【完結】偽聖女と言われ教会を追放された真の聖女は呪われた次期公爵様に溺愛される〜本物の聖女はお前だったから戻って来いと言われても知りません〜

津ヶ谷

文字の大きさ
上 下
14 / 15

第14話 大出世

しおりを挟む
「また明日、王宮へと来てくれないか?」

 陛下がアナスタシアへと言った。

「分かりました」
「その時は、ロインのやつも一緒に連れてきてくれ。呪いが解けたことも婚約も祝ってやらねばな」
「ありがとうございます。王妃様も明日には回復すると思いますので、また様子を診させてください」
「そうしてもらえるとありがたい」

 陛下には次の公務があると言う事なので、その日は王宮を後にした。


 ♢

 
 翌日、アナスタシアはロインと共に王宮を訪れた。

「お待ちしておりました。国王陛下がお待ちです。ご案内します」

 王宮の従者によって、案内される。
そして、昨日と同じ王妃様の元へと通された。

「よく来てくれた。妻は目を覚ましたよ」

 そこには陛下と王妃様の姿があった。
王妃様はベッドには居るが、上半身を起こしていた。

「主人から聞きました。あなたが、救ってくれたと」
「回復したようで何よりです。念のため診せて頂いてもよろしいですか?」
「はい、お願いします」

 アナスタシアは王妃様の脈を確認する。

「間違いなく、正常に戻っていますね。だいぶ体力を消費していますので、しばらくは安静にお願いします」
「分かりました」

 昨日までの異常な脈の速さも、瞳孔の散大も無くなっている。
体内に入っていた薬物を完全に浄化することができたという証拠だ。

「本当にありがとう。アナスタシアさん、謁見の間に来てくれるか? 君に渡したいものがあるのだ」
「え!?」
「これは借りの一部だと思ってくれ。ロインも謁見の間で待機しててくれ」
「承知しました」

 そかから、ロインと国王陛下は一足先に謁見の魔へと向かっていく。
アナスタシアは応接間に通されて待機している。

「アナスタシア様、準備が整いました。ご案内します」

 王宮の執事によって謁見の間に繋がる扉の前まで案内される。

「謁見の仕方は分かりますか?」
「ええ、それは大丈夫だと思います」

 アナスタシアは過去に何度か他国の王と謁見する機会があったので、謁見の仕方は大体わかっている。

「かしこまりました」

 アナスタシアは扉の前で息を吐く。
わざわざ、謁見の間で渡したいものとは一体なんなのだろうか。

「時間でございます」

 従者2人によって、扉が開けられる。
赤い絨毯の上をゆっくりと歩いていく。
両脇には王都と王都の近くに拠点を置く貴族たちが並んでいる。

 そこには、公爵とロインの姿もあった。

 指定された場所でアナスタシアは下膝を突いて、頭を下げる。

「面を上げよ」

 陛下の言葉でアナスタシアは顔を上げる。

「貴殿は王妃の命を救ってくれた。この国とって重要な人物の命を救ってくれた事、高く評価すべきだろう」
「ありがとうございます」

 そこで、陛下は一呼吸置いた。

「アナスタシア、貴殿に“白銀の聖女“の称号を授ける。これは、ミュルヘン王国国王としての宣言である」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~

白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。 王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。 彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。 #表紙絵は、もふ様に描いていただきました。 #エブリスタにて連載しました。

二度目の召喚なんて、聞いてません!

みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。 その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。 それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」 ❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。 ❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。 ❋他視点の話があります。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

花冠の聖女は王子に愛を歌う

星名柚花
恋愛
『この国で一番の歌姫を第二王子の妃として迎える』 国王の宣言により、孤児だった平民のリナリアはチェルミット男爵に引き取られ、地獄のような淑女教育と歌のレッスンを受けた。 しかし、必死の努力も空しく、毒を飲まされて妃選考会に落ちてしまう。 期待外れだったと罵られ、家を追い出されたリナリアは、ウサギに似た魔物アルルと旅を始める。 選考会で親しくなった公爵令嬢エルザを訪ねると、エルザはアルルの耳飾りを見てびっくり仰天。 「それは王家の宝石よ!!」 …え、アルルが王子だなんて聞いてないんですけど? ※他サイトにも投稿しています。

教会を追放された元聖女の私、果実飴を作っていたのに、なぜかイケメン騎士様が溺愛してきます!

