俺は決してシスコンではないはず!〜周りはシスコンと言うが、ただたんに妹が可愛すぎるだけなのだが?〜

津ヶ谷

文字の大きさ
上 下
55 / 87

第55話 浅草といえば

しおりを挟む
 紗良は、出来上がったもんじゃを美味しそうに食べている。
その顔を見ながら食べたら、ただでさえ美味しいもんじゃが100倍は美味しく感じる。
やはり、俺はシスコンなのだろうか。

「兄さん、やっぱりもんじゃは美味しいですね」
「ああ、顔見てればわかるよ」

 そう言うと、紗良は両頬を両手で押さえた。

「何でですか!?」
「紗良は、美味しい物を食べる時は幸せそうだからね」

 むぅっとした顔をしたが、その顔ですら可愛い。
もう、とにかく全てが愛おしいのだ。
いよいよ、ここまで来ると妹バカと言われそうだが。

「美味かったなぁ」
「はい。もんじゃって意外とお腹いっぱいになるんですね」
「そうだねぇ」

 数十分した頃には食べ終わり、食後の烏龍茶を飲んでいた。

「さてさて、お会計してくるかね」

 そう言って、宮田さんに挨拶するのと同時にお会計しようとした。

「宮田さん、ご馳走さまでした」
「はい。こちらこそありがとうございました」
「今日も美味かったです」
「それはよかったです」

 宮田さんはいつも腰が低い。
こういう、誰にでも丁寧な接客が評価にも繋がるのだろう。

「それで、お会計お願いします」
「あ、それでしたら明に請求しますので春輝さんからは頂きません」
「でも、そういう訳にも……」
「本当にいいですから」

 結局、宮田さんの押しに負け、請求は親父に行くことになった。
宮田さんは、丁寧なのだが、どこか頑固な所がある。

「では、ご馳走さまでした」
「ありがとうございますた。今後ともどうぞご贔屓に」

 外で待っていた紗良と合流すると、次の目的地へと向かうべく、歩き始める。

「兄さん、次はどこに行くんです?」
「ん? 浅草といばの所だよ」

 少し、人通りも少なくなった道をのんびりと歩く。

「ここだよ」
「ここって……」
「着物屋さん!!」

 やはり、浅草といえば着物だろう。
俺は、紗良を連れて早速中に入る。

「あら、春輝くん。いらっしゃい」

 ちなみに、ここも俺の馴染みの店だ。
イベント等で使う、着物を仕立ててもらっている。

「ご無沙汰しております。美里さん」

 ここの店主である美里さんは着物の事となれば浅草で1番だろう。

「今日は新しいお着物?」
「いえ、今日はこの子の着物をレンタルしたくて伺ったですけど」

 俺は紗良の背中に軽く手を回して、一歩前へと出した。

「よ、よろしくお願いします!」
 
 紗良が軽く頭を下げた。

「あら、可愛い子ね! 春輝くんの彼女さん? こちらこそよろしくね」
「残念ながら妹です」
「妹の紗良です。兄がお世話になってます」

 紗良が挨拶をした。

「あら、こんな可愛い妹さんが居たのね。私はここの店の店長してる奥中美里よ」

 美里さんも紗良に軽い自己紹介をしてくれた。

「で、紗良に着物を見繕ってもらいたくて」
「任せときなさい!」

 美里さんは意気込んでいた。

「あと、俺の預けている着物もお願いします」
「分かったわ。ちょっと座って待ってて。紗良さんはこっちにきて」
「は、はい」

 美里さんは紗良を連れて、奥のレンタル用の着物が置いてある部屋へと入って行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

処理中です...