる。
「ラース様、ご無沙汰しております」
「マスハスさん!!」
「覚えていて下さいましたか」
「もちろんですよ!」
マスハス・ローラント財務官。
かつては、ナイゲール家に仕えてくれていた。
「ご立派になられましたな、ラース様。ベルベット様のように」
「マスハスさん、今回の件よろしくお願いします」
「おまかせ下さい。王宮財務官という立場上、今までお助けできず歯がゆい思いをしておりましたが、バーロン卿から
お話を聞き、ぜひ協力させて頂きたく」
王宮財務官として国に仕えている以上、個人の感情で動く訳にはいかないのだ。
「ありがとうございます」
「ベルベット様にも頼まれていましたからね」
「お祖父様に?」
「ええ、ラース様が民のため、患者の為に戦う時は共に戦って欲しいと」
マスハスがナイゲール家を離れたのは10年以上前のことだと記憶している。
その時、すでにベルベットはラースが民の為に戦う時が来ることを予想していたのだろう。
本当に、何年先を見通す目を持っていたのかと思う。
「バーロン卿から大体の話は聞いています。王都の動物保護団体の件でしたよね」
「ええ、活動実態とお金の流れを調べたいんです」
「これが私が調べた限りの資料になります」
マスハスはすでに調査してくれていた。
その調査結果をまとめてくれていたのだ。
「こんなに早くありがとうございます」
「大体はラースさんの思っている通りだと思います。集められた寄付金は別の団体を通してこの団体の代表者個人に流れていることが分かりました」
「やっぱりですか」
活動実態に関してはほとんど行われていない。
最低限、保護しているといえる程度の実績を記入しているに過ぎない。
「これって証拠になりますよね?」
「ええ、これだけ揃っていれば問題ないかと。すぐにでも潰せますよ」
「ありがとうございます。進めてもらってもいいですか?」
「分かりました。やりましょう」
マスハスはすぐに動いてくれた。
このまま、国王の耳に入れば詐欺組織は解体にまで追い込むことができるだろう。
「引き続きよろしくお願いします」
「任せて下さいよ。私は、誰かの為に頑張るラース様の味方です」
「マスハスさん、ありがとうございます」
ラースは王宮を後にし、実家へと帰る。
そして、数日後には詐欺組織は壊滅へと向かった。
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