俺は決してシスコンではないはず!〜周りはシスコンと言うが、ただたんに妹が可愛すぎるだけなのだが?〜

津ヶ谷

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最終話 ストロベリーフィールド

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 気が付けば、月末になっており、紗良の誕生日当日となっていた。
紗良には、今日は空けておくように伝えてあった。

「行くよー」

 俺は玄関から紗良に声を掛けた。

「はい、今行きます!!」

 紗良は、階段を降りてきた。
今日は、真っ白なワンピースに、薄いピンク色の小さな鞄を肩にかけたいた。

「兄さん、珍しいですね」

 紗良は俺の服装を見て言った。
俺は、スーツ姿だった。

「ああ、今日はドレスコードあるところに行くからな」
「私、これで大丈夫でしょうか?」

 紗良は、自分の服装を確認するように言った。

「ああ、大丈夫だよ。何の問題もない」

 時刻は午後の15時過ぎ。
早くも無く、遅くもない時間である。

「とりあえず、電車に乗るから駅に向かうね」
「分かりました」

 俺たちは、いつものように駅までの道のりを歩いた。


「次の駅で降りるよ」
「はい」

 電車で隣に座る紗良に言った。
俺たちは、電車で20分ほどのところにある比較的大きな駅へと出てきたいた。

「さあ、こっちだよ」

 俺は、紗良の横を歩きながら誘導していく。
そして、歩くこと10分ちょっとで目的のお店へと到着した。

「ここって……」
「いいからいいから」

 紗良は少し驚いたような表情をしていたが、俺は店へと入って行く。

「予約してます。東條です」

 俺は、店員さんに予約した名前を伝えた。
店員さんはすぐに確認してくれた。

「東條様ですね。お待ちしておりました。ご案内いたします」
「はい」

 物腰柔らかな店員さんにより、俺たちは席に案内された。

「本日は、ありがとうございます。こちらのコースでのご予約を承っておりますが、よろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
「かしこまりました。それでは、ごゆっくり」

 そう言うと、店員さんはその場を離れて行った。
そう、俺はちょっと高価なコース料理を予約していたのだ。
俺の稼ぎで賄えるくらいだから。ものすごく高級という訳でもないのだが。

「兄さん、良かったんですか?」
「ん? 何が?」
「高そうですけど……」

 紗良は、ちょっと申し訳ないような表情をていた。

「気にしない気にしない。誕生日なんだからこのくらいはね」
「ありがとうございます」

 紗良の表情は、嬉しそうな表情へと変化した。
その顔を見て俺はホッとした。

 そして、コースが始まって行く。
流石はというべきか、どれも美味しかった。
やがて、コースが終わろうとした時、ロウソクが立てられた、ケーキが運ばれてきた。

『紗良誕生日おめでとう!』

 の文字がそこには書かれていた。

「お誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます!」

 紗良は、ろうそくの火を噴き消すと、微笑みを浮かべながら言った。
そして、そのケーキも食べ終わった頃、俺は懐から長細い箱を取り出して、紗良の前に置いた。

「俺からの誕生日プレゼント」
「ええ、まだあるんですか!?」

 紗良はびっくりしていた。

「開けてもいいですか?」
「もちろん」

 紗良は、嬉しそうな表情を浮かべて、箱に巻かれているリボンをそっと外した。

「ネックレスですか……」
「そうだよ」

 紗良はそのネックレスを手に取るとジッと見つめていた。

「ガーネットですね」
「分かるんだ」
「はい、私の誕生石ですから!」

 その表情は凄く優しく、心の底から喜んでいるような表情であった。

「わざわざ調べてくれたんですね! 兄さん、つけてください」

 そう言うと、紗良は髪の毛をたくし上げた。

「はいよ」

 俺は紗良からネックレスを受け取ると、そっと紗良の首に付けた。

「ありがとうございます! 最高の誕生日です!」

 紗良は天使のような微笑みを浮かべて言った。

「紗良、俺と紗良は義理の兄弟だ。だから、その、結婚とかもできる。これからは妹としてじゃない、彼女として傍に居てくれないか? 俺は紗良が好きだ」

 俺は、思いの丈を紗良にぶつけた。

「ふふふ、知ってますよ。だって、一冊の本になったラブレターをもらったんですから」

 そう言うと、紗良は俺の出版した本を鞄の中から取り出すとそう言った。
その笑顔は世界一美しいと思った。


 ♢
 

 俺たちの席のテーブルには、小さなストロベリーフィールドの花が飾られていた。
これは、俺が頼んで飾ってもらったのだ。
その花言葉は……


『変わらぬ愛を永遠に』


 ――完――




【あとがき】
 最終話をお読み頂き、ありがとうございます。
この話は10万字で完結させると決めておりました。
最終話の展開も最初から決めてあった作品です。
楽しんでいただけましたら幸いです。

 ここから、二人はお互いを想い合うことになります。
そのお話は、また後日談として書かせて頂く予定です。
最後まで春輝と紗良の日常を見守って下さり、ありがとうございました。

 それでは、またお会いしましょう。
あとがき失礼しました。
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