最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

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第86話 トリーア大迷宮

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 樹たちはギルド本部から屋敷へと戻ってきた。

「さて、サクッと片付けますか」
「そうですね。早い所終わらせて来ましょう」

 アリアとシルフィルもやる気になっている。

「はぁ、どうしてこうも血の気が多い人たちばっかりなんでしょう」

 シャルは少し肩を落とした。

「国を脅かされる前に何とかしないといけないからな。早いに越したことは無い」
「まぁ、それはそうですけどね」
「よし、決まりだな。行くか」

 屋敷の事をセザールたちに任せて樹たちはトリーア大迷宮へと向かった。

 国の東部に位置するトリーア大迷宮の付近の街へと転移するとそこからは徒歩で行く事にした。

「流石は三大迷宮がある街だけあって賑わっているなぁ」
「本当ですねぇ」

 街の中は露店などが立ち並び、そこそこの賑わいを見せていた。

「ここに居ても仕方ないし、行くか」

 樹たち一行は街をひとまず後にすると歩いて数十分のトリーア大迷宮へと向かった。

「ここだな」
「ですね」

 迷宮の前まで行くとイエーナ大迷宮の時と同じように王国の騎士が迷宮の入り口に立っていた。

「ここから先へ通るには通行許可証を見せてもらう」
「はいよ」

 樹は懐に入っている通行許可証を出すと騎士に見せた。

「し、失礼しました! どうぞお通り下さい!」

 綾瀬樹の名前を見ると騎士は勢いよく敬礼した。

「ありがとさん」

 樹たちは薄暗い迷宮の中へと足を踏み入れた。

『ライト』

 初級の光魔法で照らしながら迷宮内を歩く。
この程度の魔法なら常時発動していても大した魔力消費にはならない。

「魔人族がいるとしたらどこだ?」

 樹はシルフィルに尋ねた。

「迷宮の最深部近くだろうな。最深部近くはマナも多いから魔獣も生息しやすい」
「なるほどな」

 樹は考えた。

「迷宮って階段で降りないといけない決まりとかあるの?」
「いえ、そんな決まりがある訳ではありませんが、階段を使うしか下にいく方法はありませんよ?」

 アリアが言った。

「いや、手ならある」

 樹は地面に手を付けると土魔法を展開し、地面の形を変化させる。
すると、そこには直径5メートルほどの穴が空いていた。

「流石はマスターだ。土魔法を使って地面に穴を開けちまうなんてな」
「本当に何でもアリですね」

 皆、樹が何をやっても今更驚かない様子だった。

「さて、飛び降りるぞ」
「え、飛び降りるってこの高さをですか!?」

 その高さは約三階建ての建物くらいの高さだろう。
樹は大丈夫でも、シャルとアリアは怪我をする危険があった。
まぁ、アリアなら恐らく大丈夫だろうが。

「その辺は任せてとけ」

 シルフィルが言った。

「私が先におりてマスターたちを風で受け止めてやるよ」
「シルフィルは大丈夫なのか?」
「私も風の力で降りるから問題無い」
「分かった。頼めるか」
「おうよ」

 シルフィルが降りたのを確認すると、樹、アリア、シャルの順番で降りた。
下から優しく風が包み込み、何一つ怪我をする事無く降りる事が出来た。

「こりゃ凄いな」
「ゆっくり降りれました」
「本当にどこも怪我してない……」
「大精霊の精霊術だからな」

 シルフィルは胸を張った。

 その後も樹たちは同じ要領で迷宮の最深部を目指すのであった。
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