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第16話 ここでも一緒とか嬉しくない
しおりを挟む――そして、そんな不埒なことを考えるのは……。
残念ながら、人族の王侯貴族たちである可能性がとても高いらしいよっ。
――う、う~む。
まあ、その、ある意味予想通りというかね?
……悲しいことに、それを聞いて何だか納得してしまいましたよ。
だって、つまりそれは……。
「人間の権力者って、結局どの世界でも変わらないってことなんでしょうかね? 世界の命運より自国の利益を優先させるとか……最悪ですよ」
「ケイイチの世界でもそんななのか。世界が違っても、欲深さは一緒だとは……」
「ええ、ただひたすらに残念です」
当たり前のことだけど、異世界だからってだけで夢を見てはいけないんだな……。
「……そう、ですか。しかも今回は悲しいことに、精霊樹の実物を知らなくとも一目見ただけで分かるという神の恩寵が、仇になってしまいました……」
「恩を仇で返すとか、本当罰当たりな連中だよな。少しは後先考えて行動して欲しいもんだ。自分で自分の首を絞めていると、何故気付けないんだっ」
「アルフレッド……」
精霊樹は、魔物の発生元である瘴気を聖素に変換することが出来る。
聖獣が瘴気を魔素に変えられるのと少し似ているが、こちらはより浄化作用が強いのだ。
盗掘されてしまった場所では、その強力な浄化作用がなくなり、当然のことながら魔物が増えてしまう。それが分かっていて、他国の精霊樹の守りを害しているとは。
――本当、ろくなことをしないよな。
アルフレッドは家族思いの優しい男だし、これから民が受ける苦難を考え、心を痛めているんだろう……。
「はい。だからこそ、聖獣を求めるのでしょう。聖獣は魔物を減らすための貴重な戦力になりますが、発見されている数が少ない上、精霊樹と違って移動が可能。あなたを手に入れようと動く国は多いでしょう」
……え?
「ち、ちょっと待ってくださいっ。精霊樹って、動かせないんですか?」
「はい。あの樹は元々、生まれた場所以外では成長出来ないと言われていますから。今までのところ、移植も繁殖も成功したという話は聞きませんね」
「そう、なんですか……」
「これから益々、希少価値が上がるんだろうな」
「ええ」
それはヤバい……。
……つ、つまり、万が一にも人間の国に保護とかされちゃった場合は、俺の推察がバッチリ的中ってことかよっ。聖獣とセットで死ぬまで働かされる未来が確定ってか!? 冗談じゃないっ。
「……人族の国だけは、絶対避けたいです!」
聖獣の卵が孵るまでは、魔導回路を通じて魔力を吸いとられ続けるから、ろくに抵抗する術もなくて怖いし!
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