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第49話 転移魔法陣
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魔術学院が始動して三週間ほどが経過していた。
新たな教育機関だったが、順調に行っているようであった。
「あのバカ高い塔には何があるんだ?」
樹はエドモンに尋ねた。
「あれですか。一階~三階は魔術の練習場になっております。最上階はただの展望台ですね」
「人気なのか?」
「王都を一望できると言ってたまに登っている生徒たちを見ますが、そこまで多くないようですよ。田舎から出てきた生徒たちがたまに登るくらいですから」
そう言ってエドモンが説明してくれた。
「そうか。なら、ちょっと改造しちまうか」
樹はニヤリと笑った。
「は、はぁ。改造とは」
「転移魔法陣を組み込む」
「「はい!?」」
エドモンとアリアは驚きの声を上げた。
「俺の魔力を転移魔法陣に注ぎ込めば魔法陣は維持出来るはずだ」
「また、とんでもない事を考えますね」
エドモンは樹がここまで常識外れという事を知らなかったようだ。
「学院の先生たちも転移魔法が使えると学会とかで地方に行く時、便利ですよ」
「ま、まぁ、そうなのですが、前例がありませんので……」
「前例が無いなら作ればいいんです! さあ、行きましょう!」
樹に押されてエドモンも渋々ついて来た。
「階段しか無いのかよ。これはこれで問題だな。とりあえず、一階と最上階を繋げちまうか」
『転移』
樹は転移魔法を起動させるとアリアたちと共に最上階へと移動した。
「うん、ここなら魔術式の維持も出来そうだな」
最上階は10×10メートルほどで、樹はそのうちの5メートル程を使い、転移魔法陣を作ろうとしていた。
「とりあえずこれで、魔法陣を書くか」
「それはなんですか?」
アリアが尋ねてきた。
「俺の魔力が入っているチョークだ。これでだいたいの魔法陣の大きさとか魔術式とかを書いていくんだ」
「なるほど。そんなものまで作ったんですね」
「ああ、何かの役に立つかと思ってな」
「流石です!」
そんな事を話しているうちに魔法陣はだいたい書き終わった。
「あとはここに俺の魔力と転移魔法式を入れ込めば大丈夫なはずだ」
樹は書いた魔法陣の真ん中に手を付くと自分の魔力を大量に注ぎ込んだ。
「な、なんて量だ……!」
エドモンは驚いた表情をしていた。
「ふぅ。こんなもんかな」
「出来たんですか?」
「多分な。エドモンさん、試してみたく無いです?」
「よろしいのですか?」
「はい、この魔法陣の上に立って転移したい所を思い浮かべて下さい」
「で、では、この塔の下に」
エドモンは恐る恐る魔法陣の上に立ち、目をつぶって塔の下の景色を思い浮かべた。
すると、魔法陣は紫色に光り、エドモンの姿は消えた。
「どうやら成功したみたいだな。俺たちも下に降りるぞ」
そう言って樹とアリアも塔の下に降りた。
そこにはエドモンの姿があった。
「どうでした? うまくいったでしょう?」
「は、はい。この歳で初めて転移魔法を体験しました……」
「便利ですからね。でも、これだと帰りが困るんですよね。しばらくは学院内だけ用の移動手段になりそうですね」
「そうした方がよろしいかと」
「では、学院内に他にも魔法陣を作りますか」
そう言って樹は後、5個の魔法陣を設置するのであった。
新たな教育機関だったが、順調に行っているようであった。
「あのバカ高い塔には何があるんだ?」
樹はエドモンに尋ねた。
「あれですか。一階~三階は魔術の練習場になっております。最上階はただの展望台ですね」
「人気なのか?」
「王都を一望できると言ってたまに登っている生徒たちを見ますが、そこまで多くないようですよ。田舎から出てきた生徒たちがたまに登るくらいですから」
そう言ってエドモンが説明してくれた。
「そうか。なら、ちょっと改造しちまうか」
樹はニヤリと笑った。
「は、はぁ。改造とは」
「転移魔法陣を組み込む」
「「はい!?」」
エドモンとアリアは驚きの声を上げた。
「俺の魔力を転移魔法陣に注ぎ込めば魔法陣は維持出来るはずだ」
「また、とんでもない事を考えますね」
エドモンは樹がここまで常識外れという事を知らなかったようだ。
「学院の先生たちも転移魔法が使えると学会とかで地方に行く時、便利ですよ」
「ま、まぁ、そうなのですが、前例がありませんので……」
「前例が無いなら作ればいいんです! さあ、行きましょう!」
樹に押されてエドモンも渋々ついて来た。
「階段しか無いのかよ。これはこれで問題だな。とりあえず、一階と最上階を繋げちまうか」
『転移』
樹は転移魔法を起動させるとアリアたちと共に最上階へと移動した。
「うん、ここなら魔術式の維持も出来そうだな」
最上階は10×10メートルほどで、樹はそのうちの5メートル程を使い、転移魔法陣を作ろうとしていた。
「とりあえずこれで、魔法陣を書くか」
「それはなんですか?」
アリアが尋ねてきた。
「俺の魔力が入っているチョークだ。これでだいたいの魔法陣の大きさとか魔術式とかを書いていくんだ」
「なるほど。そんなものまで作ったんですね」
「ああ、何かの役に立つかと思ってな」
「流石です!」
そんな事を話しているうちに魔法陣はだいたい書き終わった。
「あとはここに俺の魔力と転移魔法式を入れ込めば大丈夫なはずだ」
樹は書いた魔法陣の真ん中に手を付くと自分の魔力を大量に注ぎ込んだ。
「な、なんて量だ……!」
エドモンは驚いた表情をしていた。
「ふぅ。こんなもんかな」
「出来たんですか?」
「多分な。エドモンさん、試してみたく無いです?」
「よろしいのですか?」
「はい、この魔法陣の上に立って転移したい所を思い浮かべて下さい」
「で、では、この塔の下に」
エドモンは恐る恐る魔法陣の上に立ち、目をつぶって塔の下の景色を思い浮かべた。
すると、魔法陣は紫色に光り、エドモンの姿は消えた。
「どうやら成功したみたいだな。俺たちも下に降りるぞ」
そう言って樹とアリアも塔の下に降りた。
そこにはエドモンの姿があった。
「どうでした? うまくいったでしょう?」
「は、はい。この歳で初めて転移魔法を体験しました……」
「便利ですからね。でも、これだと帰りが困るんですよね。しばらくは学院内だけ用の移動手段になりそうですね」
「そうした方がよろしいかと」
「では、学院内に他にも魔法陣を作りますか」
そう言って樹は後、5個の魔法陣を設置するのであった。
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