3 / 87
第3話 兄妹の朝
しおりを挟む
俺はちょっと遅めのお昼ごはんを食べ終わると、リビングのソファーに座り、テレビを見ていた。
「あ、そうそう。明日から紗良も春輝と同じ高校に通う事になったから」
「え、そうなんですか?」
美咲さんがそう言った。
「うん、せっかくなら心機一転と思って」
今度は、紗良が説明してくれた。
「なるほど。そんじゃ、学校でもよろしく頼むな」
「はい!」
沙良は満面の笑みで言った。
***
翌朝7時30分のアラームで目が覚めた。
「う、もう朝か。さて、と」
俺はベッドから起き上がるとリビングへと降りた。
ダイニングテーブルの上には置手紙があった。
『仕事に行ってきます。しばらく戻れないかもしれません。沙良をよろしくお願いします。母』
置手紙にはそう書かれていた。
「父さんも母さんもか。こりゃ、2人は何のために再婚したんだか……」
そんな事を呟きながらも俺は紗良を起こす為に二階の部屋へと向かった。
「紗良ー、起きろー。朝だぞー」
紗良の部屋をノックしながら言ったが、部屋から返事は返って来ない。
「入るぞー」
そう言うとドアノブに手を掛けた。
中に入ると荷解きしていない段ボールもちらほらあるが、女の子の部屋だという事が伺える。
「紗良、起きろー。遅刻するぞ」
俺は紗良の肩を叩いてみる。
「んー。むにゃむにゃ。兄さん……」
紗良はそう言うと春輝の頭を掴み、自分の胸元まで持って行く。
「うっぉ」
紗良の決して大きい訳では無いが、小さくも無い柔らかいものが春輝の顔に当たる。
こんなのは、初めての感覚だ。
内心、とても焦っていた。
何とか、紗良の腕から抜け出す。
「いいから起きろー!!」
今度は少し強めに肩を揺さぶってみた。
「ん、あ、兄さん。おはようございます……」
紗良は右目を眠たそうに擦りながらようやくベッドから起き出した。
どうやら紗良は朝が苦手なようだ。
先ほどのことは、覚えてないらし。
まあ、俺としては、その方が良かったが。
「はい。おはよう。朝飯食うから着替えて降りてこいよ。勝手に部屋入って悪かったな」
「分かりました。兄妹ですから気にしませんよ」
「あんがとさん」
それだけ言うと俺は紗良の部屋をでてリビングへと向かった。
「起こしてくれてありがとうございます」
紗良は制服の上着だけ脱いだ状態で階段を降りてきた。
「おぉ、もううちの制服あるんだ」
「はい、母は根回しが早いので」
「さすがは警察官僚だな。飯出来てるぞ」
俺はリビングのダイニングテーブルにトーストと簡単なサラダとドレッシング、コーヒーを置いた。
自分だけなら料理はしないが、誰かの為なら料理をするし、それなりに出来るのだ。
「あの、私、コーヒーはちょっと……」
「あ、飲めないのか、悪かったな。それは俺が飲むから紗良はこっちでいいか?」
冷蔵庫からオレンジジュースを取り出した。
「はい、それでお願いします」
「はいよー」
オレンジジュースをグラスに注いで置いた。
「さて、じゃあ食いますか」
「はい」
「「いただきます」」
二人は声を揃えて言った。
朝食を食べ終わると登校の時間となる。
俺も制服へと身を包む。
「兄さん、制服姿もカッコいいですね」
「そうか? 紗良の制服姿も可愛いぞ」
俺言葉に紗良は顔を真紅に染めながらもブレザーを羽織り、登校の準備を終えるのであった。
「あ、そうそう。明日から紗良も春輝と同じ高校に通う事になったから」
「え、そうなんですか?」
美咲さんがそう言った。
「うん、せっかくなら心機一転と思って」
今度は、紗良が説明してくれた。
「なるほど。そんじゃ、学校でもよろしく頼むな」
「はい!」
沙良は満面の笑みで言った。
***
翌朝7時30分のアラームで目が覚めた。
「う、もう朝か。さて、と」
俺はベッドから起き上がるとリビングへと降りた。
ダイニングテーブルの上には置手紙があった。
『仕事に行ってきます。しばらく戻れないかもしれません。沙良をよろしくお願いします。母』
置手紙にはそう書かれていた。
「父さんも母さんもか。こりゃ、2人は何のために再婚したんだか……」
そんな事を呟きながらも俺は紗良を起こす為に二階の部屋へと向かった。
「紗良ー、起きろー。朝だぞー」
紗良の部屋をノックしながら言ったが、部屋から返事は返って来ない。
「入るぞー」
そう言うとドアノブに手を掛けた。
中に入ると荷解きしていない段ボールもちらほらあるが、女の子の部屋だという事が伺える。
「紗良、起きろー。遅刻するぞ」
俺は紗良の肩を叩いてみる。
「んー。むにゃむにゃ。兄さん……」
紗良はそう言うと春輝の頭を掴み、自分の胸元まで持って行く。
「うっぉ」
紗良の決して大きい訳では無いが、小さくも無い柔らかいものが春輝の顔に当たる。
こんなのは、初めての感覚だ。
内心、とても焦っていた。
何とか、紗良の腕から抜け出す。
「いいから起きろー!!」
今度は少し強めに肩を揺さぶってみた。
「ん、あ、兄さん。おはようございます……」
紗良は右目を眠たそうに擦りながらようやくベッドから起き出した。
どうやら紗良は朝が苦手なようだ。
先ほどのことは、覚えてないらし。
まあ、俺としては、その方が良かったが。
「はい。おはよう。朝飯食うから着替えて降りてこいよ。勝手に部屋入って悪かったな」
「分かりました。兄妹ですから気にしませんよ」
「あんがとさん」
それだけ言うと俺は紗良の部屋をでてリビングへと向かった。
「起こしてくれてありがとうございます」
紗良は制服の上着だけ脱いだ状態で階段を降りてきた。
「おぉ、もううちの制服あるんだ」
「はい、母は根回しが早いので」
「さすがは警察官僚だな。飯出来てるぞ」
俺はリビングのダイニングテーブルにトーストと簡単なサラダとドレッシング、コーヒーを置いた。
自分だけなら料理はしないが、誰かの為なら料理をするし、それなりに出来るのだ。
「あの、私、コーヒーはちょっと……」
「あ、飲めないのか、悪かったな。それは俺が飲むから紗良はこっちでいいか?」
冷蔵庫からオレンジジュースを取り出した。
「はい、それでお願いします」
「はいよー」
オレンジジュースをグラスに注いで置いた。
「さて、じゃあ食いますか」
「はい」
「「いただきます」」
二人は声を揃えて言った。
朝食を食べ終わると登校の時間となる。
俺も制服へと身を包む。
「兄さん、制服姿もカッコいいですね」
「そうか? 紗良の制服姿も可愛いぞ」
俺言葉に紗良は顔を真紅に染めながらもブレザーを羽織り、登校の準備を終えるのであった。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。

かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。

まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2024.8.29)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる