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第13話 喫茶店
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俺は、書道室に戻り、黙々と練習を重ねていた。
「もう、17時か」
教室の前にかかっている時計に目をやり、呟いた。
「俺、そろそろ帰るわ」
書道室の隅でまだ、練習していた莉緒に声を掛けた。
「あら、今日は早いのね。分かったわ。お疲れ様」
「おう、お疲れさん。莉緒もキリのいい所で帰れよ」
「ありがとう」
自分の道具を片付けると、鞄を持ち、紗良に連絡をする。
『今、終わったよー』
ピコン
すぐに返信が来た。
『近くの喫茶店に居ます』
その返信と共に、喫茶店の場所の画像が送られてきた。
その場所は、学校と家の中間くらいにある場所だ。
『わかった。俺も今から行くよ』
そう、メッセージを送ると、スマホをポケットに仕舞い、学校を出た。
「おお、ここだな」
歩いて10分ほどの所にある、喫茶店の前に着くと、扉を開けた。
「兄さん」
中に入ると、奥のテーブル席に座っていた紗良が、俺に気づいたらしく、小さな声で反応した。
「おう、待たせて悪かったな」
「いえ、お気になさらず」
俺は、紗良の前の席に腰を下ろした。
「ご注文、どうなさいますか?」
お冷を持って店員さんが、やってきた。
「ブレンドコーヒーをお願いします」
「かしこまりました」
そう言うと、店員さんは戻って行った。
「ここ、初めて入ったよ」
「私もですが、喫茶店好きなんですよ」
「へぇ、紗良は喫茶店が好きなのか」
「はい、こうして、紅茶を飲みながら、ボーっとするんのがいいんですよ」
その時、俺が頼んだブレンドコーヒーが運ばれてきた。
「まあ、俺も仕事ってかバイトの息抜きにたまに来るがな」
「兄さん、バイトしているんですか?」
紗良は興味深そうに尋ねてきた。
「題字だよ。ライトノベルって知っている?」
「はい、読んだことは無いですが……」
「こういう、ファンタジー物のラノベの題字を、出版社から頼まれてやっているんだ」
スマホの画面に、自分が担当したラノベの表紙を表示させて、紗良に向けた。
「これ、兄さんが……?」
「おう、そうだよ。この作者のシリーズは全部俺が担当しているんだ」
そう言って、他の題字も表示させた。
「やっぱ、凄いです……」
『魔法学院の最強賢者』というシリーズを書いている、作者に春輝の文字が気に入られ、題字を提供してきた。
「まあ、嬉しいよね。こうして、自分が書いた文字が表紙に載るのは」
「はい!」
「今度、サンプルに貰ったのを貸してあげるよ」
「ありがとうございます!」
そう言うと、俺はコーヒーを飲み干した。
「さて、そろそろ帰るか」
「そうですね」
俺は立ち上がると、鞄から財布を取り出した。
「ここは、割り勘でいいですよ」
「いや、待たせちゃったから、いいよ。俺が出す」
お会計を済ませると、二人は家までの道のりを歩いた。
「もう、17時か」
教室の前にかかっている時計に目をやり、呟いた。
「俺、そろそろ帰るわ」
書道室の隅でまだ、練習していた莉緒に声を掛けた。
「あら、今日は早いのね。分かったわ。お疲れ様」
「おう、お疲れさん。莉緒もキリのいい所で帰れよ」
「ありがとう」
自分の道具を片付けると、鞄を持ち、紗良に連絡をする。
『今、終わったよー』
ピコン
すぐに返信が来た。
『近くの喫茶店に居ます』
その返信と共に、喫茶店の場所の画像が送られてきた。
その場所は、学校と家の中間くらいにある場所だ。
『わかった。俺も今から行くよ』
そう、メッセージを送ると、スマホをポケットに仕舞い、学校を出た。
「おお、ここだな」
歩いて10分ほどの所にある、喫茶店の前に着くと、扉を開けた。
「兄さん」
中に入ると、奥のテーブル席に座っていた紗良が、俺に気づいたらしく、小さな声で反応した。
「おう、待たせて悪かったな」
「いえ、お気になさらず」
俺は、紗良の前の席に腰を下ろした。
「ご注文、どうなさいますか?」
お冷を持って店員さんが、やってきた。
「ブレンドコーヒーをお願いします」
「かしこまりました」
そう言うと、店員さんは戻って行った。
「ここ、初めて入ったよ」
「私もですが、喫茶店好きなんですよ」
「へぇ、紗良は喫茶店が好きなのか」
「はい、こうして、紅茶を飲みながら、ボーっとするんのがいいんですよ」
その時、俺が頼んだブレンドコーヒーが運ばれてきた。
「まあ、俺も仕事ってかバイトの息抜きにたまに来るがな」
「兄さん、バイトしているんですか?」
紗良は興味深そうに尋ねてきた。
「題字だよ。ライトノベルって知っている?」
「はい、読んだことは無いですが……」
「こういう、ファンタジー物のラノベの題字を、出版社から頼まれてやっているんだ」
スマホの画面に、自分が担当したラノベの表紙を表示させて、紗良に向けた。
「これ、兄さんが……?」
「おう、そうだよ。この作者のシリーズは全部俺が担当しているんだ」
そう言って、他の題字も表示させた。
「やっぱ、凄いです……」
『魔法学院の最強賢者』というシリーズを書いている、作者に春輝の文字が気に入られ、題字を提供してきた。
「まあ、嬉しいよね。こうして、自分が書いた文字が表紙に載るのは」
「はい!」
「今度、サンプルに貰ったのを貸してあげるよ」
「ありがとうございます!」
そう言うと、俺はコーヒーを飲み干した。
「さて、そろそろ帰るか」
「そうですね」
俺は立ち上がると、鞄から財布を取り出した。
「ここは、割り勘でいいですよ」
「いや、待たせちゃったから、いいよ。俺が出す」
お会計を済ませると、二人は家までの道のりを歩いた。
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