最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

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第51話 生徒たちの危機

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 樹が学院内に転移魔法陣を設置してから一週間と少しが経過した。
あの魔法陣は教員からも生徒たちからも好評であった。

「旦那様、エドモン様がお見えになっています」

執事のセザールが樹の部屋へとやって来た。

「え、エドモンさんが?」
「はい、何やら緊急の用件のようでしたので、応接間の方にお通ししました」
「分かった。ありがとうな」

 樹は一階に降りると応接間へと入った。

「お待たせ致しました」
「学長、大変です!!」

 樹が対面に座るとエドモンは血相を変えて樹に叫んだ。

「どうしたんですか。とりあえず落ち着いて話して下さい」
「は、はい。すみません。実は、うちの女子生徒2人が何者かに誘拐されました」
「何ですって!」

 樹は驚きの声を上げた。

「攫われた生徒は分かっているんですか?」
「は、はい。それが、地方の子爵の御息女でして」
「まずいな。犯人側からの要求は?」
「魔術学院に対して王金貨50枚を要求して来ています」
「なるほど。身代金目的か。うちの生徒に手を出したらどうなるか思い知らせてやる。アリア行くぞ」

 樹はアリアを呼ぶと2人で屋敷を飛び出した。

「あ、あの、どちらへ?」
「あの2人に任せておけば大丈夫ですよ」

 セザールがエドモンへ言った。

「しかし、何も手が無いのでは?」
「あの2人が何の策も無しに飛び出すとは思えません。あれでも最強と名高い二人なのですから」
「そ、そうですよね。学長たちを信じます。おっと、私は学院に戻らなくては」

 そう言うとエドモンは学院へ戻って事態の対処に追われるのであった。


「お、おい。本当にこんな事して大丈夫なんだろな!」
「大丈夫だよ。貴族の娘を攫えば、学院も金を出さざるを得ないだろうさ」
「衛兵とか、国も黙って無いんじゃ無いか?」

 誘拐犯の男三人が監禁場所で会話をしていた。

「ふふ、貴方たちが警戒するのは衛兵でも国の人間でも無いわ!」

 攫われた一人の少女が声を上げた。

「何んだと?」
「樹先生とアリア先生よ」
「誰だそれ。たかが教師に何が出来るんだ」
「あの先生方は必ず私たちを助け出してくれる」
「せいぜい信じて頑張りな」

 男たちは少女の言葉を魔に受けなかった。
この少女の言葉は後に現実となるのだが。

「さてと、王都に居てくれたら見つけやすいから頼むぞ」
「そうですね」

 樹は魔術学院の制服に付与された魔法の反応を頼りに攫われた生徒二人の居場所を探っていた。

「これは……!」
「お、アリアも気づいたか。間違えないだろうな」

 生徒二人の反応を見つけたのは王都の外れにある廃墟だった。

「行くか」
「はい」

 二人はそこに向かって走り出した。

「ここだな」
「そのようです」

 そこは王都の外れもいい所で明らかに治安が良くない、スラム街であった。

「さて、見せてやるよ。本当の地獄ってヤツをな」

 そう呟くと樹は黒い笑みを浮かべた。
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