俺は決してシスコンではないはず!〜周りはシスコンと言うが、ただたんに妹が可愛すぎるだけなのだが?〜

津ヶ谷

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第84話 出版の打ち合わせ

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 休日の昼下がり、いつもの喫茶店で俺は朝桐さんと出版に向けての最後の打ち合わせしていた。

「東條先生、お疲れ様でした。原稿は完璧です。後は印刷を残すのみとなりました」

 そう言って、印刷された分厚い原稿を俺の前に置いた。

「良かったです。朝桐さんもお疲れ様です」
「ありがとうございます。そして、出版日が決まりました」

 そう言うと朝桐さんは一枚の資料を渡してくれた。
そこには、出版日の詳細や表装のデザインが描かれていた。

「来月ですか。早いですね」

 出版日は来月の半ばとなっていた。

「はい、年内には間に合わせたいと思いまして、このスケジュールになりました」
「なるほど。いいと思います」

 俺は、資料に一通り目を通すと、この内容で了承した。

「これ、頂いても?」
「もちろんです。お持ちになってください」

 俺は、もらった資料を鞄に仕舞った。

「それで、本の帯ですけど、小田霧先生に書いてもらう事になりました」
「え、小田霧さんやってくれるんですか!?」

 小田霧先生の帯があれば怖い物はないというくらい心強い。

「はい、喜んで書くとおしゃってくれました。こちらがそのデザインになります」

 朝桐さんはもう一枚の紙を俺の前に置いた。
そこには、『魔法学園の最強賢者の原作者小田霧が絶賛!!』と大きく書かれており、その下にひと言感想が書かれ居た。

「小田霧さん、ちゃんと読んでくれたんですね」
「はい、原稿が上がった段階で読んで頂きました」

 忙しいであろうに、ちゃんと読んでくれる辺り、本当に凄い人だ。
後でちゃんとお礼を言わなきゃだな。

「氷室先生も絶賛していましたよ。これなら私に是非描かせてくれって言わせたんですから、さすがは東條先生です」
「本当ですか!? ありがとうございます」

 氷室先生は中々の曲者といわれている。
人気なクリエーターというのはどこか変わっているものだが、氷室ほどの曲者も中々いないのではないか。
メディアには一切顔を出さず、ラノベを中心に様々な媒体にイラストを提供している人気イラストレーターだ。
これは、氷室先生にもお礼を言わなきゃならん。

「では、このまま進めさせていただきますね」
「よろしくお願いします」
「はい、印刷が終わりましたら先生にもお渡ししますので」
「楽しみにしています」

 これにて、朝桐さんとの打ち合わせは終了した。
後は、印刷されるのを待つのみとなった。


 ♢


「ただいまー」

 打ち合わせが終わると、俺は家に帰った。

「おかえりなさい!!」

 紗良がリビングから顔を出すと出迎えてくれた。
すっかり、これが日常と化していた。

「打ち合わせはどうでした?」
「ああ、発売日が決まったよ。来月になった」
「おめでとうございます!」

 紗良は、微笑みを浮かべながら言った。

「ありがとう」

 緊張するが、後はもう待つのみとなったのであった。
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