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第58話 姫様と帰宅
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樹たち一行は王宮の応接間に戻って来た。
「本当に、家に姫さんを住まわせていいんですね?」
「ああ、ミア姫ご自身の要望だからな」
陛下が答えた。
「分かりました。じゃあ、僕は帰りますけど、姫さん一緒に帰りいましょうか?」
樹がミア姫に尋ねた。
「もちろんよ。それと、姫さんはやめて下さい。ミアと呼んで下さい」
「しかし、一国の王女を呼び捨てにはできないですよ」
「いいんです。あなたは私の目指すべき、倒すべき相手ですので」
ミアは少し素直になっていた。
最初からそうすればいいのに。
やはり、出鼻を挫いたのは正解だったのだろうか。
「分かりました。では、ミア、帰りましょう」
「はい!」
そう言うと、樹は、アリアとミアと共に王宮を出た。
「兄上、大丈夫なんですか?」
「ああ、姫さまを樹のそばに置いて置くと何やら面白いことになりそうだしな」
陛下は二ヤッと笑った。
「たしかに、強くなるとは思いますが......」
「それだけじゃないぞ。もっと大きなことになりそうじゃ」
陛下の目にはミアはどう見えていたのか、それを知るものは今は陛下自身だけだった。
「ここが家です」
樹は自分の屋敷に案内していた。
「ふーん。って、デカ! しかも、貴族街の一等地。あんた何者なのよ」
「ただの冒険者ですよ。部屋は余ってますからご心配なく」
「この大きさで満室なら逆に驚きよ!」
「さ、入ってください」
樹はミアに入るように促した。
「「おかえりなさいませ」」
中に入るとセザールとシャルが出迎えてくれる。
「あ、こちら、今日からしばらく家に住むことになった、ミアだ。オリエンス王国の第二王女さんだ」
その言葉に使用人二人は固まった。
「お二人とも、樹さんと接する時のように接していただければ構いませんよ」
ミアが二人の反応をみて言った。
なんだ、素直にも出来るんじゃないか。
「お気遣い恐れ入りいます。私、綾瀬家の家令を務めておりますセザールと申します。なにかご用向きがありましたら、何なりとお申し付け下さい」
「メイドのシャルと申します。わからない事があれば何でも聞いてください」
「オリエンス王国第二王女、ミアと申します」
そういうとミアはスカートの裾を掴み、一礼した。
先程までの態度からうって変わっていたので、樹は驚いた。
「で、私の部屋はどこになるのかしら?」
「お、おう、セザール、案内してやってくれ」
「かしこまりました」
しかし、相変わらず、樹にへの口調は強いものがあった。
それでも最初に比べたら、随分のよくなったものだ。
「はぁ、また住人が増えちまったな」
「仕方ありませんよ。なんか、樹さまを気に入っているようでしたし」
「だったら俺への当たり、キツくないか?」
樹は肩を落とす。
「旦那様、何で王女様がここに住むんですか!?」
シャルが尋ねてきた。
「これには、色々事情があるんだよ」
樹はそっとため息をついた。
「本当に、家に姫さんを住まわせていいんですね?」
「ああ、ミア姫ご自身の要望だからな」
陛下が答えた。
「分かりました。じゃあ、僕は帰りますけど、姫さん一緒に帰りいましょうか?」
樹がミア姫に尋ねた。
「もちろんよ。それと、姫さんはやめて下さい。ミアと呼んで下さい」
「しかし、一国の王女を呼び捨てにはできないですよ」
「いいんです。あなたは私の目指すべき、倒すべき相手ですので」
ミアは少し素直になっていた。
最初からそうすればいいのに。
やはり、出鼻を挫いたのは正解だったのだろうか。
「分かりました。では、ミア、帰りましょう」
「はい!」
そう言うと、樹は、アリアとミアと共に王宮を出た。
「兄上、大丈夫なんですか?」
「ああ、姫さまを樹のそばに置いて置くと何やら面白いことになりそうだしな」
陛下は二ヤッと笑った。
「たしかに、強くなるとは思いますが......」
「それだけじゃないぞ。もっと大きなことになりそうじゃ」
陛下の目にはミアはどう見えていたのか、それを知るものは今は陛下自身だけだった。
「ここが家です」
樹は自分の屋敷に案内していた。
「ふーん。って、デカ! しかも、貴族街の一等地。あんた何者なのよ」
「ただの冒険者ですよ。部屋は余ってますからご心配なく」
「この大きさで満室なら逆に驚きよ!」
「さ、入ってください」
樹はミアに入るように促した。
「「おかえりなさいませ」」
中に入るとセザールとシャルが出迎えてくれる。
「あ、こちら、今日からしばらく家に住むことになった、ミアだ。オリエンス王国の第二王女さんだ」
その言葉に使用人二人は固まった。
「お二人とも、樹さんと接する時のように接していただければ構いませんよ」
ミアが二人の反応をみて言った。
なんだ、素直にも出来るんじゃないか。
「お気遣い恐れ入りいます。私、綾瀬家の家令を務めておりますセザールと申します。なにかご用向きがありましたら、何なりとお申し付け下さい」
「メイドのシャルと申します。わからない事があれば何でも聞いてください」
「オリエンス王国第二王女、ミアと申します」
そういうとミアはスカートの裾を掴み、一礼した。
先程までの態度からうって変わっていたので、樹は驚いた。
「で、私の部屋はどこになるのかしら?」
「お、おう、セザール、案内してやってくれ」
「かしこまりました」
しかし、相変わらず、樹にへの口調は強いものがあった。
それでも最初に比べたら、随分のよくなったものだ。
「はぁ、また住人が増えちまったな」
「仕方ありませんよ。なんか、樹さまを気に入っているようでしたし」
「だったら俺への当たり、キツくないか?」
樹は肩を落とす。
「旦那様、何で王女様がここに住むんですか!?」
シャルが尋ねてきた。
「これには、色々事情があるんだよ」
樹はそっとため息をついた。
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