最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

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第75話 動き出す影

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 王都へと帰還するとその足で王宮へと出向いた。

「こちらで少々お待ち下さい」

 初めて見るメイドに応接間へと通されて、待つ事数分、国王陛下とギルド本部長が入ってきた。

「待たせたな」
「いえ、ギルマスまでとは珍しいですね」
「ああ、本来であればギルドが扱う案件だからな」
「それで、どうだったかね?」
「騎士団が襲撃された現場に行ったら、案の定、僕らの襲撃を受けました。これは戦利品です」

 樹は魔獣から抜いた針と核をストレージから出すと机の上に置いた。

「これは……?」

 陛下が不思議そうに針を手に取った。

「魔獣の首に刺さって居た物です。おそらく、それで魔獣を操れる魔道具かと思いますが、詳しい調査をお願いしたいです」
「分かった。それは私の方で調べましょう」

 ギルマスが言った。

「お願いします。それと、こっちは魔獣の核なのですが、普通の魔獣より強いと感じました。その辺りも含めて調べて頂けると助かります」
「分かった。この核も分析してみる」
「ありがとうございます。では、僕たちはこの辺で失礼しますね」
「ああ、ご苦労だった」
「結果が出次第、連絡する」

 陛下たちに一通りの報告を終えると、王宮を後にし、屋敷へと戻った。

「おかえりなさいませ」

 アルマが出迎えてくれた。
コートを脱いでアルマに渡すとリビングのソファーに腰を下ろした。

「今回の調査からも敵の目的はイマイチ掴めなかったな」
「そうですね。でも、このまま放置するわけにもいかないですよね」
「そうだな。俺たちにも出来る限りの事をしてみようか」

 樹たちはリビングで今後の動きについて少し考えていた。

 あれから三日が経過した頃、樹たちはギルド本部へと呼び出された。

「わざわざ来てもらってすまんな」

 樹たちはギルドマスター室へと通されていた。

「いえ、それで分析結果が出たんですか?」
「ああ、そうだ」

 そう言うとギルマスは報告書を樹たちの前に置いた。

「まず、あの針だが、魔獣を操る魔道具と見て間違えないだろう。しかし、これは量産品でそこまで価値の高い物ではないが、これを作れる人間は限られている」

 ギルマスが結果を報告してくれている。

「次に、核の方も調べたが、確かに魔獣のステータスは上がっていた。これは例の針に魔力の増大効果があるもののと思われる。以上がうちの調査結果だ」
「ありがとうございます」

 樹はギルマスから報告書を受け取ると懐に仕舞った。

「もしかしたら大きな相手と敵対するかもしれないな……」

 そんな懸念を抱きながら樹たちはギルド本部を後にした。

「あの男、それにあのメイド、一体何者なんだ! 奴らを潰さない事にはアタイの計画がめちゃくちゃになるじゃない!」

 謎の女は焦っていた。
果たしてこの女は樹たちの脅威になるのであろうか。
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