海空里和
恋愛
王都にある果実店の果実飴は、連日行列の人気店。 そこで働く孤児院出身のエレノアは、聖女として教会からやりがい搾取されたあげく、あっさり捨てられた。大切な人を失い、働くことへの意義を失ったエレノア。しかし、果実飴の成功により、働き方改革に成功して、穏やかな日常を取り戻していた。 そこにやって来たのは、場違いなイケメン騎士。 「エレノア殿、迎えに来ました」 「はあ?」 それから毎日果実飴を買いにやって来る騎士。 果実飴が気に入ったのかと思ったその騎士、イザークは、実はエレノアとの結婚が目的で?! これは、エレノアにだけ距離感がおかしいイザークと、失意にいながらも大切な物を取り返していくエレノアが、次第に心を通わせていくラブストーリー。

トカゲ令嬢とバカにされて聖女候補から外され辺境に追放されましたが、トカゲではなく龍でした。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。  リバコーン公爵家の長女ソフィアは、全貴族令嬢10人の1人の聖獣持ちに選ばれたが、その聖獣がこれまで誰も持ったことのない小さく弱々しいトカゲでしかなかった。それに比べて側室から生まれた妹は有名な聖獣スフィンクスが従魔となった。他にもグリフォンやペガサス、ワイバーンなどの実力も名声もある従魔を従える聖女がいた。リバコーン公爵家の名誉を重んじる父親は、ソフィアを正室の領地に追いやり第13王子との婚約も辞退しようとしたのだが……  王立聖女学園、そこは爵位を無視した弱肉強食の競争社会。だがどれだけ努力しようとも神の気紛れで全てが決められてしまう。まず従魔が得られるかどうかで貴族令嬢に残れるかどうかが決まってしまう。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

侯爵令嬢セリーナ・マクギリウスは冷徹な鬼公爵に溺愛される。 わたくしが古の大聖女の生まれ変わり? そんなの聞いてません!!

友坂 悠
恋愛
「セリーナ・マクギリウス。貴女の魔法省への入省を許可します」 婚約破棄され修道院に入れられかけたあたしがなんとか採用されたのは国家の魔法を一手に司る魔法省。 そこであたしの前に現れたのは冷徹公爵と噂のオルファリド・グラキエスト様でした。 「君はバカか?」 あたしの話を聞いてくれた彼は開口一番そうのたまって。 ってちょっと待って。 いくらなんでもそれは言い過ぎじゃないですか!!? ⭐︎⭐︎⭐︎ 「セリーナ嬢、君のこれまでの悪行、これ以上は見過ごすことはできない!」 貴族院の卒業記念パーティの会場で、茶番は起きました。 あたしの婚約者であったコーネリアス殿下。会場の真ん中をスタスタと進みあたしの前に立つと、彼はそう言い放ったのです。 「レミリア・マーベル男爵令嬢に対する数々の陰湿ないじめ。とても君は国母となるに相応しいとは思えない!」 「私、コーネリアス・ライネックの名においてここに宣言する! セリーナ・マクギリウス侯爵令嬢との婚約を破棄することを!!」 と、声を張り上げたのです。 「殿下! 待ってください! わたくしには何がなんだか。身に覚えがありません!」 周囲を見渡してみると、今まで仲良くしてくれていたはずのお友達たちも、良くしてくれていたコーネリアス殿下のお付きの人たちも、仲が良かった従兄弟のマクリアンまでもが殿下の横に立ち、あたしに非難めいた視線を送ってきているのに気がついて。 「言い逃れなど見苦しい! 証拠があるのだ。そして、ここにいる皆がそう証言をしているのだぞ!」 え? どういうこと? 二人っきりの時に嫌味を言っただの、お茶会の場で彼女のドレスに飲み物をわざとかけただの。 彼女の私物を隠しただの、人を使って階段の踊り場から彼女を突き落とそうとしただの。 とそんな濡れ衣を着せられたあたし。 漂う黒い陰湿な気配。 そんな黒いもやが見え。 ふんわり歩いてきて殿下の横に縋り付くようにくっついて、そしてこちらを見て笑うレミリア。 「私は真実の愛を見つけた。これからはこのレミリア嬢と添い遂げてゆこうと思う」 あたしのことなんかもう忘れたかのようにレミリアに微笑むコーネリアス殿下。 背中にじっとりとつめたいものが走り、尋常でない様子に気分が悪くなったあたし。 ほんと、この先どうなっちゃうの?

処理中です...