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第20話 護衛依頼
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あれから一週間が経過した。
シャルもメイド業務に慣れてきたようだ。
アリアは相変わらず樹の専属として傍にいる。
「コーヒーが入りました」
「ありがとう」
いつは書斎で魔法やら何やらの文献を読み漁っていた。
「にしても暇だな」
「最近、依頼もありませんからね」
「まぁ、俺たちに依頼しなきゃいけないような依頼がポンポン来ても困るけどな」
「そうですよね」
樹たちに入る依頼は他の冒険者では太刀打ち出来ないような依頼だ。
そんなものは滅多に無いと思いたい。
そんな事を思っていた束の間、王宮からのお呼び出しが入った。
「旦那様、王宮からお手紙が届いております」
シャルが書簡を手にやってきた。
「ありがとう。王宮からか……」
『明日、アリアと共に王宮まで来られたし』
「アリア、明日、王宮に来て欲しいらしい。大丈夫か?」
「はい、問題ございません」
「分かった」
翌日、昼過ぎに樹たちは屋敷を出て王宮に向かった。
「お疲れさん」
王宮の衛兵に軽く挨拶して中に入る。
そして、メイドさんにより応接間に通された。
「アリアは座らないのか?」
「ええ、私はここで」
アリアは樹の後ろに立っていた。
そんなやり取りをしているうちに陛下と公爵様が入って来た。
「待たせてすまなかったな。何だ、アリアも座りなさい」
「陛下もそう仰るなら失礼致します」
アリアは樹の隣のソファーに腰を下ろした。
「それで、今回はどのようなご用件でしょうか?」
「ああ、じゃあ、早速ではあるが、本題に入らせてもらうとするよ」
陛下が切り出した。
「実は、一週間後に公爵の一人娘のエリーヌが隣街の祖父母の家に顔を見せに行くことになっているのだが、その道中の護衛を頼みたい。無論、報酬ははずむぞ」
「なるほど。話は分かりました。しかし、なぜ、我々に? 王宮にも騎士団や宮廷魔法師が居るでしょう?」
「いやぁ、それはそうなのだが、最近一部の有力貴族の動きがおかしくてな、警護を強化したいのだ」
大半は王家に忠義のある貴族たちなのだが、中には、権力に溺れ、王家に反旗を翻す輩もごく稀にいるのだ。
王を暗殺し、政権を握ろうとした者も以前は居たそうだ。
「分かりました。ちなみに報酬はいかほど?」
「白金貨で30枚でどうだ?」
白金貨は金貨の上の貨幣その価値は白金貨1枚で金貨10枚分とされる。
「少しの間、屋敷を離れることになるが、アリアは構わないか?」
「私は、樹さまにお仕えする身ですので異論はございません」
「分かった。その依頼、引き受けさせてもらう」
樹とアリアは正式に依頼を引き受けた。
「ありがとう。当日はうちの騎士団たちからも何人か出す予定だからよろしく頼む」
「承知しました。僕らも準備をしておきますね」
こうして二人は王宮を後にし、屋敷へと戻った。
「あ、セザール、ちょっといいか?」
「はい、何でございましょう」
「一週間後、俺とアリアは護衛依頼でしばらく屋敷を離れる。その間の屋敷の管理を頼みたい」
「承知いたしました。我々にお任せください」
「助かるよ」
その後、夕食と風呂を済ませると眠りに就いた。
シャルもメイド業務に慣れてきたようだ。
アリアは相変わらず樹の専属として傍にいる。
「コーヒーが入りました」
「ありがとう」
いつは書斎で魔法やら何やらの文献を読み漁っていた。
「にしても暇だな」
「最近、依頼もありませんからね」
「まぁ、俺たちに依頼しなきゃいけないような依頼がポンポン来ても困るけどな」
「そうですよね」
樹たちに入る依頼は他の冒険者では太刀打ち出来ないような依頼だ。
そんなものは滅多に無いと思いたい。
そんな事を思っていた束の間、王宮からのお呼び出しが入った。
「旦那様、王宮からお手紙が届いております」
シャルが書簡を手にやってきた。
「ありがとう。王宮からか……」
『明日、アリアと共に王宮まで来られたし』
「アリア、明日、王宮に来て欲しいらしい。大丈夫か?」
「はい、問題ございません」
「分かった」
翌日、昼過ぎに樹たちは屋敷を出て王宮に向かった。
「お疲れさん」
王宮の衛兵に軽く挨拶して中に入る。
そして、メイドさんにより応接間に通された。
「アリアは座らないのか?」
「ええ、私はここで」
アリアは樹の後ろに立っていた。
そんなやり取りをしているうちに陛下と公爵様が入って来た。
「待たせてすまなかったな。何だ、アリアも座りなさい」
「陛下もそう仰るなら失礼致します」
アリアは樹の隣のソファーに腰を下ろした。
「それで、今回はどのようなご用件でしょうか?」
「ああ、じゃあ、早速ではあるが、本題に入らせてもらうとするよ」
陛下が切り出した。
「実は、一週間後に公爵の一人娘のエリーヌが隣街の祖父母の家に顔を見せに行くことになっているのだが、その道中の護衛を頼みたい。無論、報酬ははずむぞ」
「なるほど。話は分かりました。しかし、なぜ、我々に? 王宮にも騎士団や宮廷魔法師が居るでしょう?」
「いやぁ、それはそうなのだが、最近一部の有力貴族の動きがおかしくてな、警護を強化したいのだ」
大半は王家に忠義のある貴族たちなのだが、中には、権力に溺れ、王家に反旗を翻す輩もごく稀にいるのだ。
王を暗殺し、政権を握ろうとした者も以前は居たそうだ。
「分かりました。ちなみに報酬はいかほど?」
「白金貨で30枚でどうだ?」
白金貨は金貨の上の貨幣その価値は白金貨1枚で金貨10枚分とされる。
「少しの間、屋敷を離れることになるが、アリアは構わないか?」
「私は、樹さまにお仕えする身ですので異論はございません」
「分かった。その依頼、引き受けさせてもらう」
樹とアリアは正式に依頼を引き受けた。
「ありがとう。当日はうちの騎士団たちからも何人か出す予定だからよろしく頼む」
「承知しました。僕らも準備をしておきますね」
こうして二人は王宮を後にし、屋敷へと戻った。
「あ、セザール、ちょっといいか?」
「はい、何でございましょう」
「一週間後、俺とアリアは護衛依頼でしばらく屋敷を離れる。その間の屋敷の管理を頼みたい」
「承知いたしました。我々にお任せください」
「助かるよ」
その後、夕食と風呂を済ませると眠りに就いた。
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