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第127話 魔術競技大会①
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開会式は無事に終了し、いよいよ本番の、クラス対抗の模擬戦の時間となった。
樹とアリアは、それぞれ、自分の用意された席に座って、アリーナを眺めていた。
「いよいよ始まるのか」
「そうですね」
アリーナの魔法で表示されている掲示板には、トーナメント表が大々的に表示されていた。
最初の試合は、AクラスとDクラスの対戦である。
それぞれ、クラスの代表者が入場する。
「両、クラスの代表は中央までお越しください」
審判の指示により、クラスの代表者は中央に集まると、握手を交わした。
「始め!」
審判の合図で試合が開始される。
いきなり、Aクラスの代表者が炎の渦を展開していた。
威力としては、まだまだだが、学生の魔法としては、申し分ない威力であろう。
Dクラスの代表者は、なす術なく、吹っ飛ばされていた。
「そこまで」
一瞬にして、決着が決まった。
救護部隊の回復魔法で、Dクラスの代表者は回復したようではある。
「それでは、休憩を挟んで、次の試合に移ります」
アリーナにアナウンスの声が響いた。
「さて、俺、ちょっとトイレ行ってくるわ」
「かしこまりました」
そう言うと、樹は席を立った。
「樹さん」
トイレに行こうと歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「おう、どうかしたか?」
そこに居たのは、ミアであった。
確か、次の試合でCクラスの代表になっていた。
「あ、あの、私、不安で……」
「次の試合、だったか。まあ、気楽にやれ。何も死ぬわけじゃないんだ」
そう言って、ミアの肩を優しく叩いた。
「分かりました! ありがとうございます!」
ミアの顔に、光が戻ったように、笑顔を浮かべた。
「おう、存分にやって来い!」
「はい!」
何か、吹っ切れたような顔を浮かべると、試合の準備へと向かった。
「さて、トイレトイレ」
ミアと別れると、樹はトイレへと向かう。
そして、用を済ませると、自分の席へと戻る。
ちょうど、その時、次の試合が始まろうとしていた。
「なんだか、ミアさん、いい顔をしていますね」
「わかるか?」
「ええ、何か吹っ切れたような、そんな顔です」
アリアにも、ミアの変化は分かったようであった。
「あの子は実力はありますが、それゆえに、精神面が心配でしたが、杞憂だったのかもしれませんね」
ミアは、同年代の中なら、かなりの実力者だろう。
いつもは、樹とアリアの傍に居る為、霞んでいるが。
まあ、この二人と互角に渡り合える人物の方が、少ないことは確かだが。
「ああ、ミアならやってくれるさ」
この短い間ではあるが、ミアはだいぶ成長してきた。
技術面はもちろんだが、主には精神面が。
もう少し、精神面が伴ってくれば、樹やアリア及ばなくとも、いい所までは行くだろう。
「お、始まるぞ」
「はい」
アリーナに目を向けると、Bクラスの代表とCクラスの代表ミアが、入場していた。
樹とアリアは、それぞれ、自分の用意された席に座って、アリーナを眺めていた。
「いよいよ始まるのか」
「そうですね」
アリーナの魔法で表示されている掲示板には、トーナメント表が大々的に表示されていた。
最初の試合は、AクラスとDクラスの対戦である。
それぞれ、クラスの代表者が入場する。
「両、クラスの代表は中央までお越しください」
審判の指示により、クラスの代表者は中央に集まると、握手を交わした。
「始め!」
審判の合図で試合が開始される。
いきなり、Aクラスの代表者が炎の渦を展開していた。
威力としては、まだまだだが、学生の魔法としては、申し分ない威力であろう。
Dクラスの代表者は、なす術なく、吹っ飛ばされていた。
「そこまで」
一瞬にして、決着が決まった。
救護部隊の回復魔法で、Dクラスの代表者は回復したようではある。
「それでは、休憩を挟んで、次の試合に移ります」
アリーナにアナウンスの声が響いた。
「さて、俺、ちょっとトイレ行ってくるわ」
「かしこまりました」
そう言うと、樹は席を立った。
「樹さん」
トイレに行こうと歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「おう、どうかしたか?」
そこに居たのは、ミアであった。
確か、次の試合でCクラスの代表になっていた。
「あ、あの、私、不安で……」
「次の試合、だったか。まあ、気楽にやれ。何も死ぬわけじゃないんだ」
そう言って、ミアの肩を優しく叩いた。
「分かりました! ありがとうございます!」
ミアの顔に、光が戻ったように、笑顔を浮かべた。
「おう、存分にやって来い!」
「はい!」
何か、吹っ切れたような顔を浮かべると、試合の準備へと向かった。
「さて、トイレトイレ」
ミアと別れると、樹はトイレへと向かう。
そして、用を済ませると、自分の席へと戻る。
ちょうど、その時、次の試合が始まろうとしていた。
「なんだか、ミアさん、いい顔をしていますね」
「わかるか?」
「ええ、何か吹っ切れたような、そんな顔です」
アリアにも、ミアの変化は分かったようであった。
「あの子は実力はありますが、それゆえに、精神面が心配でしたが、杞憂だったのかもしれませんね」
ミアは、同年代の中なら、かなりの実力者だろう。
いつもは、樹とアリアの傍に居る為、霞んでいるが。
まあ、この二人と互角に渡り合える人物の方が、少ないことは確かだが。
「ああ、ミアならやってくれるさ」
この短い間ではあるが、ミアはだいぶ成長してきた。
技術面はもちろんだが、主には精神面が。
もう少し、精神面が伴ってくれば、樹やアリア及ばなくとも、いい所までは行くだろう。
「お、始まるぞ」
「はい」
アリーナに目を向けると、Bクラスの代表とCクラスの代表ミアが、入場していた。
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