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第15話 精霊樹

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「成る程。よく分かりました。じゃあ早く、その精霊樹の所へ行かないとですね」

「はい、それが一番いいと思います」

「それで……その精霊樹っていうのはどこにあるのか、神官さんはご存知でしょうか?」

「詳しい所在地まではちょっと……。ただ、人族が寄り付かないような辺境の……例えば野手溢れる森の中にあることが多いらしいです。私も直接見たことはないのですが、伝え聞くところによると非常に美しい樹らしいですよ。神の恩寵により、実物を知らなくても一目見ただけで精霊樹だと分かるようになっているんだとか」

「へぇ、不思議な樹なんですねぇ」

 他にも精霊樹の周りは、聖なる気が強すぎて魔物が近寄れないという事や、 樹が放つ聖素に惹かれた精霊が、いつも沢山集まっているということも教えてくれた。

 ただ、この世界の精霊達は、常ならば気にいった人にしか姿を見せないらしいが……。

「聖獣の半身であるケイイチにならば、問題ないでしょう」

「そんなもんですかね?」

「ええ。むしろ、向こうから喜んで近寄って来てくれますよ。基本は四大元素を司っている力のある存在で、大きさとしては手のひらサイズ程しかありません。とても愛らしいそうですよ」

 その姿は大抵、羽の生えた小さな子供とることが多いらしい。地球上で想像されていた、可愛い方の妖精と似通った姿をしているみたいだ。



「羽の色は、属性によって違い、火属性は赤、水属性は青、土属性は黄、風属性は緑の色の羽を持っています。臆病な一面もありますが子供のように好奇心いっぱいで、心を許した人にはとても人懐っこくて献身的だそうです」

「それは……ちょっと会ってみたいですね」

「ふふふっ、あなたならきっと会えますよ。ただ、最近はちょっと困ったことが起きてまして……」

「……?」



 精霊樹は聖獣と並び、神からの贈り物であるため、森に暮らすエルフやドワーフ、獣人族や竜族などが先祖代々大切に守ってきた。
 彼らは己の種族の権勢よりも、この世界の存続を優先考える事の出来る種族なので、守人を務めるには最適であった。

 だが最近、そんな彼らの目を盗んで精霊樹を盗掘している不埒な輩がいるそうなのだ。

 精霊達が怒って、守人であるエルフ達にも中々近付いて来なくなってしまった為、その原因を探っていた時に発覚したんだとか。

 あまりにも周到に盗掘されていたので、国ぐるみで関わっているのではないかという噂もある。 

 魔物がこれまでになく増えてきているために、自国に持ち帰り、繁殖させて魔物の脅威から自国を守ろうと計画していているのではないか……と。




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