最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

文字の大きさ
上 下
54 / 132

第54話 隣国の第二王女様

しおりを挟む
 翌日、樹の風邪はすっかり良くなっていた。

「おはよう。昨日は心配かけて悪かったな」

 樹はアリアを含め、使用人の皆に言った。

「あ、もうよくなったのですね」
「それは良かったです」
「一応、無理はしないでくださいよ」
「おう。分かってるって。アリアは大丈夫か? ずっと看病してくれたみたいだけど」

 樹はアリアに移ってしまうのではないかと不安だったのだ。

「ええ、私は大丈夫です。この通り、ピンピンしてますから」
「なら、良かった。移したんじゃないかと思ってな」
「お気遣いありがとうございます」

 そう言ってアリアは微笑んだ。

「早速で申し訳ないのですが、王宮からお呼び出しがかかっています。本来でしたら、昨日の予定でしたが、旦那様が倒れられたので延期となっておりました」

 そう言って遠慮がちにセザールが書簡を手渡してくれた。

「ありがとう。今日、行ってくるか」
「病み上がりで大丈夫ですか?」
「まあ、体調は戻ったし、何日も待たせたら悪いからな」

 もしかしたら、緊急事態かもしれない。

「かしこまりました」
「うん。じゃあ、午後から行こうか」
「かしこまりました」

 そして、昼食を食べ終わると、樹とアリアは王宮へと出向いていた。
王宮に着くといつものメイドに応接間へと通された。
ソファーに腰を降ろして、数分待つと、陛下と公爵が入ってきた。

「おお、待たせてすまんかったな」
「いえ、お気になさらず」
「お前さん、風邪で倒れてたんだって。いやぁ、お前さんも人間で安心したわい」
「人を化け物みたいに言わないでくださいよ」

 陛下は豪快に笑った。

「さて、本題に入ろうかの」
「はい」
「来月の頭に隣国のオリエンス王国の第二王女が、我が国の魔術学院に留学される」
「はあ、王女様が留学ですか。そんな凄いんです? うちの学院は」
「何を言っているんだ。今や、我が国の魔術学院は世界トップクラスだぞ」
「へ?」

 樹が知らないところで何やら凄いことになっているらしい。

「何せ、綾瀬樹が学長でアリアがというのが効いたな。入学希望者が後を絶たんわい」
「私らは、客寄せパンダか何かですか?」

 果たして、この世界にパンダが居るのかは分からないが。

「まあまあ、そんなに不貞腐れるなよ。最強の名高い君たちのおかげなのだから」
「それは嬉しい限りですがね」
「それで、第二王女がうちの国に入ってからの護衛を君たちに任せたい」
「はあ、また私たちがですか。重鎮なのはわかりますが、一応、学長なんですが」

 樹は陛下に言った。

「まあ、そうなのだが、その王女さんがちょいと曲者らしくてな」
「曲者、といいますと?」
「相当、ワガママらしい」
「なるほど。曲者には曲者をってことですかね」

 樹はニヤッと笑った。

「まあ、そんな所だ」

 陛下もいたずらっぽく笑った。

「分かりました。やりますよ。アリアも構わないか?」
「はい、問題ありません」
「ありがとう。くれぐれもよろしく頼むよ」

 陛下たちの話が終わると、樹たちは王宮を後にし、屋敷に戻るのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】召喚に応じたらハーレムができた件~ドラゴンに転生した僕の甘々甘やかされ生活~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
 社会人になり、一人称がオレから僕に代わり、僕がすっかり板についてきた頃、僕は大型のトラックに轢かれその生涯を閉じた。そして、気が付くとドラゴンとして異世界に転生していた。  そして、ある時――。 『お願い致します。どうか、わたくしにお力をお貸しください』  美少女の声にホイホイ釣られて、使い魔として召喚されてしまうのだった。  これは、ドラゴンに転生した僕が甘々に甘やかされるお話。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!! 祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。 「よし、とりあえず叩いてみよう!!」 ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。 ※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

処理中です...