最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

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第106話 ウェールズ王都への帰還

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 時の流れというのは早いものであっという間に滞在予定であった、一週間が経過しようとしていた。

「今日、ウェールズに戻るのかね?」
「そうですね」

 エクムント陛下はどこか寂しそうな表情をしていた。

「お父様、あまり心配なさらないでください。私は大丈夫です」
「そうかい。体には気をつけてな」
「お父様も」

 ミアはエクムントに微笑みを浮かべた。

「さて、では、戻りましょうか」
「はい」
「では、私の腕に捕まって下さい」
「え、馬車で帰るのではないのですか?」
「はい、それでは時間がかかりすぎますからね」

『転移』

 樹は転移魔法を起動させるとそのまま、ウェールズ王国の屋敷へと転移した。

「凄い……私、転移魔法というものを初めて経験しました」

 ミアは驚いていた。

「まあ、そうだよな。これにはアホみたいな魔力が必要だから普通は使えない」
「じゃあ、私は使えないんですか?」
「うーん、まだ分からないけど、魔力を保有できる量を増やす所から始めないとかな」
「なるほど」
「まあ、まだまだこれからだよ」

 樹は微笑んだ。

「ただいまー」
「ただいま戻りました」

 樹は玄関の扉を開けた。

「「おかえりなさいませ」」

 セザールとシャルが出迎えてくれた。

「どうでしたか? オリエンス王国は」

 シャルが樹に尋ねてきた。

「うん、色々面白かったよ。国外に行くのは初めてだったからね」
「樹さんも初めてなんですね」
「うん、俺は今までウェールズ王国から出たことなかったから、いい経験になったよ」
「それは良かったですね。今度は私も連れていって下さい」
「ああ、もちろんだよ」

 樹はシャルの頭をそっと撫でた。

「ミアは夏休み開けるまで何か予定でもあるのか?」

 魔術学院の夏休みはまだ二週間ほどある。

「いえ、特にありませんが、強いて言うなら課題を進めなくてはいけませんかね。もう大体終わらせていますから問題ありませんが」
「そうかそうか。なら、みんなで慰安旅行にでも行こうか」
「それはいいですね!」
「セザールたちもたまには休まないとな」
「私たちもですか?」

 セザールは驚いたような表情をした。

「何言って言っているの。セザールたちのための慰安旅行なんだから。最近、ほとんど休んでないでしょ?」
「確かにそうではありますが」

 セザールはこの屋敷の管理のため、ほぼ毎日働いていると言えるだろう。

「うん、じゃあ、決定ということで。ディルクとアルマにも話しといてくれ。場所のリクエストがあったら聞くから」
「かしこまりました」

 樹は部屋に戻ると夕食までに未決済の書類を処理してしまうことにした。
 
「旦那様、夕食のご用意が出来ました」

 ちょうど書類の処理が終わった頃、ディルクが呼びに来た。

「ありがとうすぐに行く」

 樹は書類の束を綺麗に揃えるとリビングへと向かうのであった。
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