【完結】家族から虐げられていた私、実は世界で唯一精霊を操れる治癒精霊術師でした〜王都で癒しの聖女と呼ばれ、聖騎士団長様に溺愛されています〜

津ヶ谷

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第14話 作戦に向けて

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 お屋敷に戻ると、アリーセはダイン様から今回の討伐作戦についての詳細を聞いていた。
ダイン様は机の上に、王国お北側の詳細な地図を置く。

「1万の魔獣はこちら側から来ます。なので、我々騎士団と冒険者たちはここで戦闘に入ります」

 そこは森の中でも開けた場所になっていた。

「なるほど……確かにここなら、魔獣の群れを迎え撃てますね」

 この地形なら、強力な魔法もぶっ放せることだろう。
それによって、多少地形が変わってしまうかもしれないが、それも想定範囲内なのだろう。

「アリーセたち治癒師や王国医師はここで待機してもらう」

 ダイン様が指刺したは、先ほどの開けた場所から少し離れたところである。

「わかりました」
「ここなら、安全とまでは言わないが、ちゃんと護衛の騎士と冒険者がいるから安心してほしい。もちろん、私もいるつもりだが、作戦の指揮もあるので、ずっとは居られぬかもしれん」

 ダイン様は聖騎士団の団長なのである。
前線で戦う者たちを指揮する立場にあるのだ。

「わかっています。自分の身くらい自分で守って見せます。これでも攻撃精霊術も使えますので!」

 あくまでも癒しの精霊術が得意というだけで、光の大精霊は攻撃精霊術も使うことができる。
今まではあまり使う機会に恵まれて居なかったのである。

「無茶は絶対にしないでください。あなたに死なれては、これからあなたに救われるはずだったたくさんの命も失われることになります。その事だけ、ちゃんと覚えていてください」

 ダイン様は真剣な表情で訴えてくる。

「わかりました」

 アリーセはダイン様の言葉に頷いた。

「分かってくれたならいいんです。作戦は3日後です。明後日には王都を出る予定なので、準備しておいてください」
「はい、私、頑張りますね」
「あなたのことは絶対に守りますから」

 そして、その翌日、アリーセは王宮へと出向いていた。
自分の仕事部屋で討伐作戦に向けての準備をするためだ。

「アリーセさん」

 王宮の廊下を歩いていると、後ろから声をかけられる。

「陛下!」

 振り向くとそこには国王陛下が立っていた。

「お仕事かい?」
「はい、せっかくこんなにいい仕事部屋をいただきましたし、討伐作戦に向けての準備もしなくては」
「休みのも仕事のうちだぞ」
「はい、午後からはお休みをいただきます」
「頑張りすぎるなよ」

 そう言って、陛下は笑みを浮かべる。

「そうだ、娘、もうすっかり元気になったよ」
「それは、よかったです」

 白眼病も完治し、特に後遺症なども出なかったと聞いている。
王宮の医師たちはそのことに関しては奇跡だと言っていた。

「今度、娘にも挨拶をさせる。時間をもらえるか?」
「はい、もちろんです」
「ありがとう。では、これからも期待しているよ」

 そう言って、陛下はその場を去った。
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