俺は決してシスコンではないはず!〜周りはシスコンと言うが、ただたんに妹が可愛すぎるだけなのだが?〜

津ヶ谷

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第80話 紗良とパンケーキ

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 約20分で、俺たちの前にはふわふわのパンケーキが運ばれてきた。

「おぉ」

 紗良は感動するような声を上げると、スマホのカメラで撮影していた。
そりゃ、撮りたくもなるよな。

「俺も撮っておくか」

 そう、呟くと俺もポケットからスマホを取り出した。
カメラアプリを立ち上げると、俺も何枚か写真に収めた。

「さて、食べましょう!」

 一通り、撮影が終わた所で、紗良がナイフとフォークを手にして言った。

「だな」

 俺も、ナイフとフォークを手にすると、パンケーキを一口で収められる大きさまで切った。
そして、そのまま口に運ぶ。

「んー、おいしいぃ」

 紗良は、一口食べた時点で幸せそうな表情を浮かべていた。
可愛すぎんかおい。

「確かに、美味いな」

 口に運んだ瞬間に感じるフワッとした食感。
口に広がるシロップとクリームの甘すぎる事の無い甘みが広がってゆく。
これは、人気になるのも頷けるというものだ。

「並んだ甲斐がありましたー」

 紗良は、一口ひとくちで幸せそうな表情を浮かべている。
紗良のそんな表情を見れるのは、俺だけで十分なのではなかろうか。
そんなことを思いながらも、俺はパンケーキを口に運んだ。

「ごちそうさま」
「ごちそうさまでした」

 30分しないくらいで俺たちはパンケーキを完食してしまった。
それだけ美味しかった、ということである。

「さて、行きますかね」

 俺はポケットから財布を取り出そうとしていた。

「あ、兄さんだめですよ!! 私がごちそうするんですから!!」

 紗良はほっぺを膨らませていた。
あ、ヤバい。
可愛すぎて死ぬ。
本当に、どんな表情でも可愛く見えてしまうのは病気ではないか。
本気でそう思ってきた。

「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「それで、よろしいんです」

 もう少し、紗良のその表情を見ていたかった思いもあるが、俺は財布をポケットに仕舞った。
俺は、少し離れた所で紗良のお会計を見守る。
値段が見えるか見えないかのギリギリの距離だ。
奢ってもらう時は、その値段を見ないようにするのがマナーだと、ある人から言われていたのだ。

「兄さん、終わりました」

 会計が終わった紗良は、小走りで俺に近づいてきた。
愛おしくてたまらない。

「ありがとう。ご馳走さま」
「いいんですよ。兄さんが頑張ったご褒美です!!」

 紗良が可愛い女の子らしいお財布を鞄に仕舞いながら言った。

「さて、この後どうする?」

 俺は紗良に尋ねた。
せっかく、新宿まで出てきたのだ。
これだけで帰るのは何か、もったいない気がする。

「そうですね。意外とお腹いっぱいですしね」

 あのパンケーキがそこそこあった為、お腹は比較的満たされていた。

「だよな。とりあえず、ちょっと歩いてみるか」
「はい!」

 そう言うと、俺たちは並んで新宿の街を歩くのであった。
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