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第64話 オリエンス王国への協力要請
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ギルド本部から戻ると樹はミアの部屋をノックした。
「ミア姫さん、ちょっといいかぁ」
中からバタバタという音が聞こえた後、ミアの声が聞こえた。
「ど、どうぞ!」
「おう、入るぞー」
部屋に入るとミアがベッドの上にちょこんと座っていた。
「なんだ、わざわざ着替えたのか? そのままでも良かったのに」
「お、おおお、大きなお世話です! それで、何か用があるんじゃないんですか?」
「ああ、そうだったそうだった。ここ、いいか?」
樹はベッドの手前に置いてある椅子を指さした。
「え、ええ。構いませんよ」
その言葉を聞き、樹は腰を下ろした。
「じゃあ、早速だが、本題に入らせたもらうぞ」
「はい」
「俺たちが追っている人身売買組織のボスがうちとオリエンス王国の国境線沿いの村に逃げ込んだとの情報が入った」
樹はギルマスから聞いたことをミアに話した。
「なるほど……」
「一応、うちの領地なのだが、暴れまわってオリエンス王国に迷惑をかける訳にもいかない。制圧に動く前に許可をもらっておきたいと思ってな」
「分かりました……」
ミアは少し考えこんでいた。
「それでは、お父様に手紙を書きましょう。協力をお願いします」
「ありがとう。助かるよ」
樹はミアに頭を下げた。
「ちょ、ちょっと、頭上げなさいよ。別にあなたに頭下げてもらうためにやっているんじゃ無いんです」
ミアはブツブツ言いながらも手紙を書いてくれた。
「はい、書けたわよ。あんたも一筆添えなさい」
「ありがとう。本当に助かる」
樹も一筆添えると陛下の元へ向かった。
王宮に入るといつものように応接間に通された。
「待たせたな」
数分待つと陛下が応接間へと入ってきた。
「いえ、急に押しかけてすみません」
「構わんよ。どういった用件だね?」
陛下が尋ねてきた。
「実はですね、例の人身売買組織のボスがオリエンス王国との国境線沿いに逃げ込んだようでして、制圧のためには向こうの協力も必要かと思いまして」
「なるほどな……」
「この手紙をオリエンス王国王都まで届けて頂きたいのです」
そう言って樹は二枚の書簡を陛下の前に置いた。
「これは?」
「ミア姫と私の筆致で書いた協力要請です」
「分かった。オリエンス王都まで早馬を出そう」
「ありがとうございます」
陛下は早速オリエンス王都まで書簡を届けることを約束してくれた。
「では、私はこれで失礼します」
樹は書簡を置いて王宮を後にした。
―――三日後。
「旦那様、オリエンス王国よりお手紙が届いております」
「ありがとう」
樹は書簡を受け取ると綺麗に開けた。
――――
魔術学院学長 綾瀬樹 殿
話は分かった。
そのような人物がうちの国内に入れる訳にはいかない。
存分にやってくれたまえ。
追伸
ミアをよろしく頼む。
オリエンス国王
――――
書簡にはそのように書かれていた。
「よっしゃ!」
「どうされました?」
「オリエンス国王の許可が取れた」
樹はアリアとシャル、ミアにそのことを伝えた。
「やりましたね」
「良かったです」
「私が一筆書いたのだから当然よ!」
こうして、人身売買組織のボスの制圧に向かうのであった。
「ミア姫さん、ちょっといいかぁ」
中からバタバタという音が聞こえた後、ミアの声が聞こえた。
「ど、どうぞ!」
「おう、入るぞー」
部屋に入るとミアがベッドの上にちょこんと座っていた。
「なんだ、わざわざ着替えたのか? そのままでも良かったのに」
「お、おおお、大きなお世話です! それで、何か用があるんじゃないんですか?」
「ああ、そうだったそうだった。ここ、いいか?」
樹はベッドの手前に置いてある椅子を指さした。
「え、ええ。構いませんよ」
その言葉を聞き、樹は腰を下ろした。
「じゃあ、早速だが、本題に入らせたもらうぞ」
「はい」
「俺たちが追っている人身売買組織のボスがうちとオリエンス王国の国境線沿いの村に逃げ込んだとの情報が入った」
樹はギルマスから聞いたことをミアに話した。
「なるほど……」
「一応、うちの領地なのだが、暴れまわってオリエンス王国に迷惑をかける訳にもいかない。制圧に動く前に許可をもらっておきたいと思ってな」
「分かりました……」
ミアは少し考えこんでいた。
「それでは、お父様に手紙を書きましょう。協力をお願いします」
「ありがとう。助かるよ」
樹はミアに頭を下げた。
「ちょ、ちょっと、頭上げなさいよ。別にあなたに頭下げてもらうためにやっているんじゃ無いんです」
ミアはブツブツ言いながらも手紙を書いてくれた。
「はい、書けたわよ。あんたも一筆添えなさい」
「ありがとう。本当に助かる」
樹も一筆添えると陛下の元へ向かった。
王宮に入るといつものように応接間に通された。
「待たせたな」
数分待つと陛下が応接間へと入ってきた。
「いえ、急に押しかけてすみません」
「構わんよ。どういった用件だね?」
陛下が尋ねてきた。
「実はですね、例の人身売買組織のボスがオリエンス王国との国境線沿いに逃げ込んだようでして、制圧のためには向こうの協力も必要かと思いまして」
「なるほどな……」
「この手紙をオリエンス王国王都まで届けて頂きたいのです」
そう言って樹は二枚の書簡を陛下の前に置いた。
「これは?」
「ミア姫と私の筆致で書いた協力要請です」
「分かった。オリエンス王都まで早馬を出そう」
「ありがとうございます」
陛下は早速オリエンス王都まで書簡を届けることを約束してくれた。
「では、私はこれで失礼します」
樹は書簡を置いて王宮を後にした。
―――三日後。
「旦那様、オリエンス王国よりお手紙が届いております」
「ありがとう」
樹は書簡を受け取ると綺麗に開けた。
――――
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そのような人物がうちの国内に入れる訳にはいかない。
存分にやってくれたまえ。
追伸
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「どうされました?」
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「やりましたね」
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こうして、人身売買組織のボスの制圧に向かうのであった。
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