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第26話 医師の創る明日①
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いよいよ、魔物暴走の討伐当日。
西の森近くの草原で、魔物たちを迎え撃つことになっている。
王宮には第一から第三騎士団と、Aランク以上の資格を持つ冒険者たちが集めらた。
部隊の正面にはサルヴァ殿下が立つ。
「皆、今日は集まってくれてありがとう。マルディン王国、騎士団・冒険者の誇りと意地にかけて民を守るぞ!!」
サルヴァの言葉によって、一気に士気が上がる。
王国の馬車で移動を開始する。
「エミリアさん、無理はしないでくださいね」
「殿下こそ、無茶はやめてくださいよ」
「分かってます」
王都から半日近くかけて、目的の地点に到着する。
「エミリアさん、医療指揮はお任せします」
「承知しました。ご武運を」
サルヴァが騎士たち討伐部隊を引き連れて、魔物の元へと向かっていく。
「ここに医療テントを設置します。病床は15確保してください!」
「「了解!」」
すぐに取りかかられ、30分で医療テントは完成した。
「戦闘が始まったら重症者も運ばれてくるかと思います。状況によっては、私の指示に従う必要はありません。各自協力して、救命に当たりましょう」
「「「はい!」」」
しばらくして、金属がぶつかる音が聞こえてくる。
どうやら、戦闘が始まったらしい。
「エミリア様! こいつお願いします!」
すぐに負傷した騎士が運ばれてくる。
「すぐにテントに! 鎧外しますよ」
出血は少ない。
しかし、胸の当たりを抑えて苦しそうにしている。
「ちょっと触りますから、痛かったら言ってください」
「うぅ!」
腹部を触った時に、表情を歪ませる。
「肋骨が折れていますね。すぐ、治しますよ」
《パーフェクト・ヒール》
白い光が騎士の体を包み込む。
「凄い。どうやって魔力を練っているんだ……」
一般的に回復魔法は、緑色の光とされている。
しかし、鍛錬を積み極めた者は白色の光となるのだ。
これは魔術を専門とする者でも、簡単にはできない。
「さっきまでの痛みが嘘みたいだ……」
「肋骨は元通りですよ」
「ありがとう先生! これでまた戦える」
「無茶はだめですからね」
そう言って、再び剣を取る騎士を見送る。
「皆さん、手を止めてる暇はないですよ」
続々と負傷した兵が運び込まれてくる。
「こっちはいいから、向こうの患者さん優先して」
「分かりました!」
エミリアはひたすらに治癒していく。
数時間して、運ばれてく兵士は落ち着いてきた。
「とりあえずは、落ち着いたと思いたいですね」
「ですね」
戦闘音も聞こえなくなってきた。
終わりが近いのだろう。
「エミリア先生!!」
その時、血相を変えた騎士団の副団長がやって来た。
「どうしました?」
「殿下が! サルヴァ殿下が!」
「ここは任せます」
「わ、分かりました!」
他の宮廷医に医療テントを任せる。
「殿下の所に行きますよ」
西の森近くの草原で、魔物たちを迎え撃つことになっている。
王宮には第一から第三騎士団と、Aランク以上の資格を持つ冒険者たちが集めらた。
部隊の正面にはサルヴァ殿下が立つ。
「皆、今日は集まってくれてありがとう。マルディン王国、騎士団・冒険者の誇りと意地にかけて民を守るぞ!!」
サルヴァの言葉によって、一気に士気が上がる。
王国の馬車で移動を開始する。
「エミリアさん、無理はしないでくださいね」
「殿下こそ、無茶はやめてくださいよ」
「分かってます」
王都から半日近くかけて、目的の地点に到着する。
「エミリアさん、医療指揮はお任せします」
「承知しました。ご武運を」
サルヴァが騎士たち討伐部隊を引き連れて、魔物の元へと向かっていく。
「ここに医療テントを設置します。病床は15確保してください!」
「「了解!」」
すぐに取りかかられ、30分で医療テントは完成した。
「戦闘が始まったら重症者も運ばれてくるかと思います。状況によっては、私の指示に従う必要はありません。各自協力して、救命に当たりましょう」
「「「はい!」」」
しばらくして、金属がぶつかる音が聞こえてくる。
どうやら、戦闘が始まったらしい。
「エミリア様! こいつお願いします!」
すぐに負傷した騎士が運ばれてくる。
「すぐにテントに! 鎧外しますよ」
出血は少ない。
しかし、胸の当たりを抑えて苦しそうにしている。
「ちょっと触りますから、痛かったら言ってください」
「うぅ!」
腹部を触った時に、表情を歪ませる。
「肋骨が折れていますね。すぐ、治しますよ」
《パーフェクト・ヒール》
白い光が騎士の体を包み込む。
「凄い。どうやって魔力を練っているんだ……」
一般的に回復魔法は、緑色の光とされている。
しかし、鍛錬を積み極めた者は白色の光となるのだ。
これは魔術を専門とする者でも、簡単にはできない。
「さっきまでの痛みが嘘みたいだ……」
「肋骨は元通りですよ」
「ありがとう先生! これでまた戦える」
「無茶はだめですからね」
そう言って、再び剣を取る騎士を見送る。
「皆さん、手を止めてる暇はないですよ」
続々と負傷した兵が運び込まれてくる。
「こっちはいいから、向こうの患者さん優先して」
「分かりました!」
エミリアはひたすらに治癒していく。
数時間して、運ばれてく兵士は落ち着いてきた。
「とりあえずは、落ち着いたと思いたいですね」
「ですね」
戦闘音も聞こえなくなってきた。
終わりが近いのだろう。
「エミリア先生!!」
その時、血相を変えた騎士団の副団長がやって来た。
「どうしました?」
「殿下が! サルヴァ殿下が!」
「ここは任せます」
「わ、分かりました!」
他の宮廷医に医療テントを任せる。
「殿下の所に行きますよ」
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