最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

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第3話 世界最強の男

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 樹が転生してから数ヶ月が経過した。
魔法の扱いにも慣れ、ギルドに登録し、依頼をこなしていくうちにレベルは126にまで上がっていた。
職業は『賢者』となった。
この世界に賢者の職にある者は数えるほどしか居ないようであった。
そして、ついにAランクからSランクの認定を受けた。

 今日は王宮からお呼び出しを受けている。

「最近、やけに王宮からの呼び出しが増えたよな」

 Sランクにもなると、依頼は基本的に直接指名となる。
ほとんどが国からの依頼なので、こうして王宮から呼び出しがかかるのだ。

「さて、行くとするか」

 樹はギルドを出ると王宮までの道のりを歩いた。

「あ、樹さんお疲れ様です」

 王宮の衛兵には顔を覚えられているため、門は素通りすることが出来る。

「ああ、お疲れさん」

 中に入るといつも通りなのだが、メイドさんにより、応接間に通される。

 しばらくソファーに座ってしばらく待つと、国王陛下と公爵様が入ってきた。

「待たせて悪いな」
「いえ、今着いたばかりですのでお気になさらずに。それで、今回はどういったご用件でしょうか?」
「ああ、それなんだが、このA級魔獣の討伐をお願いしたいんだ」

 そう言って陛下が一枚の紙を樹の前に置いた。

「ここは、港町の方ですね。わかりましたサクッと片づけてきます」
「いつもながら、余裕だな。よろしく頼む。それで、樹はパーティなんかは組まないのかね?」

 この世界では冒険者同士で二人から五人のチームを組んで冒険に挑むパーティ制度が存在するのだが、樹は常に一人で行動していた。
今まで、樹の実力からパーティを組みたいという申し出は何回もあったが、樹はことごとく断ってきた。

「まあ、なんだかんだで一人の方が気楽ですし、僕と足並み揃えて戦える人なんてそう居ませんから」
「それもそうか。樹はバカみたいに強いからな」

 陛下と公爵様が豪快に笑った。

「じゃあ、さっそく行ってきますね」
「もう行くのかね?」
「ええ、早いに越したことは無いと思いまして」
「いや、まあ、そうなのだが、準備とかあるだろう。A級魔獣だぞ?」
「大丈夫ですよ。どうにでもなりますから」

 そう言うと樹は席を立ち、王宮を後にしようとした。 

「この街は確か、行った事がある街だな。なら」

『転移』

 樹は転移魔法を展開した。
すると、樹の足元には紫色の魔法陣が現れる。
その魔方陣が光を放った次の瞬間、一瞬で目的の港街に到着した。

「お、着いたな。ここも久々に来たな」

 樹は辺りを見回したがここには魔獣は居ないようだった。

『サーチ』

 樹は魔力を広く遠くに伸ばしていくようなイメージで探査系の魔法を展開した。
普通のサーチならせいぜい数十メートルが限界だろうが、樹のサーチは次元が違う。
約数キロ離れたところまで探査魔法を展開していたのだ。

「お、見つけた」

 かなり大きな魔力生命体の反応を見つけた。
幸いなことに街からは割と離れている所だった。

「よし、これなら思い切り暴れても問題無いな」

『身体強化』

 樹はスキル身体強化を使い、全力で魔獣の元まで走った。


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