最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

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第71話 異能者

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 屋敷に到着すると、樹は入るようにアルマを促した。

「大きい……あなたは一体……」
「まあ、俺が何者かはそのうち分かるさ」

 中に入ると執事のディルクが出迎えてくれた。

「おかえりなさいませ」
「セザールは居るかな?」
「はい、ただいま呼んで参ります」

 そう言うと、ディルクはセザールの元へと向かった。

「まあ、座ってくれ」

 樹はアルマをリビングの椅子へと座らせた。

「お呼びでしょうか?」

 その数分後、セザールはリビングにやって来た。

「身請けしてきたアルマだ。うちのメイドとして働いてもらおうと思っている」
「ほう、この方が、旦那様が言っておられた方ですか。綾瀬家の家令を務めております、セザールと申します」
「あ、アルマです」

 アルマはペコりと頭を下げた。

「旦那様がスカウトしてきたということは何か特別なことがおありなんでしょう?」
「ああ、ちょっとな。でも、まずはアルマに謝らないといけない。すまん。アルマのステータスを勝手に見てしまった」
「じゃあ、あのスキルも……」

 そう言うとアルマは少し目を伏せた。

「あの、何があったか聞かせてもらえないか?」
「はい、」  

 アルマはポツポツと話し始めた。

「実は、」

 この世界には特殊スキルを持つ者が稀に生まれてくる。
そのスキルは通常のスキルとは違い、その名を『異能』という。
異能を持つ者は『異能者』と言われ、忌み嫌われることが多い。
アルマもその例外では無かった。
人間とはかけ離れた力。
それが異能の正体である。
周囲からは化け物などと言われ、孤立していった。
両親も異能を持つ娘をよく思っては居なかった。
アルマが13になった日、遊郭に売り飛ばされたのだ。

「嫌ですよね。こんな化け物みたいな力を持っているなんて」
「何言ってんだ? めちゃくちゃ凄いじゃん」
「え!?」

 アルマは拍子抜けした表情を浮かべた。

「だって、凄い強い能力なんだろ? だったらそれを生かさなきゃ損だよ。だから俺がスカウト
したんだし」
「嫌……じゃないんですか?」
「もちろん。そんなこと言ったら俺のスキルの方がよっぽど化け物じみてるよ。見るか? 俺のステータス」
「はい……」

『ステータスオープン』
 
 樹は久々にステータスを開いた。


《ステータス》

名前 :綾瀬樹
レベル:246
年齢 :18歳
種族 :人族
スキル:鑑定、経験値増大、気配探知、無詠唱、言語理解、身体強化、剣術、槍術、体術
魔法 :火・水・風・土・光・闇
称号 :転生者、Sランク冒険者、魔法を極めし者、武を極めし者、魔術学院学長

「ほれ、なんかまた上がってるけど」

 そう言って樹は半透明なステータスボードをアルマに見せた。

「何、これ……」

 アルマは樹のステータスを見て、絶句していた。

「上には上が居るってことさ。だからあんまり気を病むなよ」
「ありがとうございます」

 そう言ってアルマは頭を下げた。
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