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第115話 摘発に向けて①
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ギルマスは忙しそうに机の上の書類と格闘していた。
「おう、樹、久しぶりだな」
「お久しぶりです。忙しそうですね。出直しますか?」
「いや、構わん。お前さんが出向いて来たという事は割と急ぎの案件だろ?」
流石はギルマス、察しがいい。
「ちょっとこれだけ処理させてくれ。そこに座って待っててな」
「ええ、大丈夫ですよ」
樹とシルフィルはギルマス執務室のソファーに腰を下ろした。
「いやぁ、待たせてすまんな」
執務が一段落したのか、ギルマスが樹の向かいの席に腰を下ろした。
「いえ、こちらこそ急にすみません」
「それで、今回はどんな用件かな?」
「はい、実はこれを見て頂きたくて」
樹は陛下からもらった報告書をテーブルの上に置いた。
「ああ、この件、樹たちに行ったのか。王室預かりになってた一件だからな」
「ええ、この件でギルド調査部はどこまで掴んで居るのかを教えて欲しいと思いまして」
「すまんな、樹」
ギルマスは表情を曇らせた。
「この件に関してはほとんど情報が降りて来なかったんだわ」
「ほう、ギルド本部でも情報が掴めない程の相手って事ですか。一体何者なんです?」
「未成年の家出していたり、スラム街にいるような子たちを攫って、風俗へ売り飛ばすという事しか分かって居ないんだ」
「なるほど。厄介な相手ですね」
樹は少し、怒りを露わにした。
「でも、売り飛ばした先の風俗店舗なら大体わかっているぞ。これがリストだ」
そう言ってギルマスは山積みの資料の中から、一枚の紙を取り出して、樹の前に置いた。
「ありがとうございます。とりあえず、ここにある風俗店舗を潰して行こうと思います」
「おう、あんまり無茶するなよ」
「分かってます。このリスト、貰っていきますね」
「ああ、構わないよ」
ギルマスからリストを受け取ると懐に仕舞った。
「では、我々はこれで。お邪魔しました」
「おう、またな」
樹は立ち上がるとギルド本部を後にした。
「シルフィルも付き合わせて悪かったな。なんか、食って帰るか?」
「マスターが気にする事無いって。でも、飯は食う!」
「おうよ、食いたいものあるか?」
「あの、鹿肉を揚げたヤツが食いたい!」
「おう、この前行った所と同じ店でいいか?」
「構わないぜ」
樹とシルフィルは王都の中心街へと歩いた。
「いらっしゃい!」
店に入ると店主の親父が席に案内した後、おしぼりを渡してくれる。
「シルフィルは何にするー?」
「マスターと同じものでいいぞ」
「分かったよ。親父、注文いいか?」
「はいよー!」
「この、ノーマルなヤツを2人前くれ」
「はいよー!」
注文して数分待つと、料理が運ばれてくる。
「はい、お待ちー!」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
運ばれてきた料理を前にして、2人で食事を始める。
「「いただきます」」
「おう、樹、久しぶりだな」
「お久しぶりです。忙しそうですね。出直しますか?」
「いや、構わん。お前さんが出向いて来たという事は割と急ぎの案件だろ?」
流石はギルマス、察しがいい。
「ちょっとこれだけ処理させてくれ。そこに座って待っててな」
「ええ、大丈夫ですよ」
樹とシルフィルはギルマス執務室のソファーに腰を下ろした。
「いやぁ、待たせてすまんな」
執務が一段落したのか、ギルマスが樹の向かいの席に腰を下ろした。
「いえ、こちらこそ急にすみません」
「それで、今回はどんな用件かな?」
「はい、実はこれを見て頂きたくて」
樹は陛下からもらった報告書をテーブルの上に置いた。
「ああ、この件、樹たちに行ったのか。王室預かりになってた一件だからな」
「ええ、この件でギルド調査部はどこまで掴んで居るのかを教えて欲しいと思いまして」
「すまんな、樹」
ギルマスは表情を曇らせた。
「この件に関してはほとんど情報が降りて来なかったんだわ」
「ほう、ギルド本部でも情報が掴めない程の相手って事ですか。一体何者なんです?」
「未成年の家出していたり、スラム街にいるような子たちを攫って、風俗へ売り飛ばすという事しか分かって居ないんだ」
「なるほど。厄介な相手ですね」
樹は少し、怒りを露わにした。
「でも、売り飛ばした先の風俗店舗なら大体わかっているぞ。これがリストだ」
そう言ってギルマスは山積みの資料の中から、一枚の紙を取り出して、樹の前に置いた。
「ありがとうございます。とりあえず、ここにある風俗店舗を潰して行こうと思います」
「おう、あんまり無茶するなよ」
「分かってます。このリスト、貰っていきますね」
「ああ、構わないよ」
ギルマスからリストを受け取ると懐に仕舞った。
「では、我々はこれで。お邪魔しました」
「おう、またな」
樹は立ち上がるとギルド本部を後にした。
「シルフィルも付き合わせて悪かったな。なんか、食って帰るか?」
「マスターが気にする事無いって。でも、飯は食う!」
「おうよ、食いたいものあるか?」
「あの、鹿肉を揚げたヤツが食いたい!」
「おう、この前行った所と同じ店でいいか?」
「構わないぜ」
樹とシルフィルは王都の中心街へと歩いた。
「いらっしゃい!」
店に入ると店主の親父が席に案内した後、おしぼりを渡してくれる。
「シルフィルは何にするー?」
「マスターと同じものでいいぞ」
「分かったよ。親父、注文いいか?」
「はいよー!」
「この、ノーマルなヤツを2人前くれ」
「はいよー!」
注文して数分待つと、料理が運ばれてくる。
「はい、お待ちー!」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
運ばれてきた料理を前にして、2人で食事を始める。
「「いただきます」」
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