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第3話 癒しの精霊術
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アリーセは、1人ひとり状況を確認して行く。
「聞こえますかー?」
呼吸はしているがすごく弱い。
右肩から胸の位置にかけて、大きな傷があり、大量出血をしている。
まずは、この傷を塞がないと、出血性ショックで死んでしまう。
他の2人よりも、この人が一番重症であった。
傷の形状からして、魔獣の類では無いと思う。
もっと、鋭く切れ味のいいもので、鎧ごと引き裂かれたのだろう。
「左手、握りますよ」
そう言って、アリーセは重症を負った騎士の左手を握る。
『光の精霊たちに契約者の権限を持って願う。ここは我が領域にして我が聖域。かの者に救いを、癒しの御手を』
すると、騎士の体が黄色の光に包まれる。
みるみるうちに、傷が塞がって行く。
数分しないうちに、右肩にあった傷はきれいに塞がった。
「うん、呼吸も安定しましたね」
意識は失っているままだが、呼吸は随分と落ち着いた。
脈もしっかりと震えるようになったので、ひとまずは安心だろう。
「お待たせしましたー」
他の2人は意識ははっきりとしている。
「あなたは、一体、何者なんですか……!?」
「い、今のは精霊の力ですよね!?」
聖騎士2人は意識をちゃんと保っていたので、私の行動を見て驚いた表情を浮かべていた。
「通りすがりの治癒師といった所ですかね。ちょっと診せてください」
アリーセは負傷した騎士たちの傷を診る。
「足が痛いですか?」
「ああ、右足が……」
「ちょっと触りますよ」
慎重に触って確認する。
「あー、足の骨が折れてますね」
『光の精霊よ。かの者に癒しを。救いの御手を』
骨折した箇所を修復し、骨を繋げるようなイメージで治癒の精霊術をかけて行く。
「終わりました」
「本当だ。先ほどまでの痛みが嘘のようだ。ありがとう」
自分の足を見て、騎士がつぶやいた。
「お待たせしました。腕の他に痛い所ありますかー?」
アリーセが声をかけると、騎士は首を横に振った。
騎士の左腕には矢が刺さっている。
《トレース》
アリーセは魔法で刺さっている状況を確認する。
「神経はやられて無いようですね」
幸い、神経にダメージは受けていない。
このまま治癒しても問題ないだろう。
「今からこの矢を抜きますからね」
アリーセはゆっくりを刺さった矢を取り除く。
『癒しの御手を』
癒しの精霊術をかけると、矢が刺さっていた傷は綺麗に塞がった。
「すごい……」
騎士の表情は、まるでこの世のものではないものを見たような表情を浮かべている。
「あなたは聖女さまだ……」
「大したことはしていません。彼、まだ気を失っていますが、しばらく経てば目を覚ますでしょう。失った血は戻ってないのでくれぐれも無茶はしないように」
精霊術も万能という訳ではない。
失った血液までを戻すことはできないのである。
そう言うと、アリーセはその場を立ち去ろうとした。
ここでもう、できることは全てを終わらせた。
「お待ちください。最後に、お名前をお教えいただけませんか?」
「アリーセです。では、私はこれで」
家名は名乗らなかった。
もう、家名は捨てたのだ。
これからの新しい生活のために。
「聞こえますかー?」
呼吸はしているがすごく弱い。
右肩から胸の位置にかけて、大きな傷があり、大量出血をしている。
まずは、この傷を塞がないと、出血性ショックで死んでしまう。
他の2人よりも、この人が一番重症であった。
傷の形状からして、魔獣の類では無いと思う。
もっと、鋭く切れ味のいいもので、鎧ごと引き裂かれたのだろう。
「左手、握りますよ」
そう言って、アリーセは重症を負った騎士の左手を握る。
『光の精霊たちに契約者の権限を持って願う。ここは我が領域にして我が聖域。かの者に救いを、癒しの御手を』
すると、騎士の体が黄色の光に包まれる。
みるみるうちに、傷が塞がって行く。
数分しないうちに、右肩にあった傷はきれいに塞がった。
「うん、呼吸も安定しましたね」
意識は失っているままだが、呼吸は随分と落ち着いた。
脈もしっかりと震えるようになったので、ひとまずは安心だろう。
「お待たせしましたー」
他の2人は意識ははっきりとしている。
「あなたは、一体、何者なんですか……!?」
「い、今のは精霊の力ですよね!?」
聖騎士2人は意識をちゃんと保っていたので、私の行動を見て驚いた表情を浮かべていた。
「通りすがりの治癒師といった所ですかね。ちょっと診せてください」
アリーセは負傷した騎士たちの傷を診る。
「足が痛いですか?」
「ああ、右足が……」
「ちょっと触りますよ」
慎重に触って確認する。
「あー、足の骨が折れてますね」
『光の精霊よ。かの者に癒しを。救いの御手を』
骨折した箇所を修復し、骨を繋げるようなイメージで治癒の精霊術をかけて行く。
「終わりました」
「本当だ。先ほどまでの痛みが嘘のようだ。ありがとう」
自分の足を見て、騎士がつぶやいた。
「お待たせしました。腕の他に痛い所ありますかー?」
アリーセが声をかけると、騎士は首を横に振った。
騎士の左腕には矢が刺さっている。
《トレース》
アリーセは魔法で刺さっている状況を確認する。
「神経はやられて無いようですね」
幸い、神経にダメージは受けていない。
このまま治癒しても問題ないだろう。
「今からこの矢を抜きますからね」
アリーセはゆっくりを刺さった矢を取り除く。
『癒しの御手を』
癒しの精霊術をかけると、矢が刺さっていた傷は綺麗に塞がった。
「すごい……」
騎士の表情は、まるでこの世のものではないものを見たような表情を浮かべている。
「あなたは聖女さまだ……」
「大したことはしていません。彼、まだ気を失っていますが、しばらく経てば目を覚ますでしょう。失った血は戻ってないのでくれぐれも無茶はしないように」
精霊術も万能という訳ではない。
失った血液までを戻すことはできないのである。
そう言うと、アリーセはその場を立ち去ろうとした。
ここでもう、できることは全てを終わらせた。
「お待ちください。最後に、お名前をお教えいただけませんか?」
「アリーセです。では、私はこれで」
家名は名乗らなかった。
もう、家名は捨てたのだ。
これからの新しい生活のために。
